第108回全国高校野球選手権神奈川大会は7日に1回戦が行われ、市ケ尾高が関東学院六浦に5-3で競り勝ち、初戦を突破した。1点リードの8回から4番手で救援した背番号18の中山優太朗投手(3年)が、自己最速タイの145キロを連発する力投で2回を2安打無失点、3奪三振。今夏限りで退任する菅沢悠監督(39)との最後の夏に向け、「公立の星」が最高のスタートを切った。
1点リードの8回に登板、145キロを3度計測して試合を締める
恵まれた体を持つ守護神が8回にマウンドに立った。市ケ尾高は序盤に3点を先行される苦しい展開だったが、5回に逆転して1点リードで終盤へ。8回から登板した中山優太朗投手は、初球からいきなり自己最速タイの145キロをマークした。「自分はクローザー。ショートイニングで勝ちにつなげることができるようにマウンドに上がりました」(日刊スポーツ)と自信のある直球を力いっぱい投げ込み、スコアボードには145キロが3度表示された。8回は2安打を許しながらも無失点で踏ん張ると、9回は危なげなく打者3人で締めた。最後の打者を128キロのスライダーで空振り三振に仕留めると、後ろを振り返って右拳を握った。
「監督含め、3年生全員にとって最後の夏なので、本当に勝ちたい一心だった。まずは初戦を勝ちきってホッとした」(スポーツニッポン)と中山投手は汗を拭った。4投手の継投でつかんだ白星に、菅沢監督も「奇跡の勝利だと思う」(スポーツニッポン)と七夕の勝利を喜んだ。
入学時は116キロ、おにぎり10個とSNS研究で遂げた急成長
入学時の球速は116キロ、体重は60キロだった。それでも「私立に勝てるように」(スポーツニッポン)と3年間で成長を重ねた。投球面では外部の野球トレーナーに教わったピッチングドリルをこなし、体づくりではプロテインやサプリメントを摂取。毎日実家から10個のおにぎりを持参して平らげ、体重は80キロまで増えた。母・弘子さん(54)が「昔は菓子パン1個しか食べなかったのに」(スポーツニッポン)と驚くほどの変身で、剛速球右腕へ生まれ変わった。
また、大学野球で活躍する選手のSNSをチェックしては参考にし、特に影響を受けたのがプロ注目の慶大・広池浩成投手(4年)のインスタグラムだった。「ウェートの方法、ピッチングのメカニクス。サプリメントの取り方を取り入れました」(日刊スポーツ)と研究を重ね、「ピッチングのすべてを学ばせてもらっている」(スポーツ報知)と語るほど吸収した。今春の地区予選・桐光学園戦では140キロを記録し、最速は入学時から30キロ近く伸びた。
それでも順風満帆ではなかった。2年時は肩のケガで春、秋ともに公式戦登板なし。昨秋11月の練習試合で復帰したが、先発では結果を出せなかった。どうしたら自分の力を発揮できるのか。チャンスをくれたのが菅沢監督だった。練習試合でリリーフに起用されると「ゲームにすごく入りやすかった」(日刊スポーツ)と手応えをつかみ、「後ろを投げたいです」とクローザー転向を直訴した。
最速144キロのエースと二枚看板、退任する恩師に捧げる最後の夏
チームにはこの日登板のなかった最速144キロのエース右腕・大塚遼投手(3年)も控える。背番号18を背負う中山投手は「18はプロのエースナンバーだし、市ケ尾の裏エースとして頑張りたい」(スポーツニッポン)と共闘を誓った。
菅沢監督は「投手の練習メニューは一切ない。(外部コーチから)彼らが自分たちでちゃんと教わったこと、自分に必要なことをひたすらやっている」(スポーツ報知)と選手の自主性を明かし、「3年生にとっては常に最後。彼らの最後が1番良い形になるように」(スポーツ報知)と成長した選手たちに目を細めた。
大塚投手、中山投手のパワー投球で市ケ尾が注目される。
【中山 優太朗】 プロフィール
- 氏名: 中山優太朗(なかやま・ゆうたろう)
- 所属: 市ケ尾高校(3年)
- 出身: 神奈川県横浜市(小2で藤が丘ファイターズで野球を始め、もえぎ野中時代は麻生ベースボールクラブでプレー)
- 生年月日: 2009年2月6日(17歳)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 178cm、80kg
- 主な特徴や実績: 自己最速145キロの直球を武器とするクローザー右腕。入学時は最速116キロだったが、外部トレーナーのピッチングドリルや大学野球選手のSNSを参考にした体づくりで、2年半で球速を30キロ近く伸ばした。2年時は肩のケガで公式戦登板がなかったものの、クローザー転向を機に開花し、今夏の神奈川大会初戦・関東学院六浦戦では2回2安打無失点3奪三振の好救援で勝利に貢献。憧れは横浜DeNA・山崎康晃投手。背番号18の「市ケ尾の裏エース」として、チーム初の8強入りに向けた活躍が期待される。












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