夏の高校野球選手権和歌山大会は16日、紀三井寺球場で2回戦が行われ、市和歌山が田辺工を5―1で下して初戦を突破した。侍ジャパンU18代表候補で最速151キロ右腕の丹羽涼介投手(3年)が、9回137球を投げ、5安打9奪三振1失点で完投。ネット裏にはNPB9球団のスカウトが集結し、巨人は6人態勢で視察した。春から不調に苦しんできた今秋ドラフト候補の右腕は、美容師の夢よりプロ入りを優先する事を決め、進路を懸けた最後の夏の初戦で復調の投球を見せた。
満塁のピンチでギアを上げ、粘りの完投劇
丹羽涼介投手はこの日、初戦の緊張から制球を乱す場面はあったものの大崩れはせず、得意のスライダーを軸に3者凡退のイニングを5つ作り、計9つの三振を奪った。
序盤の直球は140キロ台前半にとどまったが、3―0の6回、2死一、二塁から連続四球で押し出しの1点を許すと、満塁のピンチでギアを一段上げてこの日最速の146キロをマーク。後続を打ち取り、最少失点で切り抜けた。「夏なんで(ギアを)上げるところは上げるで、落とすところは落とすのを意識していた」(サンケイスポーツ)とペース配分も計算し、試合後は「ちょっと調子が悪いながらでも試合を作れたのは良い点」(日刊スポーツ)と振り返りつつ、「いらないところで四球を出してしまったりしたので次の試合までに改善していきたい」と課題も口にした。
フォームを見失った春、監督の言葉で取り戻した自信
4月の春季県大会では智弁和歌山に6回5失点で敗れ、今大会前の練習試合でも5回8失点と打ち込まれた。「あれから(投球)フォームが分からなくなって(球速も)140キロ出るか出ないかだった」(スポーツ報知)と振り返るように、大会2週間前まで浮上のきっかけをつかめない時期が続いた。
転機は原点回帰だった。「めちゃくちゃ考えてフォームを変えたりしたが、考えすぎもよくない。一度前のフォームに戻してから調子が上がってきた」(サンケイスポーツ)。インステップ気味だった踏み出しの左足を外側に踏み出すよう修正するとリリースポイントが安定し、ボールに力が伝わるようになった。半田真一監督(46)から日頃かけられていた「良い球持ってるんやから」(日刊スポーツ)という言葉も支えとなり、自信を取り戻して夏の初戦に状態を間に合わせた。
ネット裏に9球団のスカウト、美容師志望から「プロ寄り」へ
2年春のセンバツでは、のちに優勝する横浜高を相手に好投して一躍注目を集め、4月には侍ジャパンU18代表候補合宿にも参加した丹羽投手。この日はネット裏に9球団のスカウトが集結し、巨人は6人態勢で視察、その投球に視線を注いだ。
巨人・榑松スカウトディレクター:「5割くらいの力で投げているように見えます。コントロールよく、カーブ、スライダーで緩急を使っている印象で、変な力みもなく投げています」
中日・清水スカウト:「夏の初戦でこれだけ投げられているんで、やっぱりいい投手だなという印象。(制球のばらつきについて)高校生なのでこれぐらいはあること。悪い中でよくやったと思う」
千葉ロッテ・三家スカウト:「コントロールを意識しつつ投げている感じはする。器用でスライダーがうまい」
もともと美容師に憧れ、春には「野球をやめて美容師(になること)も考えています」(スポーツ報知)と明かしていた進路にも、心境の変化が生まれている。「この夏の結果次第で、思うような投球ができたらプロに挑戦したい。(美容師とプロとでは)プロ寄りで考えています」と語り、迷いは解消されつつある。
1試合登板する度にいろいろな迷いが消えてゆき、プロへの道を登り始めたのではないかと思う。次戦の相手は向陽。「今までやってきたことしっかり出して、このメンバーで甲子園に行けたら」(日刊スポーツ)と誓った。
【丹羽 涼介】 プロフィール
- 氏名:丹羽涼介(にわ・りょうすけ)
- 所属:市立和歌山高校(3年)
- 出身:和歌山県和歌山市(名草小・名草少年野球団→明和中・紀州ボーイズ)
- 生年月日:2009年2月10日
- ポジション:投手
- 投打:右投右打
- 身長・体重:184cm、77kg
- 主な特徴や実績:最速151キロの直球と切れ味鋭いスライダーを武器とする市和歌山のエース右腕。中学時代は紀州ボーイズで3年春に全国大会準優勝を経験し、市和歌山では1年春からベンチ入り、2年春にはセンバツに出場してのちに優勝する横浜高を相手に好投し脚光を浴びた。U―18日本代表候補で、夏の和歌山大会初戦では9球団のスカウトが見守る中、9回137球5安打9奪三振1失点で完投勝利。ピンチでギアを上げてこの日最速146キロをマークした。目標の選手はドジャース・山本由伸投手。最後の夏に3年ぶりの甲子園出場とプロ入りへの飛躍が期待される。













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