横浜高校のドラフト1位候補で最速157キロ右腕・織田翔希投手(3年)が、全国高校野球選手権大会準々決勝の花巻東(岩手)戦に先発し、7安打無失点、10奪三振で完封勝利を挙げた。横浜は6―0で快勝し、2008年以来18年ぶりの4強入りを決めた。前日17日に81歳で死去した元監督・渡辺元智さんに、弔いの白星をささげた。
甲子園最速タイ156キロを7度、終盤も衰えぬ剛腕
横浜のエースが甲子園のマウンドを完全に支配した。織田投手は初回先頭に安打を許して出塁を許したが、直後の4番・古城大翔選手(3年)には6球すべて直球で勝負し、155キロで見逃し三振に仕留めた。2回には6番・久保村冠太選手(2年)への初球で、14日の日南学園戦で自身が樹立した甲子園歴代最速に並ぶ156キロを計測。先頭の萬谷堅心投手(3年)には141キロのスプリットで空振り三振を奪うなど、高校生レベルを大きく超える球を投げ込んだ。
この試合で156キロは計7度。しかも6回以降に6度計測するなど、球数が100球を超えた終盤になっても威力は衰えなかった。9回2死、119球目の直球は156キロを示し、満員の聖地をどよめかせた。「守備からのリズムを体現したいと思っていて、三振を取るところではしっかりと取れた。すごくいいリズムで試合を支配することができた」と振り返った。相手が直球狙いと察知すると、後半はカットボールやスライダー、スプリットなど変化球を増やし、7回には先頭から4者連続三振。捕手の脇山魁音選手(2年)と綿密にコミュニケーションを取りながら打者を翻弄した。123球で7安打10奪三振、甲子園通算9勝目となる3度目の完封を成し遂げても、「今日は球速よりも変化球がよかった」と平然と語った。
「勝って、その姿を見てもらいたい」名将にささげた白星
試合前日の17日、横浜を春夏5度の全国制覇に導き、歴代5位タイの甲子園通算51勝を挙げた渡辺元智さんが死去した。たくさんの助言を授かってきたという織田投手は「すごくショックというか、本当に現実が受け止められなかった」と語るほどだった。しかし、「勝って、その姿を見てもらいたいな、という思いに変わった」と話し、勝利への強い気持ちへと変わった。
渡辺監督について織田投手は、「レジェンドだけど、本当におじいちゃんのような存在」だった。調子が悪ければすぐに連絡が入り、見守ってもらえることを「本当に幸せだな」と感じていた。最後に会話したのは、初戦の沖縄尚学戦の直前。村田浩明監督(40)の携帯電話を介して「いつもと変わらないように頑張れ」と激励され、今夏最初の甲子園のマウンドに立った。
頂点まであと2勝
敗れた花巻東の佐々木洋監督(51)は「相手の力が数段上でした。完全に力負けでした」と完敗を認め、織田投手を「間違いなく世代トップのピッチャー」と評価。「ピッチャーだけじゃなく、守りが堅かった。社会人と戦っているようなレベルだった」と、横浜のチームとしての完成度に脱帽した。
試合後、お立ち台で涙を流した村田監督の姿を見て、織田投手は「本当に勝たせることができて良かった」とうれしそうに言った。アルプススタンドへのあいさつを終えると、指揮官は「空を見よう」とナインに声をかけ、選手たちは思い思いの表情で夏空を見上げて帽子を取った。「渡辺監督さんに見守っていただいていると思っていたので、みんなで見ました」。1998年以来の夏制覇まで、あと2勝。「勝って恩返しすることしかできないと思っている。あと2試合ありますが、まずは目の前の試合を全力で戦いたい」。20日の準決勝は智弁和歌山との対戦が決まった。笑っても泣いても、あと2試合。チームを勝たせたい思いなら、誰にも負けない。
【織田 翔希】 プロフィール
- 氏名:織田翔希(おだ・しょうき)
- 所属:横浜高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:最速157キロを誇る今秋ドラフト1位候補の右腕。この夏の甲子園では日南学園戦で高校生の大会史上最速となる156キロを樹立し、花巻東との準々決勝では156キロを7度計測しながら7安打10奪三振で完封。甲子園通算9勝目、3度目の完封を挙げ、横浜投手の3完封は1998年の松坂大輔以来2人目。春夏通算10勝目に王手をかけた。カットボールやスライダー、141キロのスプリットなど多彩な変化球も操り、「令和の大怪物」として日米の球団が注目する。1998年以来28年ぶりの夏制覇へ、チームを牽引する。












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