2023年のドラフト会議で、この指名はラッキーだったなという選手を、個人的に評価している選手を中心に紹介します。ストーリーはあくまで個人的な予測です。
2023年ドラフト会議のラッキー指名
埼玉西武ドラフト2位・上田大河投手
ドラフト2位指名はウェーバー順で行われるが、まだ1位指名候補にしていた選手が残っている事も多く、もし順番が来た時にその選手を指名するか、それとも1位指名との兼ね合いを優先してプラン通りの指名をするか迷う所もある。
埼玉西武は1位で武内夏暉投手を指名し、2位でも投手の指名は狙っていたのではないかと思うが、上田大河投手が残っていると考えていたか。2巡目1番目の中日は高校時代から上田投手に注目してきており、3番目の東京ヤクルトもかつて大西広樹投手などを指名し大商大との縁もある。
しかし、中日は1位で野手の抽選を外して投手を指名したことで、2巡目では野手を指名し、ヤクルトは社会人の松本健吾投手を指名、4番目の西武に指名が回ってきた。西武は投手中心のドラフトを公言するも、元々は佐々木麟太郎選手の獲得を狙っていた所でもあり、廣瀬隆太選手なども候補にしていたかもしれないが、1位で左の本格派、2位で右の本格派の獲得をした。
福岡ソフトバンク2位・岩井俊介投手、3位・廣瀬隆太選手
ウェーバー順で8番目というのは非常に微妙な順番である。2巡目でも中途半端だし、3巡目でも中途半端で、特に2巡目では元々1位候補としてリストアップしていた選手がちょうど尽きる頃ではないかと思う。
ソフトバンクは1巡目で武内夏暉投手を指名したが抽選で外し、高校生の前田悠伍投手の交渉権の獲得に成功した。しかし、ちょっと即戦力も指名しておきたい所だなと思っていた時、上記のように玉突きが起こり、さらに巨人がHonda鈴鹿・森田駿哉投手を指名し、8番目の所に岩井俊介投手が残っていた。
これにより1位で高校生左腕、2位で即戦力右腕の獲得となった。そしてソフトバンクは、佐々木麟太郎選手の獲得を狙っていた球団の一つで、スラッガーもほしい所だった。当然、廣瀬隆太選手選手をリストアップしており、獲得したい投手がいない時は廣瀬選手を指名していたと思う。岩井投手を指名して廣瀬選手は縁が無かったか、という所に、3巡目で廣瀬選手が残っていた。
2巡目で次のロッテが大谷輝龍投手を、阪神が椎葉剛投手を指名した時、ソフトバンクのテーブルや控室では、ドキドキしながら廣瀬選手が残るのを待っていた人も多かったのではないかと思う。
オリックス3位・東松快征投手
オリックスは昨年も指名の終盤の方で、リーグを制覇し余裕を持って指名を待っていたが、内藤鵬選手が残っていると少し考えて2位で指名し、今シーズンは立派にプロスペクトとなった。そして今年は2巡目の最後で折り返しの3巡目もあり、2人同時に指名できる。そして最初にリストアップしていた河内康介投手を指名し、3巡目で東松快征投手を指名した。
東松投手も150キロを超す球を投げる左腕投手で、まさか残っているとは思っていなかっただろう。ドラフト会議でのこの余裕さが、リーグ優勝をしたチームが味わえる、最高の瞬間というものだ。
千葉ロッテ3位・木村優人投手
この指名はラッキーではない。千葉ロッテは木村投手をかなり高く評価していたと思う。しかし2位では大谷輝龍選手を先に指名した。阪神、オリックスは十分指名する可能性のある球団だったと思うが。それでも2球団が指名した4人の中に木村投手はおらず、見事に3位で指名した。阪神は2位で椎葉投手を指名しているが、そうなると大谷投手も候補に入っていたのではないか思われ、何らかの情報があり、2位と3位を入れ替えたかもしれない。
横浜DeNA3位・武田陸玖選手
DeNAの指名を見ていると、3位の武田陸玖選手の指名が輝いて見える。1位2位の組み合わせが投手&野手の組み合わせが多いチーム(2021年は小園投手&徳山投手で投手投手だった)だが、3巡目には松本隆之介投手だったり、粟飯原龍之介だったり、昨年の林琢真選手だったりと、少しスカウトが将来を託すような選手を指名するが、今年は武田選手だった。1位でも外野手を指名しているが、高校生屈指の外野手も3位で獲得し、おそらく今年の関根選手のような活躍を将来に見ているのだろう。
中日3位・辻本倫太郎選手
辻本倫太郎選手は北海道日本ハムが、地元北海道枠の有力な選手として狙っていたのではないかと思う。そして3巡目、辻本選手を指名するか、宮崎選手を指名するかの判断で、あと1球団残っている中日は2位で津田啓史選手を指名しており、2回続いて内野手は無いだろうと、宮崎選手を優先したのではないか。しかし中日は内野手2枚の獲得を目指しており、見事に指名に成功した。
結局、北海道日本ハムは地元枠の選手をリストアップしながらも、1人の指名も無く終わってしまった。
北海道日本ハム4位・明瀬諒介選手
その日本ハムだったが、4位で明瀬諒介選手が残っていた。この選手も評価が高い球団もあったと思うが、色々なめぐり合わせでここまで残り、辻本選手を指名されてしまった日本ハムが、九州の大砲を獲得した。
東京ヤクルト4位・鈴木叶捕手
ヤクルトは「高校生捕手は時間がかかる。高校生では彼がNO.1」と、鈴木叶捕手の獲得を目指していた。しかし3巡目、日本ハムは2位で進藤勇也捕手を指名しており、中日は怖いが賭けに出て石原勇輝投手を先に指名、そして4位では鈴木選手が残っていた。実際に日本ハムや中日が石原投手や鈴木選手を狙っていたかはわからないが、そういう事は知らずに素直にラッキーだったと思えれば、人生は楽しくなる。
オリックス4位・堀柊那捕手
実際のドラフトでも、仮想ドラフトをやっていても、流れというものを感じる。この順位はどこの球団も大学生のスラッガーを狙ってきているなとか、ここは高校生の内野手の流れだな、というような感じで、前の球団でそのカテゴリの選手の指名があると、その流れに導かれることがある。
4巡目はヤクルトが鈴木選手を指名し、高校生の流れがあった。そして阪神は高校生捕手を獲得したいと話しており、この順番で堀柊那選手や寺地隆成捕手の指名を予想したと思う。しかし阪神は高校生内野手に2人目・百崎蒼生選手を指名し、1位で高校生内野手の横山聖哉選手を獲得しているオリックスは堀選手の指名を行った。
ドラフト会議後に阪神の岡田監督は「100点でええよ。最初からピッチャー4、内野手2は予定通りやったから。」と話し、捕手は指名する予定ではなかったように話した。そうなると事前に話していた情報は何だったのだろうか???
千葉ロッテ5位・寺地隆成選手
千葉ロッテも阪神の4巡目と5巡目で寺地隆成選手は指名されていると思っていたと思うが、残っていたため最後の指名となる5巡目で指名をした。
埼玉西武6位・村田怜音選手
最近は実績を残した大学生より、実績は少ないものの、体のサイズが大きくポテンシャルの高い、言わゆるロマン枠と呼ばれる選手が3位前後で指名されるような逆転現象も起こる。今年は村田怜音選手がそんな選手になるのではないかと見られたが、大学生投手が豊富だった事もあってか、3位で廣瀬選手が残るなど、まだ上位評価の選手が残っていたこともあり、村田選手は指名されずに残っていた。
上にも書いたが、今年は山川選手があんな事で出場ができずに攻撃でも苦しみ、佐々木麟太郎選手の獲得を目指していたと見られる埼玉西武が、支配下ドラフト最後の指名として村田選手を指名した。
育成ドラフト
育成ドラフトに関しては、今年は次々と指名が進んでゆき、上のような玉突きなどは無かったと思う。その中で個人的にラッキーだったと思うのは、
千葉ロッテ育成2位・松石信八投手
1年時から小さい体でものすごい球を投げていた投手で、特に高く評価していた。3年時には故障により登板機会が非常に少なく、多くの球団のスカウトが見られない中で、千葉ロッテはその前後に松石投手をチェックし、ドラフト前にも追いかけ続けていたのではないかと思う。昨年、オリックスがドラフト3位で指名した齋藤響介投手が、今年のリーグ戦終盤に高校卒ルーキーながら先発し、非常に将来が楽しみな投球を見せたが、松石投手もあの躍動感ある投球を見せられれば、同じような将来が見えてくるのではないかと思う。
福岡ソフトバンク育成ドラフト3位・佐倉侠史朗選手
佐々木麟太郎選手、真鍋選手とともにBIG3と呼ばれた選手で、佐々木麟太郎選手がアメリカへ、真鍋選手が3位までの指名がなければ進学を打ち出す中で、育成でもプロ入りを表明し、佐々木選手の獲得を狙っていたソフトバンクが指名した。個人的には高校1年時のような打撃で良いので、ファームで10本以上を、そして20本を超えれば支配下、1軍と繋がっていくと思う。3つに大きく別れたBIG3の道、どれが正解ということはないが、育成でもプロ入りした佐倉選手を応援したい。頑張れ!
横浜DeNA育成ドラフト3位・小笠原蒼選手
小笠原蒼選手についてDeNAは、河原SDが「どっしりしていて、すり足で、逆方向にも打てる。筒香嘉智のような雰囲気がある。高校生の中でも抜けていて、トップクラスにパワーがある」と高く評価していた。特に「筒香」という名前は、DeNAにとって最高のブランドになる。
しかし支配下ドラフトでは名前が呼ばれず、この順位でも指名となった。筒香選手のように1年目からファームで26本塁打を放ち、一気に花開いてほしい。
福岡ソフトバンク育成ドラフト4位・中澤恒貴選手
この選手がここまで残っているのは意外だったと素直に言えるのが中澤恒貴選手だろう。ショートを守り、坂本勇人選手ような打ち方で高校通算24本以上を放っていて、人気が出るであろう選手だと思った。特に上田西の横山聖哉選手がドラフト1位で指名されているのであれば、それほど大きな差は無い選手だと思う。プロではぜひ、横山選手とのショート対決を見せてほしい。
千葉ロッテ育成ドラフト4位・藤田和樹選手
藤田和樹選手も松石選手と同じく、150キロの速球を投げる投手と言われながら、最後の夏は制球が乱れみ乱れて本来の投球を全くできなかった。しかし187cmの左の大砲として25本以上のホームランを放っており、育成4位で外野手として指名された。千葉ロッテの九州担当スカウト・有吉優樹スカウトは、松石投手も含めて、選手を練習までしっかりと追っているのではないかと思う。スカウトの期待に応えたい。
福岡ソフトバンク育成ドラフト6位・藤原大翔投手
今年のソフトバンクは、福岡大大濠の藤田悠太郎捕手、九州国際大付の佐倉侠史朗選手、そして育成6位で藤原大翔投手を指名し、地元にこだわっているという印象を受けた。これはもちろん地元球団としての役割もあるが、もう一つ理由があるように感じる。
今年、ドラフト1位で指名をして縁の無かった武内夏暉投手は、福岡出身で地元の八幡南出身だった。また、九州国際大付出身の下村海翔投手、筑陽学園出身の西舘昂汰選手、大分舞鶴出身の常広羽也斗投手が大学で大きく成長し、ドラフト1位で指名される選手となった。そして筑陽学園の進藤勇也捕手、島原中央出身の椎葉剛選手も独立リーグで大きく成長し2位で指名された。
福岡ソフトバンクは毎年、多くの選手を育成ドラフトで指名しているが、これだけの選手がもし指名できていれば、どんな事になっていたのか。逆になぜこれらの選手を指名していないのかということになる。もし私が福岡ソフトバンクのスカウト部長なら、「どうしてこんなに地元の選手が大学で1位候補になっているんだろうねぇ」と、スカウトに聞こえるように嫌味の一つでも言うだろう。
将来、大学などに進んでドラフト1位候補になりそうな選手を、とにかく指名したのではないかと、勘ぐってしまうばかりだ。
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