福岡ソフトバンクの永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長が、8月12日までの夏の甲子園大会をネット裏から視察し、今秋ドラフト候補に挙がる逸材たちを見極めた。出場49校がすべて出そろったこの日までに、「高校BIG3」と称される投手陣から、甲子園に出場していない大型二刀流、各地の公立校の好素材まで幅広くチェック。地元・福岡県出身の横浜高の右腕には「良うなった」と最大級の評価を口にした。
「高校BIG3」織田翔希投手を最大級評価、変化球の進化に注目
永井部長が熱視線を注いだのが、高校「BIG3」と呼ばれる横浜高(神奈川)の織田翔希投手だ。大会第6日の10日、沖縄尚学の末吉良丞投手との直接対決で投げ勝ち、9回2死まで6安打12奪三振の2失点と力投した。神奈川大会ではストレートの球速が157キロを計測し、甲子園でも154キロをマークしている。福岡県出身で、中学時代から好投手という噂を聞いていたという逸材に、高校生ナンバーワンの評価は揺るがない。
福岡ソフトバンク・永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長:「アメリカ(メジャーリーグ)も結構見にきているということなので、進路に関してはどうなっていくのか分からないですけど、そのへんも調査しながらですね。実力のほどは、スピードはもともと結構出ている。変化球が良くなっています。特にスライダーが良うなったと思います。あれでだいぶピッチングの組み立てが上手になったと思いますね」
ストレートの球速だけが評価されるわけではない。変化球の切れ、精度も重要な要素となる。
福岡ソフトバンク・永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長:「歴代そうです。ダルビッシュ有(東北高出身で現パドレス)にしても田中マー君(将大、駒大苫小牧出身、現巨人)にしても、みんな変化球が良いですよ。真っすぐだけ良い投手はなかなかいないですよ」
一方、同じ「BIG3」の一角で、織田投手との直接対決に敗れた沖縄尚学の末吉良丞投手については、継続調査の構えを見せた。昨夏の甲子園優勝投手ながら、今春センバツ後に左肘を痛めた影響もあり、横浜戦では3回で6安打の3失点。最速150キロの左腕ながら、球速は初回の140キロ台前半にとどまり、2回以降は130キロ台後半で三振はひとつも奪えなかった。
福岡ソフトバンク・永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長:「もうちょっと本来のところまでは戻ってないんでしょうけど、もともと力のあるピッチャーなので、今のコンディションがどれぐらいなのか、これからどれぐらい伸びていくのか、このあとも調査したいですね。あとは、肘を痛めて投げてなかったので、それがどういう状況で、このマウンドで完治して投げているのか、無理して投げているのか」
二刀流を評価、大分商・平田玲翔投手には「おおっ!」
名前を出して永井部長が目を見張ったのは、大分商の平田玲翔投手の豪腕だった。2番打者とクローザーを務める二刀流で、188センチ80キロの体格があり、1回戦の日本文理(新潟)戦では3回途中に登板すると、自己最速152キロに迫る151キロも計測。7回を投げて終盤に2失点したものの、逆転勝利につなげるインパクトを残した。
福岡ソフトバンク・永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長:「ここにきて一番良いです。何回か見ましたけど、あんな良いのは初めて見ました。スライダーが良かった。体の素材みたいなものは大きいし、バネもあるし良いものを持っているので、良いところを見られた。予選も何試合か見たけど、あそこまでの姿は見たことないです。あのピッチングを見たら、間違いなくピッチャーでいいと思いますね。体が大きいわりに、動きが大きさを感じさせない。大きい子特有のちょっと鈍い感じがない。走り方も、凡打してベンチに帰る姿も軽い。ぴょんぴょん動いているので本当に楽しみ」
日南学園(宮崎)の二刀流にも目を奪われた。田中皐晴投手兼右翼手は、183センチ、87キロの右投げ左打ち。1回戦の明徳義塾(高知)戦では3番打者として1回に右翼フェンス直撃の三塁打、6回には右前安打の3打数2安打をマークした。
福岡ソフトバンク・永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長:「日南学園の田中くんは結構、良いバッティングをしているなという感じ。ずっと芯で捉えている。バッターだと思います」
また、二刀流では甲子園に出場しなかった「高校BIG3」の一角、山梨学院の菰田陽生投手と日本航空石川の保西雅則投手について挙げた。
福岡ソフトバンク・永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長:「似たようなタイプで体が大きくて、ピッチャーもバッターもやって。ここはしっかり見て、どっちの評価を取るのか。どっちも評価しながら、プロに入った時のイメージを持って評価していかないといけないな、という気がしますね。どっちも素材は良い。菰田はピッチャーとしてはまだ荒削りですけど、球速帯も出るので、体も仕上がっているわけじゃないので、これからフォームのバランスとか体が仕上がってきたらどんどん伸びていくんだろうな。打撃でいうと飛ばす力というのは間違いなくあると思うので。あとは、打撃ということは野手になるということなので、どこをどう守って、プロで野手としてやっていくのにどこのポジションにはまってくるのかなというところは確認したいですね。保西も一緒。パワーとスピードがあって。ホントに似たようなタイプの選手だと思ってます。未知の部分ですけど2人とも野手としていろんなところを守っていない。菰田くんはたまにファーストを守ってケガもしましたけど、ファーストしかできないのか、例えば外野とかサードも可能性が出てくるのか、とか。そういうところはもうちょっと深く調査しないといけないと思います。基本的には2人ともピッチャーとしてあれだけのボールを投げられるんで肩は強いでしょうから」
と話し、外野での守りができるのかなど、可能性を見るために、これからは練習などを視察して評価していくものと見られる。
捕手・野手・左腕まで幅広くリストアップ、公立校の逸材も
野手陣では、岡山学芸館の「4番・右翼」・池本優司外野手に注目した。1回戦の鳥取城北戦で三振、死球、三振、投ゴロ、一ゴロとノーヒットに終わっているが、次戦以降の活躍を期待する。
福岡ソフトバンク・永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長:「良いバッティングをしていましたね。ちょっと結果は出なかったですけど」
捕手では、昨夏の甲子園に出場した日大三高の田中諒捕手などを追っているといい、遊撃手では、東海大熊本星翔の福島陽奈汰内野手を「楽しみな素材」と評した。
サウスポーでは、今春センバツで準優勝した智弁学園の杉本真滉投手と、高岡第一の前田侑大投手の名前を挙げ、「(ドラフト)上位じゃないですか」と評価した。最速149キロの杉本投手は今春の選抜で花巻東を完封、神村学園を10回1失点などの快投を続けた。前田投手は4月上旬の侍ジャパンU18代表候補選手強化合宿に参加し、今夏の富山大会の富山北部戦では最速155キロのストレートなどでノーヒットノーランを達成している。
福岡ソフトバンク・永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長:「前田くんはストレートの球速がすごいんで、とりあえず。いろんなことがまだまだ荒削りなんですけど、体が小さいんですけど、体がまだ大人の体ではないので、小さいなりに十分伸びしろはあるんだろうなと思います。杉本くんのほうは体が結構できているので、大きくなくても大丈夫です。(杉本について)今で結構ストレートも変化球もピッチングはできるんですよ。あとはそんなに大きくなくて、がっちりしてるんで、どれだけこれからの伸びしろがあるかなというのをもうちょっとチェックしたいところ」
他にも、香里丘の岡本翔斗投手は最速148キロの右腕で、大阪大会3回戦では古豪の関大北陽に惜敗したものの、11奪三振の力投を見せた。
福岡ソフトバンク・永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長:「球もちが良く、良い投手。マウンドでの立ち姿も良いですね」
新宮の藤井悠貴投手(3年)は197センチの大型投手で、自由ケ丘との初戦で5安打15奪三振の2失点完投、3回戦の飯塚戦でも9安打5奪三振3失点完投だった。
福岡ソフトバンク・永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長:「すぐに(戦力)ということでないでしょうから、時間をかけながらというとウチなんかでじっくり育ててもいいのかなと思います。大きいのは魅力、魅力」
また、柳川の小坪碧人投手(3年)=180センチ、80キロ、左投げ左打ち=の成長にも目を見張った。福岡大会3回戦で福岡工大城東に0―1のサヨナラ負けし、2試合で敗退したものの、伸びしろに大きな期待を寄せる。
福岡ソフトバンク・永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長:「すごくなる前にすごくなりすぎたね。全然評価できます。ピッチャーになって経験浅いですよね。楽しみです。近いからウチに来ればいいのに(笑)」
神村学園(鹿児島)に初戦敗退も、初回先頭打者本塁打を放った東筑(福岡)の平山護捕手(3年)については、大学進学と伝えられており「楽しみですよね、4年後」と話した。他にも聖隷クリストファーの高部陸投手など、プロ注目の存在ながら、すでに進学や社会人に方向性を定めている選手も多い。スカウトは進路を最終的に確認したうえで、今後はドラフト指名候補選手をリストアップしていく。
【菰田 陽生】 プロフィール
- 氏名: 菰田陽生
- 所属: 山梨学院高校(3年)
- ポジション: 投手(二刀流)
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 194cm、102kg
- 主な特徴や実績: 横浜高・織田翔希投手、沖縄尚学・末吉良丞投手とともに「高校BIG3」と称される大型二刀流。投手として球速帯が出る一方、打撃では飛ばす力を持ち、今春センバツ初戦では左翼ポール際へ特大の本塁打を放った。2年夏の甲子園では4試合に登板して防御率1・62と好投し、ベスト4進出に貢献。福岡ソフトバンクの永井智浩スカウト部長からも投打の素材を高く評価されており、今後の伸びしろと守備位置の見極めが注目される。











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