二刀流として今年のドラフト1位候補に名前の上がる山梨学院高の菰田陽生投手(3年)が7月6日、第108回全国高校野球選手権山梨大会1回戦の韮崎戦(山日YBS球場)に「3番・DH」で先発出場し、高校通算39号となる特大2ランを含む2安打2打点の活躍で13―0の5回コールド勝ちに貢献した。今春センバツでの左手首骨折以来、実に106日ぶりとなる公式戦、ネット裏にはNPB8球団15人のスカウトが集結し、完全復活を告げる一発に賛辞を惜しまなかった。
復帰戦でいきなり39号、左中間芝生席上段への特大2ラン
この日の山梨学院は、思わぬアクシデントからのスタートだった。朝の事故渋滞に巻き込まれ、通常なら片道20分ほどの球場への道のりにチームバスは大幅な時間を要し、試合は15分遅れの午前9時15分にプレーボール。選手に焦りの色が出る中で主将の菰田陽生選手は、「リラックスしていこう」(スポーツニッポン)と平常心を貫いていた。
試合が始まればバットは早々に火を噴いた。初回無死二塁で遊撃内野安打を放って好機を広げ、杉村空飛選手の走者一掃の3点打で生還。一挙6点を先制する猛攻の起点となった。
そしてこの日のクライマックスは3回無死三塁の第3打席だった。カウント2ボール1ストライクから韮崎・鈴木爽太投手の直球をフルスイングすると、弾丸ライナーの打球はぐんぐん伸びて左中間芝生席の上段に着弾。「打った瞬間“いったかな”と思いました」(スポーツニッポン)と手応え十分の高校通算39号2ランだった。この日はフルスイングをテーマに掲げており、「1、2打席目は打ち損じをしてしまった中で、3打席目にホームランが出ました。ケガをしてる間のトレーニングが良かったのかなと思います」(日刊スポーツ)と充実の表情を見せた。
吉田洸二監督(57)も「今までのホームランとはまた質の違った、一瞬『入るかな』と思ったところから上段まで飛んでいく(打球の)伸びがあった」(デイリースポーツ)と絶賛。対戦した鈴木投手も「率直にうわぁーすごいなと思ったのが一番強くて。もうすごいの一言しかないですよ」(日刊スポーツ)と規格外の一発に舌を巻いた。
8球団15人のスカウトが集結、巨人は「1位競合指名」と予想
ネット裏には巨人、阪神、千葉ロッテ、東北楽天などNPB8球団15人のスカウトが視察に訪れた。巨人は4人態勢、阪神は畑山統括スカウトら3人態勢で熱視線を送り、北海道日本ハムも木田優夫GM代行が姿を見せた。負傷明けとは思えない打球に、各球団から称賛の声が相次いだ。
巨人・榑松伸介スカウトディレクター:「打球が低かったのでフェンス直撃かと思いましたが、あの打球の低さで、芝生席の上段まで伸びていきました。これぞ菰田という当たりでした。打撃はセンバツ以来初めて見ましたが、(骨折の)影響を全く感じさせないプレーだった。(投打)どちらも無限の可能性を秘めている。(ドラフトでは)1位競合指名になるでしょう」
千葉ロッテ・榎康弘アマスカウトディレクター:「最初の2打席は(タイミングなどが)合っていなかったけど、3打席目でしっかり修正した。体もケガする前よりも大きくなっている。あれほどのパワーを持っている高校生はなかなかいない。スター性がある」
東北楽天・部坂俊之スカウト:「あんなところまで飛ばすなんて驚きです」
阪神・吉野スカウト:「(ケガ明けで)あれだけ飛ばせるのはすごい。練習試合も見たけど、しっかり取り組んでいるのが分かる」
低い弾道でぐんぐんと伸びていく打球、スカウトもフェンスに激しく衝突するかと思った打球がフェンスを越え、上段のネットに突き刺ささった。しかし本人は打った瞬間に入ったと思ったという所に、菰田選手の成長を見ることができる。
故障期間を力に変えた106日、相棒も復活し4季連続の甲子園へ
今春センバツ1回戦の長崎日大戦では、自身の甲子園初本塁打を放ちながら、一塁守備の際に打者走者と交錯して左手首を骨折した。それでもリハビリ期間は走り込みで下半身を徹底的に鍛え、吉田監督が「箱根駅伝に行くのかってくらい走り込んでいました」(スポーツニッポン)と驚くほどの取り組みで、予定より2週間早い5月中旬にブルペン入り。投手として6月上旬、打者として同下旬に実戦復帰し、最後の夏に万全の状態で間に合わせた。菰田投手自身も「ケガをしている間のトレーニングが良かった。ケガをして良かったところもあるのかな」(デイリースポーツ)と、増したパワーに手応えを口にした。
この日は左肘のコンディション不良から復活した檜垣瑠輝斗投手(3年)も先発し、4回を無安打無失点、7奪三振と好投。吉田監督は「結果(勝利)も(うれしい)ですけど、万全の状態でみんなが迎えられたというのは本当にうれしいし、ほっとしている」(サンケイスポーツ)と投打の柱の復活を喜び、菰田投手の公式戦登板については「大会の流れを見ながら。適材適所で持っている力をこの大会にぶつけてもらえたら」(デイリースポーツ)と期待を寄せた。
次戦は12日の2回戦で巨摩と対戦する。「勝ち進んでいくにつれて相手選手の力量も上がってくる。チームの勝ちが一番の中で、自分の打撃だったり、ピッチングでチームの勝ちに貢献できれば一番」(スポーツ報知)と菰田投手。ドラフトに向けた動きでも、ドラフト1位競合指名へと着実に評価が上がっていくことだろう。
【菰田 陽生】 プロフィール
- 氏名: 菰田陽生(こもだ・はるき)
- 所属: 山梨学院高校(3年)
- 出身: 千葉県御宿町(御宿小では御宿少年野球クラブ・九十九里リトルリーグで全国優勝、御宿中では千葉西リトルシニアでプレー)
- ポジション: 投手(投打二刀流)
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 195cm、102kg
- 主な特徴や実績: 最速152キロの直球にスライダー、カーブを操り、打っては高校通算39本塁打を誇る投打二刀流の右腕で、今秋ドラフト1位候補に挙げられる。今春センバツ1回戦の長崎日大戦で甲子園初本塁打を放つも、一塁守備中に打者走者と交錯して左手首を骨折。リハビリ期間の走り込みで下半身を強化し、106日ぶりの公式戦復帰となった夏の山梨大会初戦・韮崎戦で高校通算39号の特大2ランを放ち、NPB8球団15人のスカウトの前で完全復活を示した。憧れはドジャース・大谷翔平選手で、3学年上の兄・朝陽選手(上武大3年)も来秋ドラフト候補。主将としてチームを束ね、4季連続の甲子園出場と日本一を目指す。




























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