慶応大・大久保監督が有終の美、「郡司を日本一の捕手にしたかった」

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今年で慶応大の監督を退任する大久保監督が、日本一という結果で有終の美を飾った。試合後のインタビューでは、「郡司を日本一の捕手にしたかった」と話し、最後まで選手への想いやりを見せた。

胴上げ

試合が終わり、そして表彰式が終わると、「やっとできるぞ」と叫びながらナインが大久保監督の周りに集まる。東京六大学では早慶戦で星を落とし、優勝をしたものの胴上げができず、明治神宮大会で日本一になって大久保監督を胴上げする事がナインの目標になっていた。そして、5回、大久保監督の体が舞った。

2014年のオフに慶応大の監督に就任し、2015年から5年間指揮を執った。東京六大学リーグで3度のリーグ制覇をした。しかし、2017年の明治神宮大会では初戦で敗退するなど本当の強さはまだだった。しかし2016年に入学した郡司裕也選手や柳町達選手などを使いながら成長をさせ、2019年にやっと全国制覇を成し遂げた。

練習では朝5時台にグラウンドに現れ、誰よりも遅くまでグラウンドに立ち続けた。選手たちからは「上から目線みたいなものは一切なく、相談すれば自分はどうしたいんだ?と自主性を重んじてくれた。お父さんみたいな存在」と言われる存在だった。試合後のインタビューでは選手に「最高のギフトを頂いた。感謝しかありません」と話した。しかし、「僕が現役の頃より数段練習して、どんどん体が大きくなった。郡司を日本一の捕手にしたかった」と話し、大久保監督らしい思いやりを見せた。

来年へ

大久保監督は、近年、やや低迷する古巣のJX-ENEOSの監督に就任し、来年の都市対抗優勝を目指す。この日完封勝利をした高橋佑樹投手は東京ガスに進むなど、社会人の舞台で教え子と今度は対戦をしていく。

また郡司裕也選手や柳町達選手、津留崎大成投手はプロの舞台へ上る。郡司選手は「目先の1点にとらわれるのではなく、常に先を大局的に見るようにと言われてきた」と大久保監督の教えを胸にプロの舞台へ旅立つ。

福岡ソフトバンクにドラフト5位で指名を受けた柳町選手も、「4年間しっかりやってきた結果が報われた。ウルッときたが泣かないようにした。笑って終わりたかった」と話し、1年春から出場をし続け、リーグ戦で113安打を記録し、そしてようやく到達した日本一に到達したことを喜んだ。プロの舞台で教え子が活躍する事で、また大久保監督にも刺激になる。

大久保監督は「プロが常に一番とは感じない。学生はかわいいよ」と話す。そして「技量の違いはあるけど、野球と考えればひとくくり。いいチームを作る力があれば、アマからプロに行く人も増えるかもしれない」と話す。

おそらく、大久保監督は将来また慶応大の監督に戻ってくると思う。それまでにJX-ENEOSで今度は何度の都市対抗制覇を見せてくれるのか、期待したい。

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けん引したのが主将の郡司だ。自身と同じポジションで1年秋から正捕手に起用。「僕が現役の頃より数段練習して、どんどん体が大きくなった。郡司を日本一の捕手にしたかった」。秘蔵っ子が恩師の花道を飾った。初回、逆風を切り裂いて左越えの先制2ラン。8回にも2点適時打を放って2安打4打点。高橋を巧みなリードで7回まで完全、3安打完封の好投に導いた。

ソフトバンクからドラフト5位指名を受けた慶大・柳町は2安打をマーク。「4年間しっかりやってきた結果が報われた。ウルッときたが泣かないようにした。笑って終わりたかった」と笑顔だった。

今秋リーグ戦開幕前の宣言通り、大久保監督を日本一の監督にした。有言実行に「まさか日本一とは思わなかった。監督に恩返しできて良かった」と正直に打ち明けた。「大久保監督が打者としても、捕手としても成長させてくれました。『大局観をもってリードしろ』と、よく言われました」と感謝は尽きない。大一番でも、快投の高橋佑をリードしながら「7、8回で打たれる」と冷静に分析。8回で完全投球が途切れても、動じず後続を断った。

「1年間で最高の試合をしよう」と送り出すと、最も信頼する主将が“親孝行”してくれた。郡司裕也捕手(4年・仙台育英)が初回2死一塁から左翼へ先制2ランを放つなど2安打4打点。「あれだけの逆風を突いてのホームラン。あれが大きかった」と指揮官は最敬礼した。

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