夏の高校野球選手権神奈川大会4回戦が16日、サーティーフォー保土ケ谷球場で行われ、横浜高が東海大相模高を8-1の8回コールドで下した。今秋ドラフト1位候補に挙がる最速154キロ右腕・織田翔希投手(3年)は、9日の2回戦で左足首付近に打球を受けて負傷降板して以来となる登板を8回2死から果たし、自己最速に1キロと迫る153キロを連発。1/3回を1安打無失点に抑えて試合を締めくくった。この日はNPB9球団のスカウトに加え、ブルージェイズなど米大リーグの複数球団も視察に訪れ、約1万人の観衆が詰めかけたライバル対決で完全復活を印象づけた。
2球目から153キロを4球連続、復帰のマウンドで球威は変わらず
7点リードで迎えた8回2死。先発の小林鉄三郎投手(2年)に代わって織田翔希投手の名前がコールされると、球場にどっと大歓声が起こった。チームメートに笑顔で送り出された右腕は、マウンドで大きく深呼吸。投球練習から150キロを計測すると、東海大相模高の1年生4番・竹内球太内野手への2球目から153キロを4球続けて投げ込んだ。6球目の137キロの変化球を左前へ運ばれて走者を許したが、続く松﨑大和内野手(2年)を2球で追い込み、低めへの151キロの直球で空振り三振に仕留めた。
登板を終えた織田投手は「もう(ケガは)全く問題なく投げられます。100%だと思います」(日刊スポーツ)と完全復活を強調した。負傷したのは9日の2回戦・湘南工大付戦。1回に左足首下に打球が直撃して緊急降板し、病院での検査では骨に異常なしと診断された。13日の3回戦・住吉戦はベンチ入りしながら登板を回避し、中6日の間に3度ブルペンに入って感覚を確かめてこの日を迎えた。イニング間には外野手のキャッチボール相手を務め、「肩を温めていました」と出番に備えていたという。
それでも本人の評価は厳しい。「スピードは出ていたけど、空振りが取れていない。低めに(投げる)というところで1球しか投げられなかったので、悔しい内容ではあった」(サンケイスポーツ)と反省点を挙げた。一方で「たくさんの方にたくさん(サポート)してもらったので、そのおかげで今日マウンドに立てた」と周囲への感謝を口にした。宿命のライバルとの一戦にも「どんな相手が来ても、という気持ちでやっているので特別な意識はない」「正直、特別な試合とは思っていなかった。通過点になるように日々やっています」(スポーツニッポン)と、視線はあくまで先に置いていた。
「神奈川の聖地」での復帰起用
この日の舞台にも思いがあった。「24年春、入学して間もない織田を初めて横浜清陵との練習試合に起用したのが保土ケ谷球場のマウンドだったんです」。当時、村田監督は織田投手に「ここが神奈川の聖地だぞ」と伝えてマウンドへ送り出したという。高校野球のスタート地点となった場所での復帰登板。「あまり投げなさすぎてもどうかなと。これだけお客さんが入るというところで、あの雰囲気で投げさせたかった」(デイリースポーツ)と起用の意図を説明した。
この日はNPB9球団のスカウトに、ブルージェイズなど米大リーグの複数球団も視察に訪れ、巨人のスカウトが評価をしている。
巨人・斎藤スカウト:「ケガの影響は感じなかった。あれだけ腕が振れていたので安心しました。これからイニング数を投げていけばどんどん調子は上がると思う。楽しみですね」
忘れられない昨夏の涙、「全戦全力」で駆け抜けるラストサマー
織田投手には忘れられない夏がある。昨夏の県大会準々決勝・平塚学園戦。2点ビハインドの場面で3番手として登板し2失点を喫した。チームは1点差まで追い上げ、9回2死から阿部葉太外野手(現早大)のサヨナラ2ランで勝利したが、試合後、織田投手は人目もはばからず涙を流した。「阿部さんが、自分の肩をポンポンとたたいてくれて。『ここで終わりじゃないぞ』と声をかけてくれたんです」。いつか必ず恩返しをしたい。自分の結果よりもチームの勝利を。そう心に誓った夏だった。
今夏のスローガンは「全戦全力」。「1戦1戦を大切にする中で、東海大相模さんとの試合を勝ち抜けたことはすごく良かった。チームとしてもさらに成長できると思います」と、この日の勝利をチームの積み重ねとして受け止めた。4季連続の甲子園出場へ、「任されたイニングを投げることがエースの役割。チームを勝たせるのもそうですし、どんな形でもいいので、チームに貢献できるように頑張りたい」と力を込める。
今秋のドラフト会議では1位指名が確実と見られるが、負傷明けの1/3回でスカウトも安心をしたことだろう。それだけでなく、あらためてその力を評価する内容だった。次戦は18日の5回戦・三浦学苑戦。「神奈川の聖地」から再び動き出したエースが、最後の夏を全力で投げ抜く。
【織田 翔希】 プロフィール
- 氏名: 織田翔希(おだ・しょうき)
- 所属: 横浜高校(3年)
- 出身: 福岡・北九州市(北九州市立足立小1年から野球を始め、3年から投手。足立中では軟式野球部に所属し全国大会に出場、軟式球で143キロをマーク)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 186cm、80kg
- 主な特徴や実績: 最速154キロを誇る本格派右腕。横浜高では1年春からベンチ入りし、同秋の明治神宮大会では準々決勝・明徳義塾戦で大会史上6人目となる1年生完封勝利を挙げた。2年春の選抜では背番号10として全5試合に先発し、19年ぶりの優勝に貢献。同夏の甲子園も8強入りし、昨秋の新チームからは背番号1を背負う。憧れの選手は同校OBで日米通算170勝の松坂大輔氏。左足首の打球直撃から中6日で臨んだ東海大相模高との4回戦では、8回2死から復帰登板し153キロを連発。1/3回を1安打無失点に抑え、今秋ドラフト1位候補として日米スカウトの前で完全復活を証明した。4季連続の甲子園出場へ、エースとしてチームを頂点に導くことが期待される。


























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