夏の高校野球大阪大会の3回戦が行われ、香里丘高の最速148キロ右腕・岡本翔斗投手(3年)が、今春の府大会準優勝・関大北陽を相手に8回129球、7安打3失点、毎回の11奪三振の力投を見せた。チームは1―3で敗れたものの、ネット裏にはNPB12球団の30人以上のスカウトが集結。試合後、岡本投手は今秋のプロ志望届提出を明言した。
春準Vの関大北陽に毎回の11奪三振、打球直撃にも屈せず129球
香里丘は春夏通じて甲子園出場がなく、夏の府大会8強が最高成績の公立校。その無名校で1年夏から背番号1を背負ってきた岡本翔斗投手が、今春の府大会準決勝で大阪桐蔭を破った関大北陽と堂々と渡り合った。
序盤を無失点で立ち上がったが、3回1死に打球が直撃するアクシデントに見舞われた。アイシングを施して続投したものの、4回は2つの四死球をきっかけに1死一、二塁とされ、適時左二塁打を許して2点を先制された。5回にも2死三塁から適時左前打を浴び、3点目を失った。
それでも、低く沈み込むフォームから糸を引くような直球と曲がりの大きいスライダーで三振の山を築き、この日は最速147キロをマーク。打っては3番打者として2安打を放ったが、相手先発の西脇舜翔投手(3年)に打線が6回4安打無失点と抑え込まれ、援護は届かなかった。
試合後は悔し涙を流しながら「後悔はない。自分のできることはやった。まだまだ実力がないだけ」(デイリースポーツ)と力負けを認めつつ、「持っている力は出せました」と手応えも口にした。打球が直撃した箇所は「今もちょっと痛い」と明かしたが、「影響はない」と言い切った。
編成幹部クラスも集結、スカウト陣が絶賛した柔軟性と伸びしろ
ネット裏には12球団の30人以上のスカウトが視察に訪れ、うち中日は7人のスカウトに荒木雅博球団本部長補佐を加えた8人態勢、阪神も3人態勢で視察するなど、8球団が複数人態勢と多くの視線を集めた。巨人の水野雄仁編成本部長、オリックスの福良淳一GMら編成幹部クラスも顔をそろえた。
中日・永野アマスカウトチーフ:「しなやかさ、柔軟性が突出しています。真っすぐもいいからスライダーが効果的。伸びしろがある」
中日・荒木雅博球団本部長補佐:「バランスがいいよね。まだまだ良くなる雰囲気もあります」
阪神・岡本スカウト:「低めも伸びますし、高めも空振りが期待できる。いいボール」
東北楽天・足立スカウト:「天性の才能。これからが楽しみ」
東京ヤクルト・平岡スカウト:「一番の魅力は上半身が柔らかいこと。柔らかい人はいっぱいいるが、それを投球フォームに生かせている」
北海道日本ハム・村田スカウト:「投球のキレもある。全てにおいてレベルが高い。伸びしろがある」
また、あるスカウトは「いい順位でいけるのではないか」(スポーツニッポン)と高く評価し、ドラフト中位から上位指名の可能性を示唆した。
監督の一言で本気になった公立の星、今秋のプロ志望届提出を明言
中学時代は軟式野球部に所属し、球速は120キロ前後と無名の存在だった。5学年上のいとこがプレーする香里丘が、甲子園優勝経験のある履正社に1―2と惜敗した試合を観戦したことに刺激を受け、自分が同校で履正社や大阪桐蔭などの私学を倒すことを志して入学。「公立校を自分が強くしたいと思って努力してきました」(スポーツニッポン)と歩んできた。
転機は進路を考え始めた2年夏だった。潜在能力を高く評価していた河本監督から「プロにはなりたくないの?」と声をかけられ、一晩考えて「目指せるならチャレンジ」(中日スポーツ)と本気になった。冬場は毎晩寝る前に体重計に乗り、前日より増えていなければお茶漬けなどを食べて体を作り、入学時は50キロ台後半だった体重を75キロまで増やした。体の成長とともに球速も伸び、昨夏ごろには140キロを狙えるまでになった。
1年夏からエースナンバーを背負い続けた2年半を「プレッシャーもあった。それでも努力して、こんなに注目してもらって感謝しかない」(スポーツ報知)と振り返り、「本当に楽しかった。最高の思い出になりました」(スポーツニッポン)と涙を見せる場面もあった岡本投手。進路については「プロ野球選手になって、お父さんやお母さんに恩返ししたい。(今ドラフトに)志望届を出します」(中日スポーツ)と潤んだ目で宣言し、「自分の弱さを見つめ直してもっと成長していきたい」(スポーツ報知)と飛躍を誓った。
夏の府大会8強が最高成績の野球では無名の公立校から、同校初のプロ野球選手誕生を目指す挑戦が始まる。編成幹部クラスまで動かした最速148キロ右腕が、秋のドラフト会議でどんな評価を受けるのか。指名の行方に注目が集まる。
【岡本 翔斗】 プロフィール
- 氏名:岡本翔斗(おかもと・しょうと)
- 所属:香里丘高校(3年)
- 出身:大阪府枚方市(枚方レッズ→枚方三中・軟式野球部)
- 生年月日:2008年6月29日
- ポジション:投手
- 投打:右投左打
- 身長・体重:180cm、75kg
- 主な特徴や実績:自己最速148キロの直球と、しなやかで柔軟性に富んだフォームが武器の右腕。スライダー、カットボール、カーブ、ツーシーム、チェンジアップと多彩な変化球を操る。中学時代は120キロ前後だった球速を徹底した体作りで伸ばし、入学時に50キロ台後半だった体重は75キロに到達。香里丘高では1年夏から背番号1を背負い、夏の大阪大会3回戦では今春府大会準優勝の関大北陽を相手に8回129球、毎回の11奪三振の力投を見せ、視察したNPB12球団のスカウトから柔軟性と伸びしろを高く評価された。今秋のプロ志望届提出を明言しており、同校初のプロ野球選手誕生が期待される。














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