柳川高の左腕エース・小坪碧人投手(3年)が、最後の夏に自己最速147キロをマークしながら、無念の幕切れとなった。13日に久留米市で行われた全国高校野球福岡大会3回戦、シードの福岡工大城東戦。0―0のまま迎えた9回裏2死二、三塁、120球目のカットボールが捕手のミットをかすめて後方へ跳ね、三塁走者が生還。「サヨナラ暴投」で0―1と敗れ、甲子園への夢は絶たれた。視察したプロのスカウトをうならせた本格派左腕は、「プロ志望を提出します」と次の目標を見据えた。
初回先頭から5者連続三振、7回には自己最速147キロ
小坪碧人投手は、初戦の久留米高専戦でも5回で9奪三振と好投していたが、「今日が一番調子が良かった」とこの試合も序盤から全開。初回先頭から5者連続三振で立ち上がると、5回までに7奪三振を積み上げた。中盤は打たせて取る投球に切り替えたが、7回には自己最速の147キロをマーク。右打者の手元で鋭く曲がるカットボールやカーブも決まり、8回まで散発5安打9奪三振と危なげない内容だった。視察に訪れていたプロのスカウトも頷く投球だったという。
しかし、試合は厳しい終わり方を見せる。0―0で迎えた9回裏、内野安打で先頭打者を出すと、続く打者に死球を与えて2死二、三塁とピンチを広げた。そして投じた120球目、勝負のカットボールが力み、暴投となって決勝点を招いた。「カットボールで三振を狙っていったら力が入ってしまった。悔しい思いだけです」。喜ぶ相手ナインを前に、エースはマウンド付近にその場に座り込んだ。
春から急成長の183センチ左腕、最速を7キロ更新
183センチ、85キロの恵まれた体格を誇る小坪投手だが、今春までは県内でもそれほど注目された存在ではなかったという。しかし、春の福岡大会3回戦で八女学院に敗れたあとに急激に成長を遂げた。冬のトレーニングで88キロまで増やした体重を85キロに絞ると、球に切れが戻ってきた。春の大会では140キロだった球速が夏を前に一気に上がり、制球も安定。夏の大会前には練習試合で19奪三振を記録するなど、最後の夏に懸けて積み上げてきた努力が一気に開花した。
成長を間近で見守ってきた御所豊治監督は、「3年間順調に成長してくれた。春からは意識を高く練習してすごく成長しました。頑張ったので勝たせてあげたかった」と、教え子の奮闘に悔しさを隠せなかった。
甲子園は逃したが「プロになる」もう一つの目標へ
この夏、甲子園出場の夢は果たせなかった。だが小坪投手には「プロになる」というもう一つの大きな目標がある。無念のサヨナラ負けを喫した直後も、その決意は揺るがなかった。「プロ志望を提出します」。新たな目標に向かって、左腕は前を向いた。
夏の一戦で見せた147キロの直球と、打者を翻弄したカットボール。0―0の投手戦を8回まで演じ切った実力は、プロのスカウトの目にも焼き付いたはずだ。高校最後の夏に才能を一気に開花させた本格派左腕が、次の舞台でどこまで球速を伸ばし、どんな投手へと成長していくのか。その歩みに注目したい。
【小坪 碧人】 プロフィール
- 氏名:小坪碧人(こつぼ・あおと)
- 所属:柳川高校(3年)
- 出身:福岡県久留米市(東国分小・東国分インパルス→明星中・小郡広川リトルシニア)
- ポジション:投手
- 投打:左投左打
- 身長・体重:183cm、85kg
- 主な特徴や実績:最速147キロの直球と、右打者の手元で鋭く曲がるカットボールやカーブを武器とする本格派左腕。今春までは突出した存在ではなかったが、福岡大会3回戦で八女学院に敗れてから急成長し、球速を7キロ更新した。中学時代は小郡広川リトルシニアで九州大会準優勝を経験。柳川では1年夏からベンチ入りし、今春からエースナンバーを背負う。最後の夏となった福岡大会3回戦の福岡工大城東戦では8回まで散発5安打9奪三振と好投してプロのスカウトをうならせた。甲子園の夢は絶たれたが、プロ志望届の提出を明言し、次の舞台での飛躍を目指す。








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