第108回全国高校野球選手権大会は20日、甲子園で準決勝2試合が行われる。18年ぶりに4強入りした横浜(神奈川)は、智弁和歌山との第1試合に臨むが、最速157キロ右腕・織田翔希投手(3年)がもちろんキーマンとなる。その剛球を打ち込むために「174キロ」設定のマシンで打ち込みをする強打の智弁和歌山打線を、いかに封じるかに注目が集まる。
ノースロー調整で完封の疲れを癒やし、大一番へ照準
横浜は19日の休養日、大阪市内のグラウンドで約2時間の調整練習を行った。織田翔希投手は、18日の花巻東(岩手)との準々決勝で9回123球を投げ、7安打無失点10奪三振で完封した。今大会は4試合で24回2/3を2失点、33奪三振と好投を続けているが、疲労も考慮してこの日は素足で外野を約1時間ウオーキングするなどのノースロー調整。長めの入浴やトレーナーによる手厚い施術で肩、肘の張りをほぐした。
「体を元の状態に戻すため」と話した織田投手は、「ムラをつくりたくない」といつも通りに調整し、「疲れはあるにしろ、すごくいい1日を過ごせた」と充実感を口にした。智弁和歌山戦へ向けては「力任せにならず、捕手の脇山とコミュニケーションを取りながらしっかり配球したい。特別な意識を持たず、自分のやるべきことを徹底するだけ」と冷静に語った。
今大会で春夏通じて甲子園歴代最速となる156キロを何度も計測するなど、進化は止まらない。2回戦・日南学園戦でも甲子園最速をマークし、日米プロ球団から注目される世代No.1右腕として、チームを快進撃に導いてきた。
智弁和歌山は「174キロマシン」で織田撃ち、昨春の雪辱誓う
智弁和歌山は、この織田対策に、直球を170キロ、スライダーを140キロに設定し、部員が構えるスピードガンが「174キロ」を計測したところで、中谷仁監督(47)は「OK!」と力強く打撃練習のスタートを告げた。これまでの練習で最速だった160キロから一気に10キロもアップさせた”目慣らし”だった。
両校は昨春のセンバツ決勝で対戦し、横浜が11-4で優勝。織田投手は5回3分の1を3安打1失点(自責0)と好投していた。中谷監督は「僕から見ると去年の春の織田君とは別人。1ランク、2ランクレベルが上がってしまっている」と警戒を強めた。織田投手以外の投手が先発する可能性について聞かれても、織田投手だけをターゲットにする。「頭でないのであれば、出る状況になっていなければダメだと思うし、最初から来たら攻略しなければダメ。逃げられない相手だと思う。どれだけ食らいつけるか楽しみです」と話した。
村田監督は”ケンカ上等”、先発は総力戦の様相
横浜の村田監督は、この大一番のキーワードに「ケンカ」を掲げた。「後手に回ってしまったら勝負は絶対に勝てない。明るく、楽しく、激しく、そして圧倒していく」。智弁和歌山を「もう強打。ブンブン振ってきて、細かいことを入れてビッグイニングをつくるようなチーム」と警戒し、「けんかができるような選手。もう暴れるような、アグレッシブに激しくプレーできるような選手がキーになってくる」と積極性のある選手をキーマンに挙げた。
これに主将の小野舜友内野手(3年)も呼応する。智弁和歌山の主砲・山田捕手は中学時代のチームメートだが、「いち相手となった時には中学校のチームメートだろうと別に関係ない。負けるつもりはない」と話した。
注目の先発は、戦略面での攻防が見どころとなる。村田監督は「ここからは総力戦になってくる。投げられる投手はいっぱいいるので、一番適している投手を使う」と明言を避けた。中1日で織田投手を先発させるのか、あるいは相手打線に左打者が多いことを考慮し、今大会2、3回戦で先発した来秋ドラフト候補の最速150キロ左腕・小林鉄三郎投手(2年)に託すプランも考えられる。準々決勝の花巻東戦では、村田監督が小林投手をベンチの隣に座らせ、織田投手の投球を手本に「向かっていく気持ち」を伝えたという。小林投手は「上からバッターを見下ろす気持ちで抑えたい。手も足も出ないようなピッチングをしたい」と意気込む。
“別格”の素質に評論家も太鼓判、28年ぶりの扉へ
両校の対戦は春夏を通じて3度目で、過去の対戦成績は1勝1敗。夏は初対戦となる。1994年のセンバツでは智弁和歌山が2回戦で10-2と快勝し、昨春の決勝では横浜が11-4で雪辱した。優勝経験校同士のまさに頂上決戦。横浜が決勝に進めば1998年、智弁和歌山は2021年の優勝以来となる。
横浜にとっては、17日に死去した渡辺元智元監督が果たした春夏連覇から28年間手にしていない、深紅の大優勝旗への大きな一歩でもある。織田投手は「どんな相手が来ても自分のやるべき事を徹底して、チームの勝利に貢献できれば」と話し、松坂大輔投手に並ぶ夏の甲子園制覇に挑む。
【織田 翔希】 プロフィール
- 氏名:織田翔希(おだ・しょうき)
- 所属:横浜高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:今秋ドラフト1位候補に挙げられる世代No.1右腕。今大会で春夏通じ甲子園歴代最速となる156キロを何度もマークし、日米のプロ球団が注目する。準々決勝の花巻東戦では9回123球を投げ7安打無失点10奪三振で完封するなど、今大会は4試合で24回3分の2を2失点、33奪三振と圧巻の投球を続けている。9月に台湾で開催されるBFA U18アジア野球選手権の高校日本代表候補にも名を連ねる”令和の大怪物”。智弁和歌山との準決勝を制し、横浜を28年ぶりの夏の頂点へ導くことが期待される。






























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