プロ注目の最速152キロ右腕、大分商の平田玲翔投手(3年)が8月8日、甲子園での第108回全国高校野球選手権1回戦・日本文理(新潟)戦に「2番・DH」で先発出場し、2点を追う3回途中から救援登板。初球でいきなり150キロ、続けて今大会最速となる151キロをマークして球場の雰囲気を一変させ、7回を5安打2失点の好救援でチームを6―4の逆転勝ちに導いた。視察したNPB各球団のスカウトからは、その剛球に評価する声が聞かれた。
初球150キロで空気を一変、有言実行の火消し
0―2とリードを広げられた3回無死一、二塁。先発の米田泰志投手(3年)が5番・臼木彪牙選手に2ボールとした場面で、「2番・DH」で出場していた平田玲翔投手がDHを解除してマウンドへ上がった。初球、外角へのボールはいきなり150キロ。今大会初の大台にスタンドが大きくどよめいた。
次の149キロで臼木選手を遊ゴロ併殺打に仕留めると、続く打者への初球で今大会最速の151キロをマークし、再び甲子園が湧き上がった。最後は148キロで二ゴロに打ち取り、わずかな球数でピンチを封じた。「とりあえず球場の雰囲気を変えようと、自分の持っている真っすぐを投げた。本当に変わったな、これは抑えられるなと思った」(サンケイスポーツ)と、有言実行の火消しに手応えをにじませた。
登板の場面については「大好きなシーンだったので楽しみながら投げられました。こっちにチャンスの流れが来たなという思いだった」(スポーツ報知)と振り返り、先発の米田投手に対しても「楽しい場面を作ってくれたので、ある意味米田に感謝してます」(日刊スポーツ)と余裕さえ見せた。
味方打線が3イニング連続得点、逆転で29年ぶり白星
剛腕の好救援に打線も奮起した。5回1死一、二塁から連続バントに敵失も絡んでまず1点を返すと、9番・菅原翔空内野手(3年)の左前適時打で2―2の同点に追いついた。
6回には1死二塁からスタメン唯一の2年生、5番・杉山巧真外野手(2年)が勝ち越しの左前適時打。さらに6番・萱島夏空内野手(3年)が右中間へ適時二塁打を放って加点した。7回には女房役の伊東大雅捕手(3年)の左前2点適時打でリードを4点に広げた。
平田投手は8回、先頭から3連打を浴びて2点を返されたが、二塁手の中野斗真内野手(3年)から「ギアを上げろ!」と激励を受け、後続を断ち切った。開幕前に右手中指にできたマメの影響で武器のスプリットは封印していたが、直球とスライダー、チェンジアップを軸に7回を5安打2失点。最後の打者を空振り三振に仕留めると、グラブをたたいて雄たけびを上げた。大分商の夏の甲子園白星は、1997年に桑名西を破って以来、29年ぶりだった。
スカウトが評価、潜在能力に高い期待
この日、ネット裏には各球団の編成担当者、スカウト陣が集結し、平田投手の投球をクロスチェックした。将来性豊かな188センチの長身右腕に、NPB各球団が次々と評価の言葉を並べた。
巨人・榑松スカウトディレクター:「見るのは春、大分大会、今日と3回目ですけど、大舞台で投げている今日が一番いいなと感じます。リリースポイントがまず安定していることと、力みのないフォームで、最後のリリースだけが強くて、あれだけの球速が出る。7、8割で余力を持って投げながら、あれだけのスピードが出るというのは相当に潜在能力が高いということ。最初150キロ、次151キロでしょ。力感なく、まあ将来、160キロが見えるんじゃないかなっていう感じもしますよね。今井投手のようなピッチングスタイルでありながら、やっぱりあのバネの効いた脚力、もうアスリートですよね、本当に。そこは非常に魅力を感じますよね。潜在能力で言えば高校生ではもうトップクラスでしょう」
巨人・武田スカウト:「ポテンシャルが素晴らしい。闘志むき出しのピッチングが魅力。まだまだ伸びしろが期待できる逸材で、非常に楽しみ」
中日・永野チーフスカウト:「まだ体が細いのに150キロ。将来が楽しみ」
千葉ロッテ・榎アマスカウトディレクター:「代わっていきなり150キロを出せる。パワーはもちろん、あえて狙って球場を沸かせられるスター性も魅力」
北海道日本ハム・大渕スカウト部長:「身体能力の高さが足の速さに表れている。伸びしろは十分。上位候補であるのは間違いない」
横浜DeNA・篠原スカウト:「足も速いし、身体能力がすごく高い。大分大会でもリリーフで投げてきて、出力の高いボールを投げていた。今後さらに最速も伸びていくんじゃないかと期待が持てる」
埼玉西武・秋元スカウト・育成統括ディレクター:「1球目からいきなり、あれだけ角度のあるボールを投げられていた。あそこは絶対に点を与えたくないところと思ってギアを上げてきた。出力を上げなきゃいけないタイミングがよく分かっているのは、勝負どころがよく分かっているから。もともとフィジカルはすごかったけど、ポテンシャルは十分。伸びしろ満載ですよ」
平田投手は今夏の大分大会で全5試合に投打でフル回転。打っては「2番・DH」で21打数10安打5打点の打率4割7分6厘、投げては5試合で計17回2/3を4安打2失点(自責1)、15奪三振とチームをけん引した。高校1年時にその体格とストレートが注目され、2年時はやや制球に苦しむ投球を見せた大型右腕が、高校3年の夏に、いよいよ高校生右腕投手のトップランクとしての投球を見せた。
主将としてチームをまとめる大黒柱は「レベルがどんどん上がっていくので、チームを勝たせられるピッチングをしたい」と、次戦へ表情を引き締めた。この日、沸き起こった熱はそのまま帯び続け、侍ジャパンU18代表、そしてドラフト会議へと続いていく。
【平田 玲翔】 プロフィール
- 氏名:平田玲翔(ひらた・れいと)
- 所属:大分商業高校(3年)
- 出身:大分・玖珠町(森中央小1年時に森エンゼルスで野球を始め、くす星翔中では玖珠ボーイズでプレー)
- ポジション:投手(二刀流)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:188cm、80kg
- 主な特徴や実績:2008年7月5日生まれの18歳。最速152キロの直球にスライダー、スプリット、チェンジアップ、カーブを操るプロ注目の本格派右腕で、高校通算20本塁打を誇る二刀流。50メートル6秒0、遠投120メートルの高い身体能力を備え、2月にフォームを改造して球速を伸ばした。1年秋からベンチ入りし、3年春から背番号1。甲子園1回戦では救援で今大会最速151キロをマークし、チームを29年ぶりの白星に導いた。複数球団のスカウトから「高校生ではトップクラス」と潜在能力を高く評価される今秋ドラフト有力候補で、さらなる評価の上積みを目指す。





















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