春夏連続出場の佐野日大(栃木)のエース右腕・鈴木有投手(3年)が、第108回全国高校野球選手権大会1回戦で聖隷クリストファー(静岡)を相手に6安打無失点、無四球で今大会一番乗りの完封勝利をマークした。「高校四天王」の一角である最速150キロ左腕・高部陸投手(3年)との緊迫した投手戦を1―0で制し、佐野日大は2001年以来25年ぶりの夏の白星をつかんだ。
制球で格上左腕に投げ勝つ、無四死球完封は栃木県勢初
鈴木有投手投手は最後のアウトを遊撃へのゴロで取り、それまで淡々とポーカーフェイスで抑えてきたマウンドで吠えた。「初戦をまず突破してうれしかった。そういう感情で叫んでしまった」(スポーツニッポン)と話す。
この日の直球は140キロ前後。最速は142キロだったが、生命線は制球力だった。序盤はスライダーとカットボールを巧みに投げ分け、中盤からは110キロ台のカーブを解禁して的を絞らせない。許した6安打はすべて単打で、要所で7奪三振を奪った。三塁も踏ませない快投に「今日はピンチで三振が取れたことが成長した部分」と手応えを口にした。
この日、投げあったのは世代屈指のサウスポー・高部陸投手。勢いある速球と変化球で10奪三振を奪う躍動感あふれる投球に対し、鈴木は打たせて取る投球で対抗した。「格上の投手。先制点は絶対与えないと」。終わってみれば、9回で投げた投球はわずか102球、無四死球で1―0完封と内容で勝った。
味方の1得点を守り抜く
タイプの違う両投手の投げ合いに、スタンドの観衆も固唾をのむ投手戦だったが、試合は7回に動いた。佐野日大は2死一、二塁の好機で、8番・高橋丞選手(3年)が中堅にフライを打ち上げたが、慣れないナイターの中で中堅手のグラブを弾き、二走が生還。この1点が決勝点となった。
鈴木投手はこの虎の子の1点を守り抜いた。今春のセンバツは初戦敗退。「自分のせいで負けた。だから春は甲子園の土を持ち帰らなかった」と明かし、再び立った甲子園のマウンドで、堂々たる投球だった。「150キロを出せるものなら出したいが、全国で通用するのはコントロールだと分かった。球速にはこだわらない」と話し、投げあった高部投手を意識しながらも、「楽しく投げることができました」と涼しげに振り返った。
37年前と重なった1-0、恩師・麦倉監督に贈った甲子園初勝利
元阪神投手だった麦倉洋一監督(55)も、1989年夏、佐野日大のエースとして開幕カードの近大福山(広島)戦で自らの本塁打による1―0完封を飾っている。監督は「あの時と同じスコアで勝てた。選手の時は無我夢中だったが、生徒や応援団みんなと校歌を歌えた今日が一番うれしい」(日刊スポーツ)と話し、「最初は硬かったですけど、中盤からうちの持ち味である粘り、競ったゲームはうちの展開だぞと言ってました。高部くんを攻略しないとうちの勝ち目がないので、球数を多く投げさせたかった。うちの子たちがよく我慢してくれた」と選手をたたえた。
一方で鈴木投手には、「最高のピッチング。まだまだ足りないですよ。もう1回やってもらわないと」と話し、自身ができなかった「2度目」への期待も口にした。
将来の夢は「プロ野球の球団職員」と控えめに話す鈴木投手、次戦は神村学園との対戦となるが、この夏の主人公になり、プロ野球のエースとなれるような投球を見せたい。
【鈴木 有】 プロフィール
- 氏名:鈴木有(すずき・ゆう)
- 所属:佐野日大高校(3年)
- 出身:栃木・宇都宮市(陽南中・上三川ボーイズ)
- ポジション:投手
- 投打:右投左打
- 身長・体重:177cm、73kg
- 主な特徴や実績:最速142キロの直球に、スライダー、カットボール、カーブ、スプリットを巧みに投げ分ける制球力が持ち味の右腕。佐野日大では2年春からベンチ入りし、2年秋からエースナンバーを背負う。この夏の甲子園1回戦では最速150キロ左腕・高部陸投手との投手戦を制し、6安打無失点、無四球で今大会完封一番乗りをマーク。栃木県勢初の無四死球完封を成し遂げた。元阪神投手の麦倉洋一監督直伝のコントロールと投球術で、全国での活躍が期待される。

















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