第108回全国高校野球選手権大会は7日、大会第3日を迎え、3年連続6度目出場の健大高崎(群馬)が八幡商(滋賀)を7-1で下し、2年ぶりに初戦を突破した。エースナンバーを背負う2年生右腕・石垣聡志投手(2年)が先発し、最速148キロの直球とナックルカーブを操り、毎回の11奪三振で1失点完投勝利を挙げた。
ナックルカーブで毎回11K完投
石垣聡志投手が投じるナックルカーブは落ちるように鋭く縦へ曲がり、八幡商のバットが次々と空を切った。人さし指を立てて握るこの球は、オリックス・山下舜平大投手を参考に、高校1年時に動画を見て習得したもので、「山下投手のように、空振りを取れる軌道で投げたいと思って覚えたナックルカーブです」と明かす。毎回の11三振のうち、5つがこのカーブで奪ったものだった。
0-0の2回1死二、三塁のピンチでも慌てなかった。河井太記内野手(3年)を高めの直球で空振り三振に仕留めると、2死二、三塁では外角低めのカットボールで詰まらせ、宇城和輝捕手(2年)を遊ゴロに打ち取った。8回まで無失点。9回に二つの失策が絡んで1失点したが、117球を投げ抜いての完投だった。「完封を狙いにいっていた」と少し悔しげな表情も見せたが、被安打4、11奪三振の快投で白星を呼び込んだ。「ゾーンで勝負ができたことが結果につながった」とうなずいた。
2年生投手による毎回奪三振は、昨夏に優勝投手となった沖縄尚学・末吉良丞投手に続く史上9人目(11度目)の快挙となった。ナックルカーブについて生方啓介部長(45)は「あのカーブを投げられるピッチャーは、なかなかいない」と絶賛した。
「10年に1人の逸材」、島から高崎へたどり着いたエース
東京で生まれ、幼少期は神奈川で育った石垣投手は、小学5年で父の実家がある沖縄・石垣島へ移り住んだ。石垣第二中では、西武・平良海馬投手のいた軟式の「八重山ポニーズ」に所属。中学時代は「島に10年に1人の逸材がいる」と話題を集めていた。中学2年の冬、キャンプで石垣島を訪れた健大高崎の関係者が、青柳博文監督(54)と親交のある元八重山商工監督の伊志嶺吉盛氏から勧められて練習を見学。青柳監督は「将来、化ける」と一目ぼれし、群馬への進学が決まった。「当時からカーブは良かった。伸びしろを感じ、初めて見た時からエースにしようと思いました」と生方部長は振り返る。
健大高崎がセンバツ初優勝を遂げた一昨年春、石垣投手は甲子園を訪れ、当時の2本柱だった石垣元気投手の投球を目の当たりにした。「マウンドに立った瞬間に球場の雰囲気を変えてしまうような存在感」に憧れ、そのエースナンバーを継承。血縁関係はないが、周囲から「弟?」と聞かれるほど気に掛けてもらった。
今春に千葉ロッテへドラフト1位で入団した石垣元気投手からは、卒業時に「お前がエースになって、また甲子園に連れて行ってやれ」とエールを送られていた。群馬大会で調子が上がらなかった時期には本人に相談し、「リリースの感覚を教えてもらって、今日もそれを意識しました」と助言を力に変えた。
打線も6点ビッグイニングで援護、2回戦は東海大甲府と激突
打線の援護も厚かった。2回1死二塁から、8番・指名打者の豊永飛輝選手(3年)が中前へ先制適時打。群馬大会では無安打だった背番号「13」の今夏初安打が、貴重な1点を呼び込んだ。5回には5番・大岩翔斗選手の適時二塁打などで打者12人を送る猛攻を仕掛け、一挙6点のビッグイニングを演出。石垣投手も「ビッグイニングを作ってくれて、だいぶ楽に投げられた」と感謝した。主将の石田雄星外野手(3年)は2安打1四球で打線を引っ張り、6月に右手有鈎骨を骨折して1カ月離脱した影響を感じさせないプレーを見せた。
群馬大会ではずっとリリーフ起用が続いていたエース・石垣投手だが、試合前に青柳監督から「エースとして自立してもらいたい」と送り出されての先発だった。8回を終えて102球、7点リードの場面でも指揮官は「点を取られていなかった。自信を持たせたかったんで、なんとか投げさせました」と続投を託した。聖地デビューを完投で飾った石垣投手は「石垣という名字(の価値)を落とさないように。甲子園で日本一のピッチャーになりたいです」と力を込めた。
健大高崎は2回戦で東海大甲府(山梨)と激突する。元気から聡志へ、健大高崎の「背番号1」のストーリーは、この夏さらに熱を帯びていく。
【石垣 聡志】 プロフィール
- 氏名:石垣聡志(いしがき・そうし)
- 所属:健康福祉大高崎高校(2年)
- 出身:東京都生まれ・沖縄県石垣市育ち(石垣第二中→八重山ポニーズ)
- ポジション:投手
- 投打:右投右打
- 身長・体重:182cm、80kg
- 主な特徴や実績:最速148キロの直球に、オリックス・山下舜平大を参考に習得した“魔球”ナックルカーブ、カットボール、ツーシーム、スプリットを織り交ぜる本格派右腕。甲子園デビュー戦となった八幡商戦では毎回の11奪三振で1失点完投勝利を挙げ、2年生投手の毎回奪三振として史上9人目、群馬の2年生投手では初の快挙を達成した。昨夏のエース・石垣元気(現・千葉ロッテ)から背番号1を引き継いだ2代目エースとして、憧れの先輩に負けない存在感で日本一を目指す。

















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