春夏連続で夏は4年ぶり15度目の甲子園出場を果たした三重で、最速149キロを誇るエース格の右腕・古川稟久投手(3年)が、三重大会決勝で利き腕を負傷しながらも、聖地での復帰登板に強い意欲を見せている。全治2週間から1カ月の肉離れで初戦は絶望となったが、「勝って古川を放らせよう」を合言葉に、チームは結束を強めている。
決勝9回の激痛、「トミー・ジョンかと…」よぎった最悪の事態
古川稟久投手は、三重大会決勝の9回2死で肘の不調を訴えて降板していた。診断結果は右腕の肘付近の肉離れで、全治は2週間から1カ月。沖田展男監督(48)は「肘とか関節の異常ではなく、MRI検査でも何も異常なしでした」と説明した。
決勝戦で襲った激痛に、古川投手自身も最悪の事態を覚悟していた。「靱帯だと思った。トミー・ジョン(手術)かと…。靱帯じゃなくてよかったです」と、後に安堵の胸中を明かした。3月のセンバツでは2回戦で大阪桐蔭に延長10回タイブレークの末に惜敗したが、4番手で登板した古川投手は3イニングを無安打で5奪三振と好投し、自信を深めていただけに、負傷離脱は痛手だった。
初戦は第7日・松商学園戦、「1イニングでも2イニングでも」
初戦は大会第7日(11日)の第4試合・松商学園(長野)戦に決まった。抽選で後方の日程を引き当てたことが、古川投手にとっては復帰への時間的な猶予となる。沖田監督は「(クジも)後のほうを引けたのでよかった。1イニングでも2イニングでも投げさせたい」と、聖地でのマウンドを見据えた。
古川投手も「キャプテンが遅い日を(抽選で)引いてくれた。時間が稼げる。期待してくれているので投げられるように調整したい。期待に応えたいです」と前を向く。当面は治療を続けながらサポート役に回り、復帰の時を待つ。
キーマンは背番号1・吉井、「古川をもう一度」全員野球で初戦突破へ
古川投手を欠く投手陣で大きなキーマンとなるのが、背番号1を背負うエース・吉井海翔投手(3年)だ。沖田監督は「キーマンは吉井ですね。県大会でも吉井が本当に良い流れを作ってくれていました。基本は継投なので、県大会でやってきたような投手起用で、吉井がいつも通りのピッチングをしてくれたら」と期待を寄せた。初戦の松商学園は、練習試合などで手の内を知り尽くす相手だ。指揮官は「相手の特徴も分かっている分、戦いやすい」と苦手意識はない。
甲子園練習最終日、水野央清選手らナインは実戦形式に時間を費やし、調整を進めた。沖田監督は「『古川をもう一度投げさせよう』という思いでチームが結集するかなと思う。意外と甲子園はそういう力で勝ち進むかなと思います」と、逆境を力に変える手応えを口にした。仲間の言葉は、負傷した古川投手の背中も押している。「『俺らが勝つから待っとけ』と言ってくれて心強い」。アクシデントをエネルギーに変えた三重が、全員野球でエースの復帰登板を目指す。
【古川 稟久】 プロフィール
- 氏名:古川稟久(りく)
- 所属:三重高校(3年)
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速149キロを誇る本格派右腕。3月のセンバツでは大阪桐蔭戦で3イニングを無安打・5奪三振と好投し自信を深めた。三重大会決勝の9回に右腕肘付近を肉離れして降板し全治1カ月と診断されたが、聖地での復帰登板に強い意欲を示す。「勝って古川を放らせよう」を合言葉に結束するチームの中心として、初戦の松商学園戦から続く戦いの先での復活が期待される。




















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