ドラフト総決算2012 ~第9章~ 衝撃!

選手コラム

 スカウトが走る初夏の季節

 3月末をもって北海道日本ハムとの交渉権が無くなった東海大・菅野智之。アメリカ留学などの案もあったようだが、結局東海大学に在籍する形で1年間浪人することとなった。公式戦には出られないことから、チームのシートノックでバッティング投手を行い、打者との対戦の感覚を保ちながら、1週間に1度、100球以上を投げ込むローテーションを自分で組み立てていた。そんな菅野に朗報が入る。4月24日、巨人がスカウト会議を開き、菅野投手を再び1位指名する事を決めた。そのニュースに菅野は素直に「うれしい」と応えた。

 5月、高校野球は春季大会が全国各地で開催され、冬に急成長した選手が結果を見せ始める。大学野球はリーグ戦が行われ、ドラフト候補達のチェックをしなければならない。そして社会人野球も各地の大会やリーグ戦、都市対抗の予選が行われる。スカウトにとっては最も忙しい月だと思う。でも、飛び回る大変さよりも、新しい発見をする喜びの方が大きい季節なのだ。

 大阪ガスの左腕・公文克彦投手が公式戦で2試合連続完封を記録すると、NTT西日本の増田達至投手がリリーフで151kmを記録する。大院大・金田和之投手が連続完封を続けると、高校野球では宇都宮工・星知弥が140km後半を記録し10球団のスカウトが視察、福島・光南の183cm左腕・佐藤勇も好投を続け、こちらにも10球団のスカウトが集まる。

 6月に入ると、春季高校野球や大学のリーグ戦も終わり、大体どんな選手がドラフト上位候補になるのかがわかってくる。各球団もスカウト会議を開催し、選手のリストアップと絞込みの作業を進める。大学野球選手権が開催される全国に散らばっていたスカウトが東京に集まり、スカウト会議を開くのに良いタイミングだ。横浜DeNAはスカウト会議でドラフト1位で即戦力投手の指名に絞込んだ事を表すと、2位で駒大・白崎浩之選手を狙うあらすじを思い描いていた。野手を狙っていた広島も投手の1位指名を決定する。しかし、大学野球選手権で衝撃が走った。

 20Kの衝撃!

 春のリーグ戦が終わると、大学生は進路を決めなければならない。他の大学生同様、社会人の内定はこの時期に出され、ドラフトにかかるかかからないかの選手は、社会人の練習に参加したり、面談を受けることになる。亜大・東浜巨投手はドラフト1位確実だったのだが、肘の状態を考えた亜大・生田監督がアマチュアの指導者の道を勧め、東芝との練習試合の際に東芝・印出監督と会い、内定をもらっていた

 各地の注目大学生候補が集まる大学野球選手権、道都大・佐藤峻一、大累進が力を見せた初日、6月12日、さすがに梅雨の時期の東京は毎年天気が悪い。神宮球場は雨天の中何とか3試合が終わったものの、第4試合の大体大-三重中京大の試合は13日の東京ドーム第4試合に変更となった。そして三重中京大には154kmを記録すると言われる則本昂大がいる、スカウトもファンも全国大会でどんなピッチングをするのか期待していた。相手は松葉貴大、宮川将の控える大体大、注目のカードだった。雨で1日延期され東京ドームになったことも、則本にとって運命を変える一つだったかもしれない。

 東京ドームのマウンドに登った則本投手は、スピードガンの表示が厳しい東京ドームで150km台を連発する。そして最速は151kmを記録した。ストレートは高めに浮いたものの、面白いように空振りを取れる。そして何より、スライダーはバッターが球が消えるような感覚を持ったというほどのキレの鋭さで、スライダーでも狙って空振りを奪えた。9回までに18奪三振を記録、タイブレークとなった10回は暴投で1失点するも2三振を加えて合計20奪三振、スタンドに集まったスカウトに衝撃を与えた。

 則本投手も既に社会人から内定をもらっていた。ドラフト有力選手であれば、指名があったときにはプロに行くというような条件付きの内定をもらうことがある。しかし則本投手はドラフトのことは頭に無く、日本生命から通常の内定をもらっていた。そしてドラフトまで則本の悩みは続いていく事となった。

 20Kの衝撃もあったが、大学野球選手権は道都大・佐藤峻一、大累進、九共大・川満寛弥、そして則本に投げ勝った大体大・松葉貴大、創価大の大エース・小川泰弘などが順調に勝ち進み、プロからドラフト上位候補のお墨付きを与えられる。そして、決勝に残ったのはやはり東京六大学と東都、早稲田大と亜細亜大だった。

 亜大・東浜巨投手は140km前半のストレートながら、地方大学の雄に隙を与えない、完成度の高さがあった。しかし、屈指の選手層を誇る東京六大学の覇者には、それだけでは通用しなかった。4番杉山翔大にホームランを浴びるなど7回4失点で降板、早稲田の1年生・吉永健太朗に敗れ、大学での全国制覇は秋の明治神宮大会を残すのみとなった。

 12球団は矢継ぎ早にスカウト情報を出す。オリックスは九共大・川満寛弥投手を中日は龍谷大・古本武尊選手を上位候補に挙げ、阪神は東海大・伏見寅威をリストアップ、光星学院・北條史也を上位候補に西濃運輸・小豆畑真也捕手をリストアップ、などを報じていく。千葉ロッテはスカウト会議を開き、1位候補を東浜巨投手を中心に15人まで絞り込む。

日本ハム巨人埼玉西武中日ソフトバンク東京ヤクルト東北楽天広島千葉ロッテ阪神オリックス横浜DeNA
上位
候補
選手
大谷翔平菅野智之増田達至
藤浪晋太郎
大谷翔平
濱田達郎
福谷浩司
古本武尊
東浜巨投手
大谷翔平
大谷翔平
藤浪晋太郎
東浜巨投手
大谷翔平東浜巨投手
大谷翔平
東浜巨投手大谷翔平
藤浪晋太郎
福谷浩司
東浜巨投手東浜巨投手

 

 季節は夏に入る。そしてこの夏、多くのスカウトとファンは、新たな衝撃を受ける。

続く

スポンサーリンク
スポンサーリンク
ドラフト会議ホームページ2020 Draft home page

コメント