米スタンフォード大の佐々木麟太郎内野手(21)が、大リーグのドラフト8巡目(全体235位)で指名を受けたマーリンズへの入団を決めたことが15日、関係者への取材で分かった。昨秋のNPBドラフト会議ではソフトバンクが1位指名しており、その進路が注目されていた。ソフトバンクか、マーリンズか、大学に残って進級するか——3つの選択肢を前に、子どもの頃からの夢だった野球の本場での挑戦を選んだ。
三択からの早期決断、金銭ではなく意志で選んだメジャー
大リーグのドラフト会議からわずか2日後の決断だった。マーリンズとの交渉期限は日本時間で今月28日午前6時、ソフトバンクとの契約締結期限も同31日までと猶予はあったが、佐々木麟太郎選手は早々に答えを出した。人生の岐路に立ち、「自分自身の責任。自分が歩んできた道なので。責任を持って判断したい」と話していた21歳は、「あとは自分自身が決めること」との言葉通り、自らの意志を貫いた。
金銭面での差は大きかった。MLB公式サイトによると全体235位の契約金相場は23万9200ドル(約3900万円)。対するソフトバンクは契約金の上限である1億円プラス出来高が濃厚とみられていた。それでも佐々木選手は金銭ではなく、自身の意志に沿った答えを選んだ。7月1、2日には福岡を訪れてソフトバンクと面談し、施設も見学。5日には故郷・岩手県の花巻球場で開催された交流イベントに参加し、心境を明かしていた。
大谷・菊池に続く花巻東の系譜、助言受けメジャーへ
ドジャース・大谷、エンゼルス・菊池と同じ花巻東(岩手)の出身で、父・洋さんは同校の監督を務める。高校3年時もドラフト1位の有力候補だったが、プロ志望届を出さずに米国への進学を選んだ経緯がある。歴代最多となる高校通算140本塁打を放った強打者は、本場の野球にもまれてさらに成長を遂げてきた。
偉大な先輩たちの存在も背中を押した。両先輩からは「どのような道を歩みたいかという中で決めるべき」と助言を受けていたといい、身近な人物の活躍が米国への挑戦心をかき立てた。スタンフォード大では1年目だった昨季に7本塁打、2年目の今季は16本をマーク。6月にはメジャーのドラフト候補がパフォーマンスを披露する「ドラフトコンバイン」に参加し、持ち味のパワーをアピールしていた。
一塁手不在のマーリンズ、育成力に定評
マーリンズは1997年、2003年にワールドシリーズを制覇したものの、それ以降は低迷が続く。一塁手のレギュラーは固まっておらず、メジャーにもマイナーにも「絶対的な一塁手」は不在で、本塁打と出塁率を積み重ねればチャンスは開けそうだ。
球団の評価も高い。アマチュア分析担当を務めるフランキー・ピリエル球団副社長は「まず第一に素晴らしい人間性を持っている。そして第二に圧倒的なパワーだ。あの長打力は群を抜く」と、絶対的な一塁手になる素質があると評価していた。同球団はスタントン(ヤンキース)、イエリチ(ブルワーズ)らを育て上げた育成力に定評があり、資金面で恵まれないぶん若手が次々に抜てきされる土壌がある。
小学生の頃、自身と同じ左打者のバリー・ボンズらが本塁打を放つ映像に感動したという。日本の上から叩きつける慣例に逆らい、フライを打って長打を狙う米国式の打撃スタイルを追求してきた佐々木選手にとって、いばらの道であることは覚悟の上だ。困難を承知で、「悔いの残らない選択」を下した。
ソフトバンク1位は獲得できず
昨年のドラフト会議では、福岡ソフトバンクと横浜DeNAが1位指名で競合し、福岡ソフトバンクが交渉権を獲得していた。この決断によりソフトバンクの1位指名に穴が空いた形となる。
これまでのドラフト会議で、ドラフト1位指名の選手を獲得できなかった事は、小池秀郎投手(1990年千葉ロッテ)、新垣渚投手(1998年オリックス)、内海哲也投手(2000年オリックス)、菅野智之投手(2011年日本ハム)などがあるが、ともに国内の他の球団への入団を希望してのものだった。しかし今回はMLBのドラフト会議での指名を待ち、獲得できない形となった。
今後も、日本のアマチュア野球選手がアメリカのアマチュアでプレーし、同様なケースが増える可能性もあるが、その時にNPB球団が指名しにくい状況になってきたと言わざるを得ない。
【佐々木 麟太郎】 プロフィール
- 氏名:佐々木麟太郎(ささき・りんたろう)
- 生年月日:2005年4月18日(21歳)
- 所属:スタンフォード大学
- 出身:岩手県(江釣子中-花巻東)
- ポジション:内野手
- 投打:右投左打
- 身長・体重:184cm、113kg
- 主な特徴や実績:歴代最多の高校通算140本塁打を放った強打の左打者。花巻東で1年春からベンチ入りし2年春、3年夏の甲子園に出場した。プロ志望届を出さずに渡米し、スタンフォード大では1年目に7本塁打、2年目の今季は16本をマーク。フライを打って長打を狙う米国式の打撃スタイルを追求してきた圧倒的なパワーが持ち味で、メジャーの舞台で絶対的な一塁手となることが期待される。








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