聖隷クリストファー(静岡)の最速150キロ左腕・高部陸投手(3年)が、7月27日の第108回全国高校野球選手権静岡大会決勝・常葉大菊川戦で9回5安打2失点10奪三振の完投勝利を挙げた。初回に5番・小金沢玲雄選手(3年)の先制満塁弾で援護を受け、89球で強打の相手を封じて4-2で勝利。2年連続2度目の夏の甲子園出場を決めた。
有言実行の三振締め、89球10奪三振で完投
昨夏の静岡大会決勝は、最後の打者を二ゴロに打ち取ったものの、一塁ベースカバーに入って歓喜の輪に出遅れた。「今年は三振でみんなをマウンドに迎えたい」。前日に思い描いたシナリオ通り、高部陸投手はその時を迎えた。
4点リードの9回、3連打などで2点を返され、なお2死三塁。そこで高部投手は再びギアを上げると、この日10個目の三振を高め145キロの直球で空振りに仕留めて大きくガッツポーズ、「みんなが自分のところに来てくれるのが見えて『優勝したんだ』と実感できた」(日刊スポーツ)と、有言実行の歓喜の輪の中心に入った。
準決勝の完投から中1日にもかかわらず、初球でいきなり149キロを計測。3回に初安打を許した後は力いっぱい直球を投げ込み、6回には自己最速タイの150キロをマークした。左打者6人の相手打線に外角を効果的に突き、7回まで二塁を踏ませない散発2安打。「一球一球真っ向勝負の気持ちでいった。チーム一丸となってもう一度、甲子園に出るという思いでやってきた成果が出た」(スポーツ報知)と胸を張った。
1試合平均0.98四球、際立った制球で強打を料理
高部投手は150キロの球威だけではない。際立った制球力が魅力で、全6試合で計36回2/3を投げ、四球はこの日の1つを含めてわずか4。1試合平均は0.98と1に満たない。防御率は0.74と抜群の安定感を誇った。
昨秋の東海大会準決勝では三重に7回コールドで大敗し、センバツ切符を逃した。完投に次ぐ完投で疲労が溜まっていた事もあったが、6回に13安打を浴びて10失点と沈み、「フォームが分からなくなった」という敗戦だった。そこから毎日メモをつけて気づきを書き留め、オフには肉体改造に取り組んで体重を67キロから74キロへ増やした。「1年で一番成長したのはコントロール。右の内角に思い切って攻められるようになった」(スポーツ報知)と手応えを口にした。
就任3カ月で聖隷を聖地へ導いた田中公隆監督(52)は、春から導入されたDH制をつかって今大会でエース高部を投手に専念させると共に、初戦から小金沢投手を先発で起用するなど、エースへの負担を軽減させる采配を行った。手厚い援護と野手陣の成長が甲子園へと後押しした。
“四天王”の再集結、聖地でのライバル対決へ
世代の“四天王”と評される中で、高部投手は再び聖地への切符をつかんだ。山梨学院の菰田陽生投手こそ山梨大会で敗退したが、横浜の織田翔希投手、沖縄尚学の末吉良丞投手とともに甲子園の舞台に戻る。組み合わせ次第では対戦する可能性もある。
今大会直前には、高岡第一の156キロ左腕・前田侑大投手と「一緒に甲子園に出てU18に出よう」と誓い合った。試合後には、敗れた常葉大菊川のエース・佐藤大介投手から「頑張ってこいよ」と声を掛けられたという。
春夏通じて初めて立った昨夏の甲子園は2回戦で敗れた。「去年とはスタミナも制球も違う。1つでも多く勝って恩返しがしたい。活躍して侍ジャパンにも選ばれたい」(日刊スポーツ)。この夏の主役に名乗りを上げた左腕は、この夏の主役になる。
【高部 陸】 プロフィール
- 氏名:高部陸(たかべ・りく)
- 所属:聖隷クリストファー高校(3年)
- 出身:埼玉県(根住少年野球→武蔵嵐山ボーイズ)
- ポジション:投手
- 投打:左投左打
- 身長・体重:175cm、74kg
- 主な特徴や実績:自己最速150キロの直球を軸に、精密な制球を誇るプロ注目の左腕。世代の“四天王”の一人に数えられる。静岡大会決勝の常葉大菊川戦では9回5安打2失点、10奪三振の完投で2年連続の夏の甲子園出場に導いた。今大会は全6試合に登板して計36回2/3を投げ、奪三振48、四球4、防御率0.74と抜群の安定感を示した。昨夏以上の飛躍とU18日本代表入りを目指す。





































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