DeNAドラフト3位ルーキー・大貫晋一投手、「まさか」の力でプロ初勝利

大貫晋一

横浜DeNAのドラフト3位ルーキー・大貫晋一投手がプロ初勝利を挙げた。高校、大学ではプロ野球からはやや遠い位置にいた投手だった。

大貫投手の経歴

大貫晋一投手は横浜市出身で、ベイスターズが好きな野球少年だった。それでもシニアの名門・横浜青葉シニアでプレーをしたものの、レベルの高いチームの中でメンバー外、「中学も投げた記憶がほとんどない」と話している。そして高校では寮生活ができるところということで静岡の桐陽高校に進学をした。そこで3年夏に静岡大会ベスト8にチームを導いたものの、右ひじ痛に悩まされながらの3年間だった。

そして大学で野球を続けるため日体大に進学すると1年時はベンチ外だったが2年春にベンチ入りすると3勝0敗、防御率0.52でリーグ1位、ベストナインに選ばれる活躍を見せた。いよいよ開花したかと思われたが、高校時代からの右ひじが悲鳴をあげ、2年のオフにトミージョン手術を行った。3年時は1年間リハビリで費やしたものの4年春に復帰、そして秋に2勝2敗、防御率1.22でリーグ3位となり、持っている潜在能力を見せていた。

そして社会人で花開く。2016年は目立った活躍が無かったが、2017年の都市対抗で145キロの速球を投げ、しなる腕から伸びる球とキレの良い変化球を見せた。個人的には野球太郎で2018年の最初におススメの10人に挙げたが、2018年の都市対抗では2017年ほどよくなかったものの、最速146キロの速球に変わらずの伸びるストレートと沈む球を見せ、2018年のドラフト3位で横浜DeNAに指名された。

そしてその能力が実績として現れたのがドラフト会議後の社会人野球日本選手権で、大貫投手は2試合で1失点完投勝利を挙げるなどチームを準決勝に導いた。

まさか

大貫投手を見ていると、日体大でリーグ1位になった時も、150キロを投げる投手が多いリーグの中でそれほど速くない球で、突然現れて最優秀防御率となった。社会人野球でも見ている人の評価が割れる感じで、特段注目されるという事もなかったと思う。

そしてドラフト会議でも3位指名という順位は「まさか」という印象が多かったと思うし、プロ入り後もオープン戦で結果を残し続けているが、今に打たれるだろうと期待されないままで開幕1軍ローテーションを手にした。日体大の古城監督が、しなやかさと低めに投げられる力は「歴代投手でも一番」と話すが、球速はもちろん、抜群のコントロールがあるいう感じもなく、飄々としてそうでも投球時にはものすごい緊張をするなどメンタルが強そうにも見えない。すごさを感じさせないものの投げれば結果を残すのは、何かを持っているという事になる。

「まさかリーグ1位になるとは」、「まさかプロになるとは」、「まさかドラフト3位で指名されるとは」、「まさか開幕ローテーション入りするとは」。そして、ドラフト1位の上茶谷投手よりも速く、巨人のドラフト1位・高橋投手に続いてセリーグルーキー2番目のプロ初勝利を手にするとは。

これからも「まさか」の活躍を見せてくれると思う。

2018年ドラフト会議 指名選手一覧
2017年都市対抗野球ドラフト番付
2018年都市対抗野球ドラフト番付

高校は寮生活に憧れ静岡・桐陽に進学したが、日体大に進むとスタンドに足を運ぶ機会も増えた。初めて購入したユニホームもDeNAのもの。「大学の時、山崎さんのを買おうと思ったら売り切れていて…。名前のないユニホームで応援していました」という生粋のハマっ子である。

記念すべき瞬間は三塁側ベンチの最前列で迎えた。25歳のルーキー、大貫が5回1失点でプロ初勝利。仲間からの握手攻めに笑みを浮かべた。「純粋にすごくうれしいです。常に攻める気持ちを持って投げました」

大学2年時、右肘の故障で野球をやめようとしていた大貫に「4年には必ず間に合う」と説得。しなやかさと低めに徹底して投げられる力は「歴代投手でも一番」と言い、やめさせまいと叱咤(しった)激励を続けて社会人へ送り出した。13日からのリーグ戦へ「元気をもらえた。僕らも頑張ります」と話した。

神奈川県内で教え子の初白星を知った。社会人野球を経てプロ入りした大貫について「(大学時代からの)試合を作る力が実ったようですね。何よりいいのは、自分の力を過信しない謙虚さ。4年生の時も『まさかプロ野球の選手に…』という感じだった」と懐かしそうに振り返った。


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