中京の鈴木悠悟投手(3年)が、二刀流でチームを甲子園に導いた。夏の高校野球選手権岐阜大会の決勝で、投げては大垣日大を相手に2失点完投、打っては3安打1打点と躍動し、7年ぶり8度目の夏の甲子園出場を自らの手でつかんだ。この日は中日が7人態勢で視察するなど8球団のスカウトが集結した。
大会直前に40度の発熱乗り越え、変化球主体で2失点完投
鈴木悠悟投手は大会の開幕直前に40度近い発熱に見舞われ、1週間ほど練習を離脱。体重も3、4キロほど減り、開会式にも参加できなかった。「背番号1をつけている自分がチームを勝たせないと、ずっと飾りの1番だ」と自身を奮い立たせて決勝のマウンドに立った。
自己最速148キロを誇る直球はこの日141キロ止まり。「今大会を通してなかなかストレートが上がらなかった」と振り返ったが、得意のスライダーを軸に配球を組み立てて122球を投げ抜いた。7回に暴投なども絡んで2失点したものの、4番・竹岡大貴投手を迎えた場面では、捕手のサインに首を振ってスライダーを選択し、空振り三振に仕留めた。本調子でない中でも能力の高さを示す一球だった。
結局8安打2失点(自責1)に大垣日大を封じて完投。「直球が走っていなくてもムキにならず、いろんな工夫をしながら投げた」とクレバーな投球を冷静に振り返った。
初回に先制打、二刀流のセンス光る3安打1打点
打撃でもセンスが光った。「3番・投手」で先発した鈴木投手は、初回1死一塁で「何が何でも先制点を取ろう」と打席に入ると、左中間を破る先制の適時二塁打。「甘く入ってきた直球を反応で打てた」と振り返った。「1点入ったところで、マウンドでもだいぶ楽になった」と、先制点が投球にも好影響をもたらした。
その後も3回に右安打、7回には追加点の基点となる中前安打を放ち、3安打1打点。打線も4回、無死一塁から7番・大橋勇太外野手(2年)が左中間へ適時二塁打を放つと、9番・橋本海翔外野手の適時打で続き、この回2点を追加して力投のエースを盛り立てた。
NPB8球団が視察、甲子園ニューヒーロー候補として名乗り
投打にセンスあふれる二刀流を、ネット裏では多くのプロのスカウトが見つめた。中日は荒木雅博球団本部長補佐を含む7人態勢、阪神も畑山俊二統括スカウトら3人態勢で視察するなど、NPB8球団が集結した。
中日・荒木雅博球団本部長補佐:「投打両面ですばらしい素質を持っている」
中日・山田潤スカウトチーフ補佐:「投打ともにセンスがある。バッティングではタイミングの取り方がうまい」
優勝の瞬間、マウンド上で右手人さし指を突き上げて涙を見せた鈴木選手、「校歌を歌った時に“甲子園だ”って実感しました」(スポーツニッポン)と喜びをかみ締めた。エースで主軸の重責を果たしての、安堵の涙だった。
夏の甲子園での中京の最高成績は、藤田健斗(阪神)らが達成した2019年の4強だ。昨夏の甲子園で躍動し今夏も聖地への切符を手にした横浜の織田翔希投手、沖縄尚学の末吉良丞投手、聖隷クリストファーの高部陸投手らに負けじと、鈴木投手は甲子園のニューヒーローとして名乗りを上げる。「甲子園という舞台に行っても、自分のスタイルは貫き通したい」。全国の強豪校を相手に、マウンドで、打席で躍動する姿を思い描いた。
【鈴木 悠悟】 プロフィール
- 所属:中京高校(3年)
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:自己最速148キロの直球と、キレのあるスライダーを武器とするプロ注目の右腕で、投打二刀流を貫くU18日本代表候補。岐阜大会決勝の大垣日大戦では、大会直前に40度近い発熱に見舞われながらも、変化球を軸に122球を投げ抜いて2失点完投。打っても「3番・投手」として初回に先制の適時二塁打を放つなど3安打1打点と躍動し、中京を7年ぶり8度目の夏の甲子園出場に導いた。NPB8球団が視察した逸材が、聖地でも投打二刀流での活躍を目指す。


















コメント