高岡第一のエース左腕・前田侑大投手(3年)が、球場表示で高校生左腕では最速タイとなる156キロをたたき出した。第108回全国高校野球選手権富山大会2回戦が11日、高岡西部総合公園で行われ、前田投手は富山工を相手に7回を1安打無失点、毎回の14奪三振と圧倒。チームは7―0の7回コールドで初戦を突破した。今秋のドラフト候補に挙がるサウスポーが、強烈な投球を見せ、高校生の投手のランキングを大きく変える事になりそうだ。
内角低めにズバリ、2番打者を見逃し三振に仕留めた156キロ
初回からギアは全開だった。前田侑大投手は先頭打者への初球でいきなり150キロを計測すると、その後も152キロ、153キロ、155キロを球速を増していく。そして1死から2番打者の竹内大悟内野手(3年)を迎えると、カウント2―2からの5球目、津嶋心捕手(3年)が右打者の内角低めに構えたミットへ剛速球を突き刺し、見逃し三振に仕留めた。スコアボードに「156キロ」が表示されると、ネット裏の高校野球ファンからどよめきが起きた。
前田投手は「初回から調子が良く、そのような数字が出たのは良かった。構えたところにしっかり投げ切れたので、納得のいく一球でした」(スポーツ報知)と振り返り、「全部三振を取りに行く気持ちで投げています」と胸を張った。
5回まで無安打投球を続け、6回1死に左前打を許したものの、120キロを切るカーブも織り交ぜて富山工打線を圧倒。最終7回にも150キロ超えを計測し、三振は毎回の14個を数えた。ベンチで見守った村本忠秀監督(61)は「ここのところずっと調子が良くて、練習試合でも152、153キロは出ていましたからね。しっかりと大会に合わせてきましたね」(日刊スポーツ)と目を細めた。
視察スカウト陣が絶賛、柔らかい肩周りが生む球速アップ
入学時は130キロにやっと届く程度だった球速は飛躍的に伸び、今やスカウトが足しげく富山へ通う存在となった。この日ネット裏で視察したスカウト陣は「高校生左腕では屈指の存在」と声をそろえた。
千葉ロッテ・榎アマスカウトグループディレクター:「高校生左腕ではトップクラス。鍛えれば、もっとスピードは出そう」
広島・高山スカウト:「宮城投手(オリックス)のようになる可能性を持っている」
スカウト陣からは球場のスピード表示が4キロ程度速いという誤差の指摘もあったが、仮に152キロだったとしても、これまでの公式戦最速151キロを上回る数字であり、存在をアピールするには十分だった。
かつてNTT西日本を指揮し、岸田譲投手(現オリックス監督)らを育てた村本監督は、球速がアップしたことについて「肩周りが柔らかく、可動域が広い。柔らかさ、ボールの質の良さは、岸田に似ている。下半身を鍛え、特性を最大限に利用した投げ方ができている」(スポーツ報知)と話す。決してエリート街道を歩んできたわけではない。中学時代は軟式でエースをつかめず、レギュラーポジションは一塁手だった。それでも村本監督はキャッチボールの姿に大器の片鱗を感じ取っていたという。
昨年、2年夏の富山大会3回戦では、当時未来富山のエースだった江藤蓮投手(現上武大1年)に投げ負けた。「このままではいいピッチャーで終わっちゃうぞ」という指揮官の言葉が、飛躍への大きな分岐点になった。
意識するのは沖縄尚学・末吉良丞投手、45年ぶりの聖地へ
同じ左腕として強く意識するのが、昨夏の甲子園で優勝投手となった沖縄尚学の末吉良丞投手(3年)だ。前田投手は「伸びのある真っすぐでは負けたくない。経験は向こうの方が上だが、甲子園で同じ舞台に立ちたい」(スポーツ報知)と対抗心を隠さない。
4月には侍ジャパンU18代表候補の強化合宿メンバーにも選出された。織田翔希投手(横浜高)、菰田陽生投手(山梨学院)、高部陸投手(聖隷クリストファー)など、高校BIG3が注目されているが、そこに大きく割って入るこの日の快投だった。ドラフト会議でも当然1位の12人の中に入ってくる可能性があり、勢力図が大きく変わるかもしれない。
高岡第一の甲子園出場は2000年春が最後で、夏は81年以来遠ざかっている。当時選手として聖地を踏んだ村本監督も「こんなチャンスはない」とこの夏にかける思いは強い。高校生離れした本格サウスポーが甲子園で登板した時には、聖地でも大きな衝撃が走ることだろう。そして今秋のドラフト会議に向けて、スカウト陣の視線はさらに熱を帯びそうだ。
【前田 侑大】 プロフィール
- 氏名:前田侑大(まえだ・ゆうと)
- 所属:高岡第一高校(3年)
- 出身:富山県高岡市(ビッグファイトボーイズ→南星中軟式野球部)
- 生年月日:2009年1月23日
- ポジション:投手
- 投打:左投左打
- 身長・体重:173cm、71kg
- 主な特徴や実績:球場表示最速156キロの直球に、スライダー、カーブ、チェンジアップを操る本格派サウスポー。入学時は130キロにやっと届く程度だった球速を、柔らかい肩周りと広い可動域を生かした投球フォームで飛躍的に伸ばした。1年夏に背番号18でベンチ入りし、2年秋からエースナンバーを背負う。4月にはU―18日本代表候補の強化合宿メンバーに選出された。夏の富山大会2回戦では7回1安打無失点、毎回の14奪三振の快投でコールド勝ちに貢献。45年ぶりの夏の甲子園出場、そして今秋ドラフトでの飛躍が期待される。































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