第108回全国高校野球選手権大会第9日の2回戦が8月13日、甲子園球場で行われ、大分商が今春センバツ8強の英明(香川)に1―6で敗れた。最速152キロを誇る投打二刀流エースで主将の平田玲翔投手(3年)は5回から救援登板したが5失点。1997年以来29年ぶりの3回戦進出はならず涙をのんだ。この日はネット裏に北海道日本ハムの吉村浩常務取締役チーム統括本部長が姿を見せ、今秋ドラフト候補の右腕に熱視線を送った。試合後、平田投手は進路を「プロ一本」と明言した。
制球定まらず、救援5回5失点の悔恨
大分商は先発に背番号10の右腕・米田泰志投手(3年)を送り出し、平田玲翔投手は今年のパターン通りリリーフで待機した。那賀誠監督(59)は事前に「平田はピンチや難しい場面のほうが燃えるタイプ。火がついた状態でマウンドに入ったほうが本来の良さが出る」と、勝負どころを見極めての投入を描いていた。
米田投手は4回4安打1失点と試合をつくり、0―1の5回から平田投手がマウンドに上がった。しかしこの日は最速が148キロどまり。6回には先頭から2者連続で四球を許し、犠打で1死二、三塁のピンチを招くと、英明の7番・太田丈士外野手(3年)に中犠飛を浴びて追加点を奪われた。6回以降は先頭打者への四死球を4イニング連続で出すなど制球に苦しみ、9回には死球と2つの失策も絡んで一挙4失点。結局5イニングを6四死球、3安打5失点(自責2)と、思い通りにならない99球となった。
打撃でも「2番・DH」で先発した平田投手は、1回に鋭い二塁打を放ったが、3、8回はともに2死二塁の好機で走者を返せなかった。8回2死二塁の打席では英明のエース・冨岡琥希投手(3年)と対峙し、「最終回に1点差だったらまだ可能性はあるかなと思いました」と気持ちを込めてスイングしたが、バットは空を切った。
「頭が真っ白になった」9回、突きつけられた甲子園の怖さ
試合後、平田投手は大粒の涙を流しながら振り返った。「自分がふがいないピッチングをしたせいで、チームが負けてしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいです。最高の仲間に恵まれ、甲子園まで連れてきてもらったのに、恩返しができなかったのが悔しい」。強豪相手の乱調について「真っすぐにも変化球もついてくる。さすが強豪の英明さんだなと感じました。調子が悪かったと言ったら言い訳になる。実力不足だと思います」(スポーツ報知)と潔く受け止めた。
甲子園はどんな場所だったか。そう問われると「一番楽しい場所ですし、一番怖い場所でもありました。本来の投球ができない、強豪を相手にするというプレッシャーだったり、そういうものを全部含めて、本当に甲子園の怖さだと思う」と語り、「自分の弱さを知った」と唇をかんだ。初戦の日本文理(新潟)戦では今大会初となる150キロ超えの151キロをマークし、今夏最長の7回を投げて29年ぶり1勝の原動力となっていただけに、聖地で味わった悔しさは深かった。
日本ハム統括本部長も視察、二刀流の剛腕は「プロ一本」
プロのスカウト陣は甲子園大会で出場校が一巡した段階で視察を終えるのが通例だが、この日は北海道日本ハムの吉村浩常務取締役チーム統括本部長が姿を見せ、平田投手に熱い視線を注いだ。最速152キロを誇る剛腕は、50メートル走6秒0、高校通算20本塁打と俊足強打も兼ね備える二刀流。それでも本人は「チームを勝たせるエースを目指したい」と投手に専念する構えだ。
注目の進路について、平田投手は「プロ一本で考えています」と明言した。「今回出た課題を次の進路に向けて、全力で改善したい。ドラフトに引っかかるか分かりませんけど、全力で取り組みたい」と表情を引き締め、「身体作りからやり直して、チームを勝たせられる投手になりたい」と目標を思い描いた。
那賀監督はエースの奮闘をねぎらった。「かなり疲労もあったんだろうと思います。平田で負けるのであればと私も腹をくくっています。平田のチームだったし、彼を主将に据えてからチームが一気にまとまって強くなった。彼の残した足跡は大商にとって、とても大きい」と感謝を口にし、「体が発展途上。5年後、10年後っていう長いスパンで自分を見つめながら、基礎をしっかり作ってほしい」と成長への期待を寄せた。
大分商は勝って大会2勝となれば、岡崎郁(元巨人)を擁して8強入りした1979年以来、47年ぶりの快挙だったが、夢は破れた。「もう一度、ここに帰ってくるんで。プロで、ここで1勝を挙げると誓ったんで」と話す平田投手は、甲子園の土は持ち帰らなかった。
【平田 玲翔】 プロフィール
- 氏名:平田玲翔(れいと)
- 所属:大分商業高校(3年)
- ポジション:投手(投打二刀流)
- 主な特徴や実績:最速152キロの直球を武器とする今秋ドラフト候補の右腕で、188センチの長身から投げ下ろすスケール感が持ち味。打っても高校通算20本塁打、50メートル走6秒0の俊足強打を誇る投打二刀流だが、本人はチームを勝たせるエースを目指し投手に専念する構えだ。この夏は大分大会で明豊の6連覇を止めて甲子園出場をつかみ、初戦の日本文理戦では今大会初の150キロ超えとなる151キロをマークして7回を投げ、29年ぶりの1勝に貢献した。英明との2回戦では5回5失点に終わったが、進路は「プロ一本」を明言。「身体作りからやり直して、チームを勝たせられる投手になりたい」と、次の舞台での飛躍を誓う。














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