4年ぶりの日本一を狙う仙台育英(宮城)の4番、田山纏外野手(3年)が、夏の甲子園開幕戦で強烈な一撃を放った。甲子園で開幕した第108回全国高校野球選手権大会1回戦の札幌日大戦で、田山選手は1点リードの4回1死から右翼席中段へ大会第1号となるソロ本塁打をマーク。今秋ドラフト候補の左のスラッガーが確信歩きの豪快弾で試合の流れを引き寄せ、仙台育英は3―1で31年ぶりの開幕戦を制した。この日はプロ野球複数球団のスカウトが視察に訪れ、熱視線を送った。
甘い変化球を一閃、確信の右手を夕空へ
田山纏選手は小学1年から続けるルーティンで「行くぞ!」とほえてから打席に入った。1―0の4回1死、札幌日大のエース右腕・石川瑛二朗投手(3年)と対戦すると、カウント1―1からの3球目、甘く入った変化球をいつも通りのフルスイングで捉えた。
打球は大きな弧を描いて右翼スタンド中段へ。ゆっくりとダイヤモンドを回りながら、右手の人さし指を夕空へ突き出した。「甲子園は特別。観客がこんなに多い中で打てるとは。歓声がすごくて、打った瞬間に確信できた。気持ちいい一発」(スポーツ報知)と胸を張り、「事前にデータは頭に入っていたので、そこを狙って打てた」と冷静な狙い澄ましだったことも明かした。
これで高校通算25号。仙台でナイター想定の夜間練習をしており、「今年は第1打席でホームランを打ちたい」と宣言していた。
巨人スカウトも「小笠原道大のよう」、高卒プロ一本へ強い覚悟
この打撃には、視察に訪れたプロのスカウトも唸った。巨人の榑松伸介スカウトディレクターは、田山選手のスイングを現役時代にフルスイングを代名詞とした小笠原道大氏になぞらえて絶賛した。
巨人・榑松伸介スカウトディレクター:「素晴らしいバッティング。思い切りがいいのと、やっぱりスイングスピードが素晴らしい。来たボールに対してほとんどフルスイングできる。逆風がなければ1打席目も入っていたかもしれません。小笠原道大さんをほうふつとするフルスイングです。打った瞬間でした。お見事です。肩の強さもある。打って守ってっていうところでは能力が非常に高い」
中日・山本将道スカウト:「ツボにはまればいい。力がある」
茨城・鉾田市出身の田山選手は、中学時代から30~40校の誘いを受けながら「須江先生のもとでやれば、野球だけではなく、人間としても成長できる」と仙台育英を選んだ。遠投125メートルの強肩も光る強肩強打の外野手は、進路について「高卒でプロ一本で行かせてもらいたい。この大舞台でアピールして絶対にプロに行きたい」と力強く言い切った。
それでも本人は満足していない。須江航監督から「次の打席で、逆方向に打てたら本物」とハッパをかけられた後の2打席は凡退。「全然まだまだアピールできていない。成長してもっとアピールしたい」と、闘志に火をつけた。
継投で1失点完封リレー、「恩返しの夏」へ好スタート
仙台育英は140キロ台を記録する投手の継投を見せた。先発の2年生右腕古川諒弥投手が5回1/3を2安打1失点、7奪三振と力投。福井勇翔投手(2年)も制球に苦労したものの強い速球で押すと、7回からはエース番号を背負う梶井湊斗投手(3年)が3回1安打無失点の好救援で締めた。8回には5番髙岡龍一外野手(2年)の左前適時打で貴重な3点目を加え、3投手の継投で逃げ切った。
須江監督は甲子園通算20勝目に到達し、試合終了は午後8時9分。「人生最高の夜更かしだと思います」と笑みを浮かべた。田山選手の一発については、「あのソロホームランで、仙台育英の土俵の中でやれるぞとなったのは事実」と話した。
田山選手は今夏を「恩返しの夏」と表現する。「控え、メンバー外、家族や仲間に恩返ししたい」話す。特大の一発で大きくアピールすることができた初戦を経て、2022年以来の全国制覇へ、2回戦は12日、花咲徳栄(埼玉)と激突する。
【田山 纏】 プロフィール
- 氏名:田山纏(たやま・まとい)
- 所属:仙台育英高校(3年)
- 出身:茨城県鉾田市(鉾田南中・江戸崎ボーイズ)
- ポジション:外野手
- 投打:右投左打
- 身長・体重:177cm、85kg
- 主な特徴や実績:遠投125メートルの強肩と、投げても最速148キロを誇る強肩強打の左のスラッガー。中学時代は江戸崎ボーイズで全国大会4強・東日本大会優勝を経験し、30~40校の誘いを断って仙台育英へ進学した。1年秋にベンチ入りし、2年春からレギュラーに定着。今夏の宮城大会では打率6割1分5厘、チームトップの11打点と打ちまくった。第108回全国高校野球選手権開幕戦の札幌日大戦で高校通算25号となる大会第1号ソロを右翼席中段へ放ち、確信歩きで巨人スカウトからも絶賛された。高卒でのプロ入りを目標に、2度目の夏の甲子園でさらなる飛躍を目指す。



























コメント