7年ぶり8度目の出場を果たした中京(岐阜)のプロ注目右腕・鈴木悠悟投手(3年)の夏が終わった。8月9日の第108回全国高校野球選手権大会1回戦の霞ケ浦(茨城)戦で、最速148キロを誇る投打二刀流は「3番・投手」で先発したが、6回途中5失点でマウンドを降り、チームは3-6で逆転負けを喫した。最初で最後の大舞台を終え、今後の進路は「プロ一本」と明言した。
初回144キロも中盤に捕まる、5回2/3を5失点
鈴木悠悟投手は初回、初球で144キロをマークし、直球にスライダー、スプリットを織り交ぜて内野ゴロ3つの三者凡退。1点の援護をもらった2回も走者を許さない完璧な立ち上がりを見せた。だが3回、先頭への四球をきっかけに盗塁を許すと、1死三塁から霞ケ浦の9番・相田歩希外野手(2年)に中前へ同点打を浴びた。
同点で迎えた5回には、味方の失策も絡んで2死一、三塁のピンチを背負い、2番の主将・村上聖内野手(3年)に左翼線へ勝ち越しの2点適時二塁打を許した。6回にも2死から連打で2点を失い、なおも一、三塁の場面で降板。5回2/3を87球、6安打5失点(自責3)、4奪三振3四球で2番手の西岡海心投手(3年)にマウンドを譲り、中堅の守備に回った。「変化球が浮かないように、という意識で投げていた結果、腕が振れなくなった」と振り返った。
この夏は岐阜大会前に発熱に見舞われて本調子ではなかったものの、徐々に二刀流としてその力を発揮できるようになり、チームを甲子園に導いた。この日の最速144キロについて「県大会に比べたらスピードは出ていたし、投げている感触も良かった」と話しつつ、「今まではピンチになっても平常心で抑えられた。悔いが残る」(デイリースポーツ)と肩を落とした。
7回に意地の適時打、打者としての力は示す
最後に意地を見せた。1-6の7回、1死一、二塁から鈴木投手は初球を捉えて左前へ適時打。「自分が取られた点だったので、返したかった」と語った。さらに4番・竹内湊人内野手(3年)も続き、この回2点を返した。
岐阜大会では計23回を投げてイニング数を上回る28三振を奪い、大垣日大との決勝では3安打1打点をマークするなど投打で甲子園出場に貢献してきた鈴木投手。本来の投球こそ見せられなかったが、打者としての力は最後まで示した。
「何が何でもこの場所に戻ってくる」、投手一本でプロへ
身体能力の高さを買われ、1年春から遊撃手としてメンバー入りし、2年春からは背番号1を背負ってきた。「甲子園に行きたい」ではなく「行く」と口にしてきたエースは、最後の夏にその言葉を現実にした。ほろ苦い初戦敗退となったが、「入寮した時からずっと、底抜けに明るいチームだった」と仲間とここまで来られたことを誇った。
試合後、注目の進路については迷いがなかった。「プロ一本です。ピッチャーに絞っていきたい」とプロ志望届の提出を明言。今後は投手の練習に専念するつもりだという。仲間が甲子園の土を集める中、鈴木投手は土を持ち帰らなかった。「何が何でもこの場所に戻ってくる」。プロ野球選手として再びこのマウンドに立つ決意を胸に、聖地を後にした。「プロの選手として、また甲子園で投げられるように」。中京の歴史を変える夢はかなわなかったが、その視線はすでに次の舞台へと向いている。
【鈴木 悠悟】 プロフィール
- 所属:中京高校(3年)
- ポジション:投手兼打者
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:自己最速148キロの直球に、スライダーやスプリットを操るプロ注目の二刀流右腕。1年春から遊撃手としてメンバー入りし、2年春からエースの背番号1を担った。岐阜大会では計23回で28三振を奪い、大垣日大との決勝では「3番・投手」として3安打1打点をマークするなど投打で7年ぶりの甲子園出場に貢献した。甲子園1回戦の霞ケ浦戦では6回途中5失点と本来の投球を見せられなかったが、7回に意地の適時打を放って打力も示した。高校卒業後は投手一本でのプロ入りを目指し、再び聖地のマウンドに立つことを誓う。




















コメント