甲子園大会の3回戦、香川の英明は花巻東(岩手)に0-4で敗れた。大会屈指の左腕で春夏連続のベスト8進出を目指した冨岡琥希投手(3年)は、最速144キロの直球とチェンジアップを操って粘投したが、被安打7で4失点。試合後、敗戦の責任を一身に背負って号泣した。
適時打も長打も許さず、それでも刻まれた4失点
この試合、英明は2試合ぶりに冨岡琥希投手が先発のマウンドに上がった。香川純平監督(40)は花巻東の強力打線を「相手はすごいクリーンアップ」と警戒しながらも、「冨岡は相手のことはあまり意識せず、自分の力をちゃんと出すことを意識して投げてほしい」と期待を込めて送り出していた。
冨岡投手も要所でチェンジアップを有効に使い、この日奪われた4点はいずれも内野ゴロの間と犠飛によるもので、適時打は一本も許さなかった。被安打7もすべて単打に封じたが、得点は奪われた。味方の失策から生まれた2回1死一、三塁のピンチでは、遊ゴロの間に先制を許した。0-2で迎えた6回には、1死一、二塁から相手のダブルスチールで足を使って揺さぶられると、続く中犠飛で3点目を奪われた。「打たれているイメージがあったけど、タイムリーは結果的に打たれていなかった。ランナーを三塁に置いた場面での配球が少し甘かった」と、冨岡投手は自らの投球を悔やんだ。
春夏連続で聖地を沸かせた四国屈指の左腕
冨岡投手は、昨秋の明治神宮大会でも好投を見せてチームを4強入りさせるなど、投手として支えてきた。今春のセンバツにもエースとして出場し、優勝候補の大阪桐蔭を苦しめた準々決勝では8回4失点で完投。ベスト8進出の原動力となった。今夏も、初戦で優勝候補の一角とされた関東第一(東東京)を相手に1失点(自責0)の完投勝利を挙げ、13日の2回戦・大分商戦では6回から救援して4イニングを1失点で締めるなど、防御率0点台の安定感でチームを勝ち上がらせた。同校初となる春夏連続2勝を達成し、四国屈指の左腕へと成長を遂げた。
そんなエースの奮闘を、女房役の高田斗稀捕手(3年)が誰よりも近くで見つめてきた。「疲労もあったと思う。調子が良くないなりにすごく頑張ってくれた」とねぎらった高田捕手は、「頼もしいピッチャーでした。味方のミスをカバーしてくれた。冨岡がいなければ、自分たちはこんないい経験できなかった。冨岡で負けたのは、自分は納得がいきます」と、命運を託せるエースへの信頼を口にした。
涙の敗戦、そして「チームを勝たせる投手」への誓い
敗戦後、インタビューを受けた冨岡投手は、「本当に…」と語り始めたところで声が詰まり、涙があふれた。なんとか気持ちを落ち着けると、「自分のせいで負けてしまって、申し訳ない気持ちで仕方ないです」と震える声を絞り出した。「直球の力が足りないなと実感しました。皆に申し訳ないです」とも語り、敗戦の責任を一身に背負った。それでも、仲間に支えられた高校野球を「甲子園に出られたことが一番の思い出」と振り返り、「仲間に支えられていい生活ができました」と感謝の言葉で締めくくった。
高校卒業後の進路は大学進学を希望している。「大学で粘り強い投球を身に付け、チームを勝たせられる投手になりたいと思います」。次の舞台でも、仲間が背中を預けるエースになる。
【冨岡 琥希】 プロフィール
- 氏名:冨岡琥希
- 所属:英明高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:左投
- 主な特徴や実績:最速144キロの直球とチェンジアップを武器とする四国屈指の左腕。昨秋の明治神宮大会4強の原動力となり、今春センバツでは大阪桐蔭を苦しめた準々決勝で8回4失点完投とベスト8進出に貢献。今夏も初戦で関東第一を1失点完投で下すなど、粘り強い投球で強豪と渡り合った。同校初の春夏連続2勝を達成し、卒業後は大学へ進学。チームを勝たせられる投手を目指す。










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