「令和8年熊本地震」に見舞われた熊本、春夏通じてその熊本代表として初出場の有明のエース左腕・斉藤遼汰郎投手(3年)が、九州対決を制した。甲子園で行われた2回戦で長崎日大と対戦した有明は3―2で競り勝ち、2試合連続の逆転勝ちで16強入り。5回から救援した斉藤投手が9回2死一、三塁のピンチを三ゴロに仕留め、地元に甲子園2勝目を届け、「被災した方に勇気を与えられたかな」と汗を拭った。
耐え忍んだ左腕、渾身のストレートで最後のアウト
背番号1の左腕・斉藤遼汰郎投手は9回先頭に三塁打を許すと1点差とされ、さらに二塁打と四球で絶体絶命のピンチを背負った。それでも「前回の試合は助けてもらった。次は自分が助ける」と奮い立った。7日の立命館宇治戦では5回から登板して2失点したものの、味方の奇跡の大逆転に救われていた。1点差に迫られた9回2死一、三塁、最後は渾身のストレートで平野を三ゴロにねじ伏せ、思いっきりガッツポーズ。「ほっとしている気持ちが強いです」と胸をなでおろした。
この日は3―1の5回からマウンドに上がり、6回、7回は無安打で抑えるなど8回まで無失点。最終回に1点を失ったものの、同点は許さなかった。10安打を浴びながら2失点で踏ん張り、「工が今日も粘って投げてくれていたので」と粘りを引き継いだ。
以前は先発だった斉藤投手だが、先発への思いは「夏直前まではあった」。しかし練習試合で中継ぎとして起用され続けたことをきっかけに「もう今は納得してリリーフで割り切って」と、与えられた役割で期待に応えている。「自分が一人一人丁寧に抑えたら流れが来るしっていう感じで投げてます」と、平常心を貫いた。
“斉藤工”リレー、阪神ファンが聖地で挙げた白星
勝利の方程式どおりの左腕継投だった。初戦と同じく先発した背番号10の工修哉投手(3年)が2回に先制点を献上したものの、味方が逆転してからは踏ん張り、4回を5安打1失点でしのいで斉藤投手につないだ。「さいとう・たくみ」の両左腕で、熊本大会から続く盤石のコンビが10安打を浴びながらも勝利へ導いた。斉藤投手は「工はライバルであり仲間。空振りが取れたので良かった」とたたえ、工投手も「斉藤がいたから、自分もここまで成長した。ライバルであり目標」と応じた。
斉藤投手には甲子園のマウンドで奮い立つ理由がある。父・誠次さんは大の阪神ファンで、自然と応援するようになった。野手は佐藤輝、投手は同じ左腕で今季12勝の高橋が憧れだといい、「真っすぐも、変化球も打ちづらくて勝てるピッチャーだから」と目を輝かせる。阪神ファンにとって聖地での投球に「まだ実感がわかないです」と振り返った。5学年上の兄・虎太郎さんも有明OBで、2021年夏に熊本大会準決勝で敗退。涙に暮れる兄に「俺が甲子園に連れていく」と誓い、同じユニホームに袖を通して有言実行した。
被災地・熊本を照らす希望の光
打線を引っ張ったのは「1番・二塁」の永田晴輝内野手(3年)だった。2―1の3回先頭で中越え二塁打を放って出塁すると、三盗を決めて三ゴロで貴重な3点目の本塁にヘッドスライディングで飛び込んだ。立命館宇治との1回戦では9回2死満塁から走者一掃の逆転二塁打を放った主役で、熊本大会6盗塁の快足も発揮。「絶好調とは言えないけど、しっかり調整して次も頑張りたい」と誓った。守備陣も随所で好守を見せ、みんなで守り抜いた白星となった。
7月28日に発生した熊本地震から2週間が過ぎ、初戦突破後、斉藤投手のもとには友達から多くのメッセージが届いたという。「やっぱり周りから応援されてるんだな」と感じたことがこの試合のエネルギーになった。有明海を挟んだ隣県対決では、試合前に長崎日大の応援席から「フレフレ熊本!」のコールが送られ、2万7000人の観衆からも温かい拍手が送られた。有明の応援席には約1700人が詰めかけた。
高見一茂監督(46)は「粘って取れた試合。普通、10安打されたら負けてる。でも投手が要所で粘ってくれた」とたたえ、「出来過ぎなところもある。本当にスタンドの方々の応援のおかげ」と感謝した。斉藤投手は「被災した方々に勇気を与えるっていう思いでやっていたので、また1勝できて勇気を与えられたのかな」と胸を張った。
次は16日の3回戦で、初出場同士となる東日本国際大昌平との対戦が決まった。目標とするベスト8まであと1勝。斉藤投手は「今日は少し野手陣に助けられたので、次はしっかり自分が抑えて勝てるように。2人で抑えていく」と、コンビでのさらなる躍動を誓った。有明旋風は、被災地・熊本を明るく照らす希望の光となって、まだまだ続く。
【斉藤 遼汰郎】 プロフィール
- 氏名:斉藤遼汰郎
- 所属:有明高校(3年)
- ポジション:投手
- 投打:左投
- 主な特徴や実績:背番号1を背負う有明の救援エース左腕。以前は先発だったが、リリーフに専念して与えられた役割で期待に応える。ピンチに強い強心臓が持ち味で、仲間からも「ここ一番でのピッチングがすごい」と評される。大の阪神ファンで、5学年上の兄も有明OB。甲子園2回戦の長崎日大戦では5回から登板して5回1失点、9回2死一、三塁のピンチを三ゴロで締めて2勝目に導いた。被災地・熊本を勇気づける快進撃を支える大黒柱として、ベスト8進出へさらなる好投が期待される。















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