桐光学園・松井裕樹投手が7回無四球12奪三振1失点、巨人、広島、東京ヤクルト、埼玉西武など6球団視察

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 春季高校野球神奈川大会の準々決勝、桐光学園vs横浜隼人の対戦で、今年のドラフトの目玉、松井裕樹投手が先発した。

 観客は1万人が詰め掛ける注目振りだったが、松井投手は平然と投げ始める。いつもは初回は三者三振も珍しくないが、この日は2回までに2奪三振と少なめだった。しかし3回、4回に2三振づつを奪うと、7回は三者三振に斬って取り試合を終わらせた。

 先週の横浜高戦はストレートで押すピッチングだったが、この日はチェンジアップを多投、また得意のスライダーも解禁した。高めからストライクゾーンに入ってくる球で見逃し三振を、ストライクゾーンから低めに外れる球で空振り三振を奪って行き、7回で12三振を奪った。ストレートも147km/hを記録し、要所で投げられるストレートが三振を奪うための見せ球となった。

 気になるのは6回、2連打でピン津を招くとタイムリー2ベースヒットを打たれて1失点し、この回は三振は0。しかし松井投手は「緊迫した場面でなく、ここえ取られて良かった。」と話した。そして「変化球はまだ投げ込みしていないので、キレがまだ」と話し、変化球の完成度はまだの状態での快投だった。結局7回6安打1失点無四球という内容だった。

 この試合には、巨人、広島、東京ヤクルト、埼玉西武など6球団のスカウトが視察した。コメントは以下の通り。

  • 広島・苑田スカウト統括部長:「下半身がしっかりしてバランスがいい。直球も変化球もフォームが同じなので、打者は打ちづらいと思う。」
  • 西武・鈴木球団本部長兼編成部長:「小さくても体が強い。腕の振りが一級品なのは間違いない。角度のある直球と変化球は工藤公康に似ている。」
  • 巨人・山下スカウト部長:「スライダーのキレは高校生離れしている。チェンジアップやカーブといった変化球を使いこなせたらまず打てない。」

 今大会これまで27イニングを投げて46奪三振、奪三振率は15.3、昨年の夏の甲子園では36イニングを投げて68奪三振で奪三振率は17.0を記録した。そして何よりここまで4試合で1失点と安定感が増している。最後の夏に向けて格段の成長を見せた松井投手、ドラフト会議では菊池雄星投手などの6球団を超える指名があるかもしれない。

桐光・松井フィーバー1万人!/春季神奈川大会  - サンケイスポーツ:2013/4/29

 打線が爆発し、七回コールド勝ち。松井は最後の七回、余力を見せつけるように3者連続三振に切った。5番、6番打者はスライダー、そして7番はチェンジアップでバットに空を切らせ胸を張った。

 「初回5点も取ってくれた。四球を出さず、ヒットはいいから、どんどんストライクを投げた」

 言葉どおりの無四球。さらに投球の幅の広さも披露した。12三振を奪ったが、決め球の内訳は最速147キロの真っすぐで3個、チェンジアップで5個、スライダーで3個、カーブで1個。20日の湘南学院戦では2回6奪三振。21日の横浜戦では9回で13三振を奪ったが、スライダーの割合は少なかった。この日は昨夏の甲子園で全国のファンを驚かせた、切れのあるスライダーも封印を解いた格好だ。

 松井フィーバーの予感だ。春季神奈川大会・準々決勝では初の外野席開放となった。約1万観衆の目をくぎ付けにしただけではない。プロ6球団が視察したが、うち3球団はスカウト部門のトップが陣取った。広島・苑田スカウト部長は「腕の振りがいいから、真っすぐもスライダーもいい。カーブは工藤(元西武など)みたいに一級品で、プロでもそう投げていない」と絶賛した。

 これまでのイメージを変えた。105球目、最後もチェンジアップだ。7回コールド勝ち。松井は125キロで空振り三振に仕留めると、納得の表情を浮かべた。「精度が良くなっている。(チェンジアップを)磨いて上の打者にも使えるようになりたい。勝負どころでは三振を狙っていく」

 昨夏はスライダーで三振の山を築いた。甲子園で「チェンジアップは3球しか投げなかった」と告白する。ところが、この日は12三振中、5三振をチェンジアップで奪った。一級品の変化球があるのに、なぜ新球に取り組むのか。全国制覇を成し遂げるためだ。

 200校近くがひしめく激戦区・神奈川で、夏の大会を勝ち抜くことは簡単でない。野呂雅之監督から「昨年と同じことをやっていても抑えられない」と言われた。そこで冬の間に「苦しいカウントで直球を狙われても緩急をつけて打ち取れる」とチェンジアップに磨きをかけた。

 親指と人さし指でサークルの形をつくり、独学で習得した。140キロ台の直球と120キロ台のチェンジアップで奥行きを駆使すれば、打者を幻惑できる。スライダーに頼らずカウントも整えられる。巨人の山下哲治スカウト部長も「右打者に有効。投球の幅が広くなった」と評した。

 初回に5点の援護をもらい「楽に投げることができた」。6回の打席で右腕に死球を受けた。その裏の1死一、二塁のマウンドでは一塁へのゴロ(記録は右前打)を守備陣がはじき、今大会26イニング目にして初失点を喫したが「緊迫した場面でなかったので、ここで取られておいてよかった」と余裕だ。自己最速タイの147キロも計測。緩急を手に入れた怪物がまたひとつ進化を遂げた。

 
 ▼広島・苑田聡彦スカウト統括部長 下半身がしっかりしてバランスがいい。直球も変化球もフォームが同じなので、打者は打ちづらいと思う。

 ▼西武・鈴木葉留彦球団本部長兼編成部長 (1メートル74と)小さくても体が強い。腕の振りが一級品なのは間違いない。角度のある直球と変化球は工藤公康に似ている。

 甲子園を沸かせた、あの鋭い軌道は健在だ。マウンドで見せる、松井のあどけない笑顔から想像もできないキレっぷりとは、もちろんスライダーのこと。「最終回は変化球を試しました」。8点リードの7回、最後の打者3人はスライダー、スライダー、チェンジアップをそれぞれ決め球に、コールド勝ちを締めくくる3者連続Kだった。

 春の公式戦自身4試合目のマウンド。これまで直球とチェンジアップでほぼ仕留めてきたが、この最終回はスライダーを意識的に選択した。ウイニングショットはあまりに鋭く、ひとつ間違えば暴投の危険をはらんでいるからだ。野呂雅之監督(51)は「捕手も(変化球に)慣らしていかないと」と説明した。

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