北海高校の145キロ左腕・木村大成投手が延長10回まで9回1/3を一人で投げ、サヨナラ負けをしたものの視察したプロのスカウトからは高く評価された。
打ちづらいフォーム
木村大成投手はこの日、初回に145キロを記録すると、得意のスライダーで特に右打者の足元に沈めて三振を奪っていく。6回に3連打で1失点をしたものの、8回まで2-1とリードをしていた。
球数が増えてきた最終回の9回、疲れもあってかストレートの球速も落ち、抑えも効かなくなっていた。先頭打者にヒットを許すと、逆転こそ外野手のバックホームで阻止したものの同点に追いつかれ、延長戦に突入する。延長10回、球数も140球を越え、最初はセカンドのグラブを弾くセンター前ヒットでサヨナラで敗れた。9回1/3を投げて11安打8奪三振3失点（自責点2）という内容だった。
スカウト評価
この日は12球団のスカウトが甲子園に集結し、最初に登場した注目投手・木村投手をチェックした。
○北海道日本ハム・大渕スカウト部長：「スライダーは切れが良く大きくて鋭い。高校生じゃ、そういう投手は見たことがないでしょう。なかなか打てない。」
○北海道日本ハム・栗山監督（テレビ観戦）：「本当に木村君、素晴らしいピッチャーだね」
○オリックス・牧田編成部副部長：「前評判通り腕をしっかり振れる。この時期にあのようなパフォーマンスが見られ、夏に向けて楽しみ。柔らかさもしなりもありますし、伸びしろがある。追い掛けたくなる素材」
○阪神・葛西スカウト：「ストレートに力がある。スライダーもしっかり投げられている。腕の振りがいいから打者は打ちづらい。身長もあるし、順調に行けば楽しみな球を投げている。スライダーもストライクからボールになるから打ちづらい。リズムもいいし、投げっぷりもいい。いまの時期にこれだけ投げられれば、夏まで楽しみな選手。」
○中日・米村アマスカウトチーフ：「これだけ暑ければ冬から夏に来たのと一緒。高校生としてテクニックがあるし、両サイドに出し入れできる。アベレージで140キロ以上出てくれば楽しみ」
○広島・苑田スカウト統括部長：「簡単には打てない。カーブもスライダーも手元で変化する。直球も球速が出ているし、打てそうで打てない」
○東京ヤクルト・小川GM：「スライダーが効いていた。右打者の内角へしっかりと投げ分けられていた。夏が楽しみな投手」
○千葉ロッテ・榎チーフスカウト：「右打者の内角へのスライダーがいい。ストレートのキレがよくなったらもっと生きる」
また、MLB・ロイヤルズの大屋スカウトは「特有の投げ方は、中日・大野雄に似ている。プロに上がれば生きてくるだろう」と評価、「打者から見れば独特のリズムがあるので、非常にやっかいだ。これだけ珍しい腕の振りは、いい投手が多い右腕ならどこかで直されたり、使われなかったりしただろう。しかし少数の左腕だったため、ここまで成長して希少価値のある投手担ったと思う」と話した。
全体的にスライダーが特に良かった。ストレートは指に引っ掛けて右打者の懐に厳しかった一方で、まだ制球はアバウトでやや高めに浮き、左打者にはもう一つ厳しく行くことができなかった。
肩の可動域の広い腕で投げるフォームは往年の左腕投手という感じがある。肩のスタミナという面でもう少し下を使って投げたいが、これが独特のフォームとなり、特徴となっているのであれば、これを生かした形が良いかもしれない。
これから夏に向けて、ストレートの球威のアップと制球がどの様になっていくのか、非常に楽しみだ。
▽日本ハム大渕スカウト部長（北海の木村に） スライダーは切れが良く大きくて鋭い。高校生じゃ、そういう投手は見たことがないでしょう。なかなか打てない。
▽オリックス・牧田編成部副部長 前評判通り腕をしっかり振れる。この時期にあのようなパフォーマンスが見られ、夏に向けて楽しみ。柔らかさもしなりもありますし、伸びしろがある。追い掛けたくなる素材。
▽阪神・葛西スカウト ストレートに力がある。スライダーもしっかり投げられている。腕の振りがいいから打者は打ちづらい。身長もあるし、順調に行けば楽しみな球を投げている。スライダーもストライクからボールになるから打ちづらい。リズムもいいし、投げっぷりもいい。いまの時期にこれだけ投げられれば、夏まで楽しみな選手。
視察した阪神・葛西スカウトも「真っすぐとスライダーの両方ともよかった」と評価した。
自己最速タイの145キロをマークし、キレのあるスライダーを軸に4回までノーヒット投球。ロッテの榎スカウト部長は「右打者の内角へのスライダーがいい。ストレートのキレが良くなったらもっと生きる」と評価した。
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