高川学園の147キロプロ注目右腕・木下瑛二投手(3年)が、夏の高校野球選手権大会第6日の2回戦で富山・高岡商を相手に5安打1失点の完投勝利を挙げ、チームを16強一番乗りに導いた。3季連続の甲子園マウンドで105球を投げ抜き、8奪三振。山口県勢に春夏通算120勝目(全国21位)をもたらした。
帽子のツバに刻んだ方言「じょんならん」、気迫の投球
この日、木下瑛二投手の帽子のツバには、ひらがなで「じょんならん」の文字があった。出身地・香川県高松市の方言で「手に負えない」という意味だ。「自分がマウンドに立ったら誰にも手に負えん、相手バッターを圧倒するっていう意味で書きました」と、込めた思いを明かした。この日の朝に書いたといい、「県大会は違う言葉を書いていた。楽しむとか書こうと思ったんですけど、やっぱり“じょんならん”という言葉が好きなので」と語った。
その言葉通りの投球だった。初回を3者凡退で立ち上がると、2回2死からは5番・能島寛太選手(2年)、6番・溝口琉生選手(3年)を2者連続三振に斬った。2回には自己最速タイの147キロを計測し、帽子を飛ばしながらの快投で高岡商打線をねじ伏せた。3回にも1死一、二塁から遊ゴロ併殺、6回2死には横川朔太郎選手(1年)を高めの142キロ直球で3球三振に仕留めるなど、1、2年生中心の相手打線に反撃を許さず、格の違いを見せつけた。
あと1人での被弾も糧に、成長示した「3度目の正直」
8回までは88球と、100球以内での完封「マダックス」も狙えるペースだった。だが9回2死満塁から、投手強襲の適時内野安打で1点を返された。完封まであとアウト1つ。それでも落ち着いて次打者を三ゴロに打ち取り、最少失点で完投を締めくくった。「冷静に、でも気持ちは熱く。気持ちの置きどころがうまくなったのかな」と、大舞台での経験を投球に生かした。
気迫が前面に出るタイプの右腕に対し、松本祐一郎監督(39)は試合前、「気持ちのコントロールと、制球力も、いろんな部分をコントロールしながら投げてほしい」と願いを込めていた。試合後は「冷静に、ランナーを出しても落ち着いてコントロールできていた」とエースの投球を振り返り、「甲子園で苦い経験をしてきた。失敗をしているのが今に生きている」とその成長を認めた。9回に招いた満塁のピンチについては「点差ほど勝っていたとは思えなかった」と本音ものぞかせた。木下投手自身も「3度目の正直と思って、最後まで譲らないと投げていた。バックが本当にたくさん声をかけてくれて、いい守りもしてくれた。野手にありがとうと伝えたい」と感謝を口にした。
ライバルは横浜・織田翔希、目標は「150キロ」と阪神入り
自己最速タイの147キロを計測してもなお、木下投手は「150キロが目標。スピードもそうですが、一番はコントロールです」と満足しない。この日、直前の第2試合で登板した横浜・織田翔希投手(3年)をライバル視しており、「一人だけプロ野球選手がいる」と称賛しながら、「超えたい存在ですし、戦えるようにまずは次も勝ちたい」と準々決勝以降での対戦を心待ちにした。
希望進路はプロ一本を既に表明しているが、小学生時代にはタイガースジュニアに選出された経験があり、「小学校から阪神ファン。阪神に入りたいという気持ちはあるんですけど、やっぱりまずはプロ野球に入りたい。しっかりアピールできるように」と胸の内を明かした。
次戦は天理(奈良)と対戦が決まり、目指すは高川学園史上初の同一大会2勝目だ。「まだまだ“じょんならん”な自分は出せていない。次の試合で見せたい」。最速147キロ右腕が、さらに「手に負えない」投手となっていくか注目したい。
【木下 瑛二】 プロフィール
- 氏名:木下瑛二
- 所属:高川学園高校(3年)
- 出身:香川県高松市
- ポジション:投手
- 投打:右投
- 主な特徴や実績:最速147キロの直球を武器とするプロ注目の右腕で、帽子を飛ばす躍動感あるフォームと気迫あふれる投球が持ち味。3季連続で甲子園のマウンドに立ち、2026年夏の2回戦・高岡商戦では105球5安打1失点、8奪三振の完投勝利でチームを16強一番乗りに導いた。「150キロ」を目標に掲げ、制球力の向上とともに世代トップの座を狙う。希望進路はプロ一本で、憧れの阪神入りを目指してさらなる飛躍が期待される。
















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