智弁和歌山(和歌山)が健大高崎(群馬)を4-3で破り、5年ぶり4度目の日本一に輝いた。強打の智弁和歌山打線をけん引した楠本龍生内野手(3年)は、準決勝の横浜戦では甲子園史上最速156キロ右腕から勝ち越し3ランを放ち、決勝では勝ち越しのホームを踏むなど、攻守でその存在感を示した。
横浜・織田から確信の3ラン、打率3割5分で打線をけん引
楠本龍生選手は今夏の甲子園で打率3割5分をマークし、優勝の原動力となった。準決勝の横浜戦では、甲子園史上最速となる156キロを記録した最速157キロ右腕・織田翔希投手(3年)から勝ち越しの3ランを放ち、準々決勝の仙台育英戦では守備でスーパープレーを披露するなど、勝ち上がりの節目で大きなプレーを残してきた。
決勝の健大高崎戦でも、その真価が発揮された。1点を追う8回、智弁和歌山は無死一、二塁の好機を作り、1死一、三塁から相手左腕・石田翔投手の暴投の間に三走の楠本選手が勝ち越しの生還を果たした。この再逆転をそのまま守り切り、5年ぶりの頂点に立った。
寮では“卵焼き職人”、朝は毎日3人で厨房に
楠本選手を語る上で欠かせないのが、野球部寮での“卵焼き職人”の顔だ。1年時からナインの食事作りも担い、寮生活では中谷仁監督の夫人で寮母の千保子さんと厨房に入り、朝から卵焼き機を2つ使って巻き続けてきた。
ここに弟子入りしたのが、2年の井本陽太選手と1年の川村心太郎選手だ。3人で厨房に立つのが日課となっていた。今大会限りで初代“職人”がチームを離れるにあたり、楠本選手は後継者にこの2人を指名した。「理由はいつも毎朝3人でやっているので」と説明する。井本選手と川村選手の腕前について「(腕前は)僕の完成度には達してないですけどどんどんうまくなっている」と話し、極意の「しっかり油を塗って焼き加減を見ながらきれいに回す」ことも伝授中だという。
前監督も土壇場のつなぎを称賛、選外を惜しむ声も
甲子園で監督として68勝を挙げた智弁学園、智弁和歌山の高嶋仁名誉監督は、「智弁和歌山は8回、大事なところで出た走者を楠本選手がうまくつなぎました。無死一、二塁にできたことが勝因だったと思います」(スポーツ報知)と話し、楠本選手の打撃をたたえた。
しかし、9月に台湾・台北市で開催される「第14回BFA U18アジア野球選手権」に出場する侍ジャパンU―18代表18名の発表では、楠本選手の名前はなかった。準々決勝の守備、準決勝の織田投手から放った3ラン、決勝でのホームインとプレーで存在感を放ったものの、織田投手や山田凜虎捕手が代表に名を連ねるなかで選考漏れとなった。
それでも楠本選手は、この甲子園での活躍を糧に、「この経験が大学にもつながってくる」と話し、新たなステージを見据えた。織田投手からの一発の印象は、今後、楠本選手を目にする誰もが思い出すだろう。それだけ衝撃的な一発だったことは間違いない。
【楠本 龍生】 プロフィール
- 氏名:楠本龍生
- 所属:智弁和歌山高校(3年)
- ポジション:内野手
- 主な特徴や実績:強打の智弁和歌山打線をけん引した中軸で、今夏の甲子園では打率3割5分をマーク。準決勝の横浜戦では甲子園史上最速156キロを記録した織田翔希投手から勝ち越しの3ランを放ち、準々決勝の仙台育英戦では守備でスーパープレーを披露。決勝の健大高崎戦でも勝ち越しの生還を果たすなど、5年ぶり4度目の優勝に攻守で貢献した。寮では1年時からナインの朝食作りを担う“卵焼き職人”としても知られる。大学での飛躍が期待される。










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