甲子園初勝利を目指した札幌日大(南北海道)のエース右腕・石川瑛二朗投手(3年)が、第108回全国高校野球選手権大会第1日の開幕試合で、22年夏の覇者・仙台育英(宮城)を相手に自己最速を更新する146キロをマークし、9回3失点完投と粘ったものの、1―3で敗れて悲願の初白星は次世代へと持ち越しとなった。
自己最速146キロ、109球の熱投も一歩及ばず
先発マウンドを託された背番号1の石川瑛二朗投手は、登板前に大勢の観客が詰めかけたスタンドを見渡し「運がついてる」と気持ちを高めた。2回には自己最速を1キロ更新する146キロをマークし、序盤2イニングを無安打無失点に抑える上々の立ち上がりを見せた。
しかし2巡目から仙台育英打線が対応してきた。3回2死二塁からカーブをはじき返されて先制を許すと、4回1死からはプロ注目の仙台育英・田山纏外野手(3年)に、タイミングを外す意図で投じたカーブを右翼スタンドへ豪快に運ばれ、今大会第1号のアーチを献上した。「真っすぐに強いスイングをかけてきていたので、真っすぐを張っているのはバッテリー間で通じ合っていました。そこでカーブを選択したんですけど、そのカーブをうまく合わされた。少し高さも甘く入って、そこを一球で仕留められた」と悔やんだ。8回にも2死二塁から渾身の内角低め直球をはじき返され、手痛い3点目を失った。それでも逃げずに向かう強気の投球を貫き、109球を投げ抜いた。
しかし、打線は道産子右腕の古川諒弥投手(2年)などに3安打と封じられ、1点を争う好ゲームとなったものの、仙台育英に追いつくことはできなかった。
怖がりだった少年が聖地のエースへ、支えた父の存在
小学2年時に野球を始めた頃は「キャッチボールでも球を怖がって、練習に全くならなかった」と父・将一さんが話す。弱気な姿勢が目立った野球少年は、社会人野球経験者の父から時に厳しい指導を受け、歳を重ねるごとにたくましさを増していった。中学卒業後に親元を離れ、南北海道大会3年連続決勝進出の強豪で絶対的エースへと上り詰めた。
将一さんは東海大四(現東海大札幌)のエースとして3年時に南大会4強へ進みながら甲子園には届かなかった。その父が立てなかった舞台で、家族全員が見守る中、石川投手は何度も右拳を握ってチームを鼓舞した。「あんな怖がりだった子が、ここに出られるなんてすごい。よく頑張ったな」。将一さんは目を細めた。
「一生の宝物」を胸に、次は神宮で日本一へ
仙台育英の校歌が流れる中、石川投手は夜空を見上げて「高校野球が終わってしまったな」とつぶやいた。「たくさんの方々が応援してくれたり、支えてくれたので、悔しい気持ちと申し訳ない気持ち」と話し、「一球の重みというか、田山選手に打たれた本塁打とか四球からの失点とかなければ…」と涙を止められなかった。森本琢朗監督は「ボールの威力、質、変化球の切れ、本当に素晴らしいボールを投げた」と力投をねぎらった。
それでも大舞台で確かな成長を示した。「ここで投げさせてもらったことは、これから人生で大きな、大きな財産になった」と感謝を口にした石川投手は、卒業後も野球を続ける。進学先は東都大学野球リーグの大学で、「1部に上がってリーグ優勝して、次は神宮球場で自分がマウンドで投げて、絶対に日本一を取ります」と話した。
甲子園で見せた109球の投球は、次の舞台での活躍をきたいさせる素晴らしいものだった。
【石川 瑛二朗】 プロフィール
- 氏名:石川瑛二朗
- 所属:札幌日大高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:南北海道大会3年連続決勝進出の強豪で絶対的エースを務めた右腕。この夏の甲子園開幕試合・仙台育英戦では自己最速を1キロ更新する146キロをマークし、109球を投げて9回3失点完投と粘投を見せた。社会人野球経験者で東海大四(現東海大札幌)のエースだった父・将一さんの影響で野球を始め、直球の力強さを武器に成長。卒業後は東都大学野球リーグ所属の大学に進学予定で、「神宮球場で投げて日本一」を目標に掲げ、次の舞台での飛躍が期待される。












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