【2023ドラフト会議】独立リーグ躍進!ドラフト会議の指名内訳からみる今年の傾向

2023年ドラフトニュース

10月26日に行われた2023年のドラフト会議、独立リーグから2人のドラフト2位指名選手が誕生し、合計で23人の指名選手と大きく躍進しました。

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支配下ドラフト指名選手

小さい文字は昨年・一昨年の指名人数

 高校大学社会人独立他合計
投手11←12←1620←12←1710←12←94←0←145←36←43
捕手4←4←41←1←30←0←00←0←05←5←7
内野手7←5←55←7←32←3←32←2←016←17←11
外野手2←4←52←7←82←0←30←0←06←11←16
合計24←25←3028←27←3114←15←156←2←172←69←77

育成ドラフトの指名人数

小さい文字は昨年・一昨年の指名人数

 高校大学社会人独立他合計
投手14←16←155←10←60←0←06←5←225←31←23
捕手2←1←50←3←10←0←01←1←23←5←8
内野手8←8←41←2←10←0←05←1←214←11←7
外野手2←2←41←6←50←0←05←2←48←10←13
合計26←27←287←21←130←0←017←9←1050←57←51

カテゴリ別分析

カテゴリ別の指名順(4巡目まで)

()は全体順位
 ・・・1位の1回目の入札の6人は1番目、2回目の入札の3人は7番目、3回目の入札2人は11番目、4回目の入札12番目となる。2巡目からは全体の順番(中日2位が全体の13番目)としている。

高校生

高校生は育成での指名が一昨年、昨年よりも5人増え、特に投手と内野手の指名が増えた。全体ではオリックスに1回目の入札で指名された上田西の横山聖哉選手が1番最初の高校生の氏名となり、2回目の入札で3球団が競合した前田悠伍投手が2番目の指名となった。昨年は1回目の入札で斉藤優汰投手(広島)、浅野翔吾選手(巨人・阪神)、イヒネイツア選手(福岡ソフトバンク)、松尾汐恩捕手(横浜DeNA)が指名されており、上位指名はかなり少なくなった。

ただし、3巡目から4巡目では高校生の指名も多くなり、4巡目までには大学生と同じ程度の選手が指名され、支配下全体でも大学生より4人少ない程度、昨年より1人少ない程度となった。

高校生の指名の順番を見てみるとだいたいは元々高く評価されている選手で、河内康介投手は夏ゴロから急上昇して高校生4番目にジャンプアップしたものの、指名された中では順番的にもだいたい評価通りと思う。ただし、真鍋慧選手、森田大翔選手などはこの中に入ってきてもおかしくなかったと思うが、順位縛りなどの影響もあったと思う。

また育成も昨年と同程度だが、浜田泰希選手や高見澤郁魅選手、佐倉侠史朗選手、小笠原蒼選手、高野颯太選手、平田大樹選手、中澤恒貴選手といった支配下ドラフトで指名されなかった内野手を確保したいという各球団の動きが見られた。150キロ右腕の藤田和樹選手は外野手として指名され、また、武内涼太投手や寿賀弘都投手も野手として期待されている。せ

個人的には高い能力を持ちながら高校ではその力が発揮できなかった桐蔭の松石信八投手がプロでどこまで上がってくるか注目したい。

大学生

大学生は昨年は1位で7人が指名されているが、今年は9人が指名された。東都リーグから7人が1位指名されている。また2位も含めると14人が指名され、今年の大学生選手が高く評価されたことがわかる。

ただし、大学生の支配下28人は昨年とほぼ変わらず、投手20人に対し野手が8人と少なく、外野手は昨年から激減したことが、全体的な人数アップには繋がらなかった。

大学生の指名順を見ていくと、高く評価されていた投手8人が評価通りの8番目まで並び、全員が1位指名されている。野手では1位指名で大学生12番目の上田希由翔が最初に指名となり、進藤勇也選手が野手2番目となった。4巡目までに指名された21人の並びも評価通りと見て良いだろう。

育成指名では昨年の21人から7人に大きく減ることとなった。これについての分析は難しいが、育成全体で指名が8人減っており、独立リーグの選手の指名が多くなったことでそこに枠を取られたと考えることもできるが、指名漏れの選手を見ると、投手と内野手は育成ならばプロに行かないとした選手が多かったのではないかと思われ、大学生は全体的に評価される選手が少なかった。

育成の中で注目したい選手を一人挙げると、巨人1位指名の三浦克也投手で、個人的には今年前半に新たに見つけられた唯一の投手だった。左のリリーフと役割も明確で、昨年から急成長を見せた投手だが、比較的早いタイミングで使われる可能性もあるのではないかと思う。

社会人

社会人は1位はENEOSの度会隆輝選手が3球団から指名される目玉クラスとなった。昨年も1位指名は吉村貢司郎投手のみ、2位まででも昨年と変わらず4人の指名となり、全体も昨年とほとんど変わらなかった。

一方で独立リーグの指名が増えており、本来ならば社会人選手が指名される枠が独立リーグに移ったとも考えられる。

社会人の順番を見ると、4位までには6人が指名され、投手よりも野手の方が多くなった。期待された高校卒3年目の投手、大学卒2年目の投手が思うように目立たず、都市対抗ではベテランの嘉陽宗一郎投手や森田駿哉投手が目立ち、社会人日本代表でも若手の投手ベテラン中心のチーム投手陣で、若手がアピールできる機会の少なさが影響しているものと見られる。これはリーグ戦で何試合も出場機会のある独立リーグと、基本的に一つ一つの大会が一戦必勝の社会人野球との違いで、リスクもある若手投手よりも、安定感のあるベテランが起用される事になることの弊害と言えるだろう。

近年は社会人で注目された選手が独立リーグに移るケースも多く、今年のドラフトでも千葉ロッテ2位の大谷輝龍投手、阪神2位の椎葉剛投手の他、大泉周也選手、松原快投手、芦田丈飛投手が社会人野球を経験した後に独立リーグでプレーし、NPB入りを勝ち取っている。

巨人は上位6人中3人を指名しており、チーム状況が社会人選手指名に繋がったといえるが、この状況がなければ社会人野球の選手の指名は昨年より減ることになり、危機感を感じざるを得ない。

独立リーグ

ドラフト2位で2人、全体の22番目で大谷輝龍投手、23番目で椎葉剛投手が指名され、支配下指名が昨年の2人から6人へと大きく増えた。また育成でも9人から16人と指名が増え、全体で11人から22人へと増え、独立リーグの大躍進のドラフトとなった。

内訳でも投手が増えた他、野手も数を増やしている。前述したように社会人で評価された投手が独立リーグに移籍したり、または高校で評価の高かった選手が大学や社会人ではなく独立リーグに加入したこともあり、高校卒の独立リーガーでは日渡騰輝選手、菊田翔友投手、谷口朝陽投手、金子功児選手、宇都宮葵星選手、高野光海選手などが指名された。

それにより独立リーグはこれまで、社会人野球の受け皿的なポジションにあったと思うが、高校、大学、そして社会人で評価された選手が独立リーグに入ると、投手のレベルが高くなるとそれに伴って野手のレベルも高くなっていく。これまでは社会人と独立リーグでは差があるとも言われ、例えば投手の奪三振率などの成績が、独立リーグの数値と社会人野球の数値で比較できないような印象もあったが、今はその差はなくなったと感じる。独立リーグで高い成績を残している選手は、おそらく社会人でも目立つ活躍をしているだろうと評価できるようになった。

受け皿的なポジションだった独立リーグが、NPB入りをするのに近いポジションとなり、今後もますます指名が増えていくのではないかと思う。

ポジション別分析

投手捕手内野手外野手
1武内夏暉(1)進藤勇也(14)横山聖哉(1)度会隆輝(1)
2西舘勇陽(1)鈴木叶(39)上田希由翔(12)武田陸玖(30)
3常広羽也斗(1)堀柊那(48)津田啓史(13)佐々木俊輔(32)
4下村海翔(1) 山田脩也(26)宮崎一樹(35)
5前田悠伍(7) 廣瀬隆太(29)  
6草加勝(7) 辻本倫太郎(36) 
7西舘昂汰(7) 明瀬諒介(38) 
8細野晴希(10) 泉口友汰(41) 
9古謝樹(10) ワォーターズ瑠海(42) 
10松本健吾(15) 石上泰輝(43) 
11上田大河(16) 仲田侑仁(45) 
12森田駿哉(17) 百崎蒼生(47) 
13坂井陽翔(18)   
14松本凌人(19)   
15岩井俊介(20)   
16高太一(21)   
17大谷輝龍(22)   
18椎葉剛(23)   
19河内康介(24)   
20東松快征(25)   
21木村優人(27)   
22滝田一希(28)   
23日當直喜(31)   
24杉山遙希(33)   
25石原勇輝(34)   
26福田幸之介(37)   
27成田晴風(40)   
28村田賢一(44)   
29早坂響(46)   

投手

支配下全体では昨年より9名増え、特に大学生の指名が8人、独立リーグから4人が指名された。育成では大学生が5人減ったものの、指名全体では昨年の67人から71人と4人増えた。全体の割合でも投手71人、野手51人と投手の多いドラフト指名となっている。

ドラフト4位指名までを見ると48枠中29枠が投手指名となり、特に上位で指名される投手が多かった。順番を見ると大学生投手の指名が多くなっているが、2巡目あたりからは高校生、社会人、独立リーグの指名も混ざっていく形になっている。選手を見てもおおよそドラフト前の評価通りという印象を受ける。

捕手

昨年からは支配下は同数で、社会人からは3年連続で捕手の指名は0人となった。育成では大学生が減り、全体の指名でも10人から8人となったが、大きな変動ということはない。

日本ハムの2位で進藤勇也捕手が指名され、少し空いて鈴木叶選手、堀柊那選手が、そして5位で寺地隆成捕手、7位で藤田悠太郎捕手と、大体、事前の評価通りの指名になったと見られる。

内野手

支配下では16人で昨年から1人減、育成では13人で昨年から2人増と変わらない人数となり、各カテゴリは高校生がやや増、大学生がやや減であるものの大きな変わりはない。

指名の順番を見ると、高校生の横山聖哉選手が内野手全体の1番目となり、指名したオリックスの方針と、強肩の遊撃手という横山選手の素質が合致した形となった。2番目の上田希由翔もファーストやサードの内野手だが大学NO.1の打撃と評価され、度会選手の抽選を外した千葉ロッテの需要に合致した。

続いて津田啓史選手、山田脩也選手、辻本倫太郎選手といった二遊間系の内野手と、廣瀬隆太選手、明瀬諒介選手といった強打の一三塁系の選手が混在しながらも、チーム事情からすぐに活躍できそうな泉口友汰選手を巨人が、将来性を評価してワォーターズ瑠海選手を楽天が指名した。事前の評価通りの順番だったと思う。

ただし、事前に評価されていた真鍋慧選手、森田大翔選手が指名されなかったり、小笠原蒼選手、佐倉侠史朗選手、高野颯太選手、中澤恒貴選手などが育成指名となり、ドラフトの流れ的に高校生内野手が支配下で指名されず、育成で残っていた選手を指名する形になった。

外野手

支配下では大学生外野手が大きく減らし、支配下全体で昨年から5人減った。育成では独立リーグが3人増えて5人となったものの、全体では21人から14人に減った。大学生については指名漏れした選手を見ても全体的に評価された選手が少なかったように見え、高校生も強打の選手は内野を守っていることが多く、外野手の候補選手は少なかった。

順番を見ると、度会隆輝選手が全体の1番目で3球団が競合した。社会人野手の1位指名は2019年の小深田大翔選手(東北楽天)、佐藤直樹選手(福岡ソフトバンク)以来4年ぶりとなる。

2番目は武田陸玖選手が全体の30番目でDeNAが3位で指名し、3番目は全体32番目の巨人3位・佐々木俊輔選手、4番目が全体35番目の日本ハム3位・宮崎一樹選手となった。佐々木選手は即戦力を求める巨人の需要に合致した形で個人的には少し早く指名されたという印象。

その後は星野ひので選手が日本ハムの5位でようやく最初に登場し、大学2番目の中島大輔選手は東北楽天の6位で指名された。

育成でも大学生は福島圭音選手一人だけで、独立リーグから5人が指名され、独立リーグの外野手も、これまでは俊足系の選手で足で使えるかという選手が指名されてきた印象だが、足だけでなく打撃や守備もしっかりしていてレギュラーでポジションを任せられそうな選手や、独立リーグでホームランを量産し長打力のある大泉周也選手なども、他のカテゴリと同じように評価されて指名されるようになった印象を受けた。

2023年ドラフト会議指名選手一覧
2023年のドラフト会議は10月26日に行われ、支配下ドラフトが72人(昨年より+3人)、育成ドラフトが50人(昨年より−7人)の、合わせて122人(昨年より-4人)が指名されました。
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