準優勝した2014年以来の4強入りを目指した三重(三重)が、準々決勝で天理に0―7と完敗し、初のベスト8止まりとなった。プロ注目の最速149キロ右腕・古川稟久投手(3年)は、三重大会決勝で負った右肘の肉離れの影響で、甲子園でのマウンドに立てないまま夏を終えた。大粒の涙を流しながらも「大学でしっかり体づくりをしてプロになって戻ってきたい」と、将来、甲子園で投げる事を誓った。
「決勝で投げたい」願いかなわず、伝令でマウンドへ
センバツの横浜高校戦で149キロの素晴らしい威力を見せていた古川稟久投手は、夏の三重大会決勝の近大高専戦で右肘に違和感を覚え、5回から救援登板したものの、9回2死の時点で肘の状態が悪化。2者連続死球を与えて緊急降板し、チームが歓喜に沸く中、試合後は取材に応じられないほどの状態だった。診断は右肘の肉離れ。甲子園には最速149キロを誇るエース格ながら、背番号「20」でベンチ入りするしかなかった。
関西入り後も状態はなかなか上がらなかった。「捕手を座らせて全力というところまではいかなかった」と、実戦復帰の目安は立たないままだった。それでも「みんな『古川を投げさせよう』と合言葉に言ってくれていた。投げられなかったのは悔しいけど、チームのみんなと戦えてよかった」と、仲間への感謝を口にした。「決勝で投げたい」という願いはかなわなかった。
4投手継投で7失点、それでも「後悔しない戦い」
この日、先発のマウンドを託されたのは上田晴優投手(3年)だった。2回に先制ソロを浴びるなど3回1失点と粘ったが、三重は4投手の継投で7失点を喫した。0―2で迎えた8回1死一、二塁のピンチでは、古川投手が伝令としてマウンドへ向かった。野手らと全員でホームの方を向いて笑顔をつくったが、直後に適時打を許すなどリードを広げられ、打線も無得点に封じられた。
マウンドには立てなかった。それでも「投げられない悔しさはあるけど後悔しない戦いをしてくれた」と、仲間を思い瞳を赤く腫らした。伝令に立った場面の心境を、古川投手はこう明かした。「オレはもう1回、この景色を見たいから頑張ってくれって言ったときに『そうやな』って。古川が投げているところでオレらも守りたいって、笑顔で話してくれました」。3年間、同じ時間を過ごした仲間には「一緒に野球ができてよかったと伝えたい」と語った。
国スポでの復帰と「プロになって戻ってきたい」
8強入りしたことで、10月に青森県で開催される国民スポーツ大会の出場校に選ばれる可能性がある。古川投手は「国スポには投げる気でいるので、それまでに調整したい」と話した。そして卒業後は大学に進み、プロを目指す。「甲子園で投げられなかったぶん、大学でしっかり体づくりをしてプロになって戻ってきたい」。
センバツで見せた149キロの速球が、次に甲子園で投げる時にはどの様になっているのか楽しみだ。
【古川 稟久】 プロフィール
- 氏名:古川稟久(りく)
- 所属:三重高校(3年)
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速149キロを誇る三重のエース格右腕。3月のセンバツでも登板経験を持つプロ注目の本格派だが、三重大会決勝で右肘を肉離れし、甲子園では背番号「20」でベンチ入りしながら登板機会がないまま夏を終えた。8強入りで出場が見込まれる10月の国民スポーツ大会での復帰に意欲を示す。卒業後は大学に進みプロ入りを目指しており、聖地への“帰還”が期待される。










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