プロアマの最後の壁は取り払えるか

選手コラム

巨人が昨年のドラフト1位で指名した堀田賢慎投手がトミー・ジョン手術を行ったが、スカウトはドラフト指名前にドラフト候補との接触が制限されていることが、お互いに不幸な状況を作り出すこともある。

プロアマの壁

プロ野球とアマチュア野球は、歴史的にお互いに不信な時期が続いていた。かつては高校2年生の選手を入団させたり、入学・入団予定だった選手を強引に引き抜いたりした。そして社会人野球とプロ野球との間に、一定のルールを設けて制限しようとしたものの、プロ側が協定の破棄を通告し、その間隙を縫う形で行った柳川事件をきっかけに、プロと社会人野球が断絶した。高校野球、大学野球も同様にプロ側に不信感を持ち、アマチュア側がプロ球団の自由契約を制限しするために1965年にドラフト会議がスタートした。日本の場合、プロ球団の戦力の均衡を目的にスタートしたのではなく、プロとアマとの不信感から始まっている。

しかし、ドラフト会議後も金銭を渡して逆指名をさせたり、大学に進学すると話をさせて単独指名を狙ったりと、プロ球団同士の画策によってアマチュア球団が迷惑を受ける。プロ側も一度は逆指名制度、自由枠制度などを勝ち取ったものの、選手に裏金を渡したことが発覚し、巨人、横浜、阪神の3球団のオーナーが辞任したり、西武がドラフト上位指名の権利を剥奪されたり、金銭を受け取っていた選手にも大きな影響を受ける事となった。

これらの事から現在では、アマチュア指導資格のないプロ野球関係者は、アマチュア選手との接触ができない状況となり、プロ志望届を提出する前に、プロのスカウトが高校生、大学生と会話をすることもできない。スカウトは選手を遠くから見て、素質はもちろん、人間性や故障の状況などを見る。そしてプロ志望届提出後からドラフト会議までの短い期間に選手との面談を行い、履歴書に当たる調査書と、場合によっては故障の診断書などを付けてプロ側に送る。選手側がドラフト前にプロ側を知り、希望を伝える機会もこのタイミングしかない。

現在はプロとアマチュアのわだかまりというものは、ほとんど無くなったと言える。いわゆる血みどろの獲得競争の時代を覚えている人は、スカウトはもちろん球団の上層部にも少なくなったことだろう。ただし、自由契約にしてゆけば、球団にもスカウトも人生がかかっている。多くはないと思うが以前のような事件は起こる可能性はある。

それでも、これからチームで一緒にプレーする選手の事を、内面からも、そして故障の状態などを把握できなかったり、自分が入団するかもしれないチームの事を知らずに進んでいくことは、、高い資金を使って選手を雇用するプロ側にとっても、入団してからレベルの違いを見せつけられてしまう選手にも、2,3年で戦力外となるような不幸な結果をもたらすことになる。

社会人野球には、高校生や大学生が練習に参加して、チームの雰囲気や監督の指導などを選手が知ることができる。アマチュア選手が、事前にプロのファームの練習に参加することは、そのレベルを感じる事にもなるし、チームの雰囲気を掴むことで重要だと思う。

MLBは毎年、1球団で40人程度、30球団で1200人が指名されるが、日本の場合は12球団だけで120人という枠がある。その少ない枠をもっと有効にするためにも、今も残るプロアマの最後の壁は、無くしていくべきだろう。

今年はアマチュア選手のプレーする機会が新型コロナウイルスの影響によって失われている。変な話だがこれが、最後の壁を取り払うきっかけになればと期待もしている。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
シェアする
ドラフト会議ホームページ2020 Draft home page

コメント