福岡ソフトバンクがアメリカのドラフト1位指名選手と契約交渉、紳士協定の行方は?

福岡ソフトバンクが、昨年のMLBドラフトで全体の8番目でブレーブスから1位指名を受けたカーター・スチュワート投手と契約の交渉をしており、合意したという報道もある。日米のアマチュア選手に対する紳士協定に波紋を呼びそうだ。

MLBドラフト

MLBドラフトは毎年6月に行われ、カーター・スチュワート投手は昨年のドラフト1位でブレーブスに指名された。198cmから約158キロの速球を投げ、実績もある投手として全体でも8番目という高い評価だった。

しかし、MLBは契約金の交渉で入団がまとまらない事がある。スチュワート投手も約4億700万円を希望していたが、ブレーブス側は身体検査で手首に異常が見つかった事などもあり、約2億2000万円を提示した。MLBのドラフト交渉期限は7月上旬までで、そこまでに契約できないと球団は交渉権を失う。他のMLB球団もその選手と交渉することは出来ず、選手は翌年以降のドラフト会議を待つ事になる。スチュワート投手も契約に合意できず、現在はイースタン・フロリダ州短大に在籍しているという。

そしてMLBの場合、細かい制度は分からないが、短大に入っていたとしても今年のドラフト会議でスチュワート投手の指名ができ、来月に行われるドラフト会議でも1巡目の指名候補だったという。代理人のスコット・ポラス氏は2009年にドラフト1位で指名されたストラスバーグ投手の入団交渉の際にも日本球界入りを示唆し、指名したナショナルズとの交渉を優位に持っていこうとした経緯がある。今回の報道もドラフト会議に向けた駆け引きかと思われたが、すでに契約に合意したという報道もある。

日米紳士協定に波紋

NPBとMLBの間には、お互いの国のアマチュア選手の獲得について、1962年に両リーグのコミッショナーが交渉をしており、「双方のアマチュア選手の獲得は、あらゆる種類の問題を引き起こすので自粛すべき」という確認をおこなった。これが日米紳士協定となった。

この協定によって、一応はMLB球団のよるスカウトの動きなどを封じることができていたものの、日本では2008年にENEOSの田沢純一投手がメジャー挑戦を表明したり、大谷翔平選手についてもNPBのスカウトが接触できない期間にMLBスカウトが接触を図り、ドラフト会議前にはNPB球団に指名お断りを表明していた。そして昨年、パナソニックの吉川峻平投手を社会人野球のルールに定められた期間の前に契約を交わすという事件が起こった。

一方、日本側も、1979年にパドレスから2巡目で指名されたデレク・タツノ投手が、低い評価を不服として日本の社会人野球・プリンスホテル入りし西武への入団を希望したことがあったが、紳士協定を理由にMLBがタツノ選手を1980年、1981年、1982年と指名をし続け、1982年にブルワーズに1位で指名されて入団している。

他にもMLBでドラフトで指名された選手を獲得する動きがあったようだが、基本的にはMLBのドラフトでの指名や契約に不満があり、日本球界入りを選択肢に加えて交渉をするという手段に使われている。

今回の件も、基本的にスチュワート投手はMLB入りを望んでおり、今後の行方を見守りたいが、もし契約に至ることになると、今度はMLB側に協定違反の口実を与えてしまう事になる。大船渡の佐々木朗希投手には多くのMLBスカウトがマークを続けている他、今後、将来のメジャー入りを希望する選手と、NPBのドラフト会議前に契約をするという今回と同じようなケースが起こった時、元々、ルール的な拘束力のない紳士協定ではあるが、その違反を日本側も言えなくなる。

今回の契約が合意に至った時、紳士協定は実質的に無くなり、日本もMLBスカウトの無法地帯になるかもしれない。日米のアマチュア選手の獲得をルール化が必要になりそうだ。

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