2010年ドラフト候補のスタイル:斎藤佑樹投手とは?

選手コラム 2010年ドラフト

2010年ドラフト選手のキャンプでの模様が連日放送されています。まだまだ始まったばかりでなんともいえませんが、私が思う選手の特徴や楽しみな点をまとめてみました。まずは(やっぱり)斎藤佑樹投手から。

北海道日本ハム・斎藤佑樹

ご存知・斎藤佑樹投手、アマチュア時代はどんな選手だったのでしょうか。最も注目されるのは2006年の夏の甲子園、決勝の駒大苫小牧との対戦では延長15回を投げきり引き分け再試合でも完投してもなお衰えない147kmのストレートの勢い、田中将大(現東北楽天)と投げ合いを制してで見事優勝したヒーローです。

 しかし注目したいのは2回戦の大阪桐蔭戦、当時2年生ながらNO1スラッガーだった中田翔(現北海道日本ハム)に対し、インコースのボールやアウトコースのスライダーで翻弄し4打数3三振と完全に押さえ込んだピッチングです。元々斎藤投手のストレートはその球だけでプロのスカウトが評価するものではありませんが、こういう場面でこういうストレートがしかもコントロールされて投げられる所が評価されています。 なのでキャンプでのブルペンでの投球やキャッチングの音などで評価をするのはまだまだ時期尚早。オープン戦に入ってバッターを手玉に取れるかで評価する必要があるでしょう。

 

次には体の強さ。高校では実はセンバツ大会の2回戦・関西戦でも延長15回を投げきり引き分け再試合となっているのです。甲子園で1年で2度、延長15回引き分け再試合となった投手はほかにいるのでしょうか?
また夏の甲子園前の西東京大会の決勝でも延長10回を投げています。その後ご存知のように甲子園決勝でも15回を投げきり翌日の再試合でも9回を投げきりました。それなのに大学4年間でケガがなく、リーグ戦のほかに日米野球や大学日本代表の大会には4年間全て選抜されて出場しています。 この体の強さと精神的なタフさは他の選手には無い部分でしょう。

 

最後に柔軟さ。高校時に選抜で横浜高校に敗れた後、フォームを今の形のようなコンパクトなものにしました。その後大学でもいろいろとフォームが変わっていますが、それなりに結果を残し試合を作る事ができます。またそれによりフォームが崩れている時も試合を作ることができますし、マウンドの違いや環境の違いにも対応してきます。また、打者によってスタイルを変えたり、1人の打者でも4打席とも違うスタイルを見せたりします。下半身や上半身のバランス感覚や打者に対する感覚、自分の現在の調子の把握、そしてどうすれば観客を魅せることができるのか、自然にできている感じです。
 かつてヤクルトの荒木大輔投手がひじのケガにより長いリハビリをしたあと、1992年に復活し、球速などはそれほどでもありませんが中継ぎとして活躍して野村ヤクルトを優勝に導いた事がありました。おそらくそれに近いモノを持っているのだと思います。

 

斎藤佑樹投手を評価するならば、一球一球の球質ではなく全体を見る必要がある、そしてそれだけの経験と深さがこの投手にはあると思います。高校生でヒーローとなり、常に注目される存在として4年間の大学野球を、ヒーローとしての重責を担ってきました。大学日本一になったときの「プロでもエンターテインメントできるように頑張る。」という言葉は、一球の球速や試合の勝ち負けだけでない自分の役割を良く知っているからなのでしょう。

この「深さ」を、ファンもマスコミも楽しまなければ、斎藤佑樹という投手を見た価値も減ってしまうのだろう、そんな事を思わせてくれる投手です。

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