2017年以来9年ぶりの4強進出を決めた天理(奈良)は、主将で4番の金本相有選手(3年)がまたも大黒柱の一発を放った。準々決勝・三重戦、0-0の2回先頭で「4番・遊撃」の金本選手はフルカウントからの9球目、真ん中付近の直球を左翼席へ運ぶ先制ソロ。初戦の福山(広島)に続く今大会自身2本目のアーチが、この日もチームを7-0の快勝へと導いた。
フルカウントから決勝の先制弾、今大会2号
「追い込まれていたけど絶対に出たいと。集中していったことがいい結果になった」。両チーム無得点で迎えた2回の先頭打席、金本相有選手はファウルで粘り、フルカウントからの9球目を捉えた。低めの直球を強振した打球は左翼席へと飛び込む先制ソロ。一塁ベースを回ったところで右手の拳を掲げた。「走っているうちに『行ったんちゃう?』と」(デイリースポーツ)と振り返った。
これが今大会通算6号で、初戦の福山戦に続く自身2本目。試合前打率6割2分5厘と絶好調の主将が、第1打席から試合を動かした。「塁に出たいっていう気持ちがあって、追い込まれたんですけど強くいこうっていった結果。チームの流れを変えられてうれしかった」と、値千金の一撃を喜んだ。
今大会は6本塁打が生まれている中で、複数本塁打を放っているのは金本選手のみ。低反発の新基準バットが導入された2024年以降、春夏の甲子園大会で1大会に複数本塁打を記録したのは、25年夏の日大三・田中諒選手以来2人目となった。さらに、2回戦の福山戦も含め2本ともが先制の勝利打点となる本塁打となった。
父を追って始めた野球、親子2代の甲子園4番
この一発は、野球一家の歩みが結実したものだった。父・吉徳さんは山形・酒田南の一塁手として甲子園に春夏3度出場し、3年時の02年夏は4番を務めた。金本選手はその影響で、幼稚園の年中から双子の兄・凱将(ときまさ)さん=東邦3年=とともに野球を始めた。小学生の頃は、父の仕事終わりに家の近くの小屋で日が暮れるまでティー打撃をするのが日課。中学では父が監督を務めた柏原リトルシニアでプレーした。
父が甲子園でプレーする姿をネットで見て、「甲子園で立っている姿はやっぱりかっこいいな」と刺激を受けたという。父が3年春夏で4番、自身も4番という巡り合わせに「たまたまだと思います」と笑うが、「しっかり最後までやりきれ。1個1個勝って。応援してるから」との父の言葉を励みにしてきた。
橋本桜佑投手が154球完封、9年ぶり準決勝へ
5-0の9回にも金本選手が1死二塁から中越えへダメ押しの適時三塁打を放ち、6点目を叩き出した。「監督さんが『あと1点必要や』っていう声を掛けてくださっていた。1本絶対打ちたいっていう気持ちで入りました」。3試合連続のマルチ安打をマークし、チームは13安打で3試合連続の2桁安打を記録した。
藤原忠理監督(60)は試合前、「彼がチームを本当に引っ張っていってる。彼の一振りはもうチームの雰囲気をガラッと変えてくれる」と金本選手に期待を寄せていた。勝利後には「応援と金本と橋本のおかげです」と、主将とエース格の力投をたたえた。
天理は夏の甲子園通算52勝目を挙げて仙台育英を抜き歴代単独4位に浮上し、1990年以来36年ぶり3度目の優勝まであと2勝とした。金本選手は「9年ぶりでうれしい気持ちもあるけど、自分たちは日本一を目指してやっている。一試合一試合、全力を尽くしたい」と、頂点だけを見据えていた。
【金本 相有】 プロフィール
- 氏名:金本相有(さんゆ)
- 所属:天理高校(3年)
- 出身:大阪府(柏原リトルシニア)
- ポジション:内野手(遊撃手)
- 主な特徴や実績:チームの主将で「4番・遊撃」を担う中軸打者。第108回全国高校野球選手権の準々決勝・三重戦では、0-0の2回に左翼席への先制ソロを放ち、9回にもダメ押しの適時三塁打を放って2安打2打点と躍動した。この本塁打は初戦の福山戦に続く今大会自身2本目で、低反発の新基準バット導入以降に1大会複数本塁打を記録したのは2人目。2本ともが先制のVアーチとなり、4番打者による複数のVアーチは大会史上初の快挙となった。今大会打率・538と絶好調で、酒田南で甲子園に春夏3度出場した父・吉徳さんに続く親子2代の甲子園4番。36年ぶりの夏の頂点を目指す。
















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