第108回全国高校野球選手権大会の1回戦、2年ぶり5度目の出場となった白樺学園(北北海道)が東日本国際大昌平(福島)に接戦の末1―2で敗れた。9回2死一、二塁、2番手として登板していた147キロ右腕の2年生・後藤健投手が、二塁走者をけん制で刺し、いったんはアウトの判定を受けた。しかし今大会から導入されたビデオ検証で判定はセーフに覆り、直後に決勝打を許した。8回には二遊間で「アライバ」を彷彿とさせる超美技も見せた2年生は、敗戦の責任を1人で背負い、涙に暮れた。
アウトからセーフへ、覆った判定の直後に決勝打
1―1で迎えた9回、エースの村端勇心投手からマウンドを引き継いだ後藤健投手が登板すると、最速143キロの速球の威力を見せる。しかし、先頭打者への四球など制球が定まらずにランナーを背負うと、後藤投手は二塁へのけん制で一度はアウトと判定されたものの、ビデオ検証の結果セーフに覆った。そして2死一、二塁。カウント3―1から、相手2番・入ケ町隼仁選手の内角へ力を込めて投じた138キロ直球はレフト前へはじき返され、二塁走者が生還。決勝点を献上した。
「間があいて、その間もなんとか集中しようっていう風には思ってたんですけど。どこかで気の緩みが出て、ああいう結果になってしまったのかなと思います」(日刊スポーツ)と後藤投手は話す。「今年から入って、難しいなと感じた。地方大会とは違う甲子園の怖さを実感した」(スポーツ報知)と唇をかんだ。
「アライバ」彷彿の二遊間、8回に見せたプロ級の併殺
それでも後藤投手は、この試合で堅守を存分に披露していた。1―1の8回1死一、二塁。二遊間を襲った鋭いゴロを二塁の金井瀬那選手が横っ跳びでダイビングキャッチし、二塁ベースカバーに入った後藤投手へグラブトス。後藤投手は右手で素手でキャッチして、そのまま一塁へ転送し4―6―3の併殺を完成させた。かつて中日で二遊間を組み、数々のコンビプレーを決めた荒木雅博氏、井端弘和氏の「アライバ」を彷彿とさせる2年生コンビのプレーに、抜ければ1点は確実という場面で、アルプススタンドからは地鳴りのような歓声と大きな拍手がわき起こった。
金井選手とは共に両打ちで、3番と5番の中軸を担うコンビ。後藤投手が登板すると金井選手がショートに入り、9回のビデオ検証で覆ったプレーでは金井選手が球を受けていた。「自分がもっと強くタッチしとけばよかったなと後悔してます。あのけん制がアウトだったら自分たちに流れがきてたと思う」(日刊スポーツ)と悔やんだ。
主将・村端の熱投も実らず、2年生に託した来夏
この日、先発したのは主将でエースの村端勇心投手だった。115球を投げて8回1安打1失点と粘り、6回には自らのバットで同点の左前適時打も放った。1点を追う9回にも先頭で安打して出塁し、盗塁を決めて無死二塁の好機をつくったが、白樺学園は最後まであと1本が出なかった。
村端投手は「本当に自分の後ろを守ってくれていて、すごい心強かった。ピンチの場面でも安心して投げられたので、本当に後輩たちに感謝しています。来年、絶対戻ってきて、甲子園で勝ち進んでほしい」(日刊スポーツ)と、リベンジを後輩たちに託した。
来年に勝利を
試合後に後藤選手は、「3年生の野球を、自分が終わらせてしまったことに、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」(日刊スポーツ)と涙をこらえきれなかった。
亀田直紀監督は敗戦を静かに受け止め、「2年生が多いチームなんで、甲子園の厳しさが分かったと思う。これをどう受け入れるかは本人たち次第」(日刊スポーツ)と、新チームを支える選手たちの奮起に期待を寄せた。開幕戦で敗れた札幌日大とともに、北海道勢は3年連続で初戦敗退となったが、後藤投手ら2年生が攻守で沸かせたこの一戦は、来夏へとつながる貴重な経験となる。
【後藤 健】 プロフィール
- 所属:白樺学園高校(2年)
- ポジション:内野手(投手兼任)
- 投打:右投両打
- 主な特徴や実績:白樺学園の中軸を担う2年生で、遊撃の守備と投手を兼任する。この夏の甲子園1回戦・東日本国際大昌平戦では、8回に二塁手・金井瀬那選手のグラブトスを素手で受けて併殺を完成させる「アライバ」級の美技でスタンドを沸かせた。9回からは2番手として登板し、最速138キロの直球を投げ込んだ。ビデオ検証の判定に泣いた悔しさを糧に、来夏の甲子園での雪辱が期待される。
















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