2024年のドラフト展望、社会人野球編です。大学生編、高校生編
投手の中心は？
昨年はこの時期にENEOSの度会隆輝選手一強が予想できた社会人野球のドラフト候補、今年は昨年以上に中心となる選手が無く、混戦の中から注目候補に躍り出るのは誰か。
昨年はトヨタ自動車の嘉陽投手、Honda鈴鹿の森田投手が左右のNO.1投手となり、ベテラン投手の活躍が目立ったが、逆に言うと大学1年目、高校卒2年目あたりの投手が伸び悩んだとも言える。
都市対抗で登板した大卒1年目の投手で、最も高く評価したのは日本通運の松澤海渡投手。右スリークォーターから左右に動く143キロ前後の球が魅力で三振も奪えるリリーバーとして注目される。七十七銀行の渋谷祐太郎投手は最速150キロの速球を投げる投手で、都市対抗本戦でも力強い140キロ中盤の速球を投げた。同じチームの西舘洸希投手は結果は良くなかったが角度のある球とフォークボールを投げ、今年注目したい投手となった。三菱重工Westの鷲尾昂哉投手も185cmの長身から投げ下ろす球が魅力だが、やや変化球主体の投球になっており、強いストレートを見たかった。
しかし、慶応大で活躍した日立製作所の生井惇己投手や神奈川大で152キロの速球が注目された東芝の神野竜速投手、上武大の153キロ右腕だったトヨタ自動車の加藤泰靖投手などは、できれば昨年秋の時点で来年のドラフト上位候補に名前が挙がっていてほしかった。そのくらい大学時代から評価をしている。他にも大阪ガスの勝本樹投手やパナソニックの羽田野温生投手、エイジェックの河北将太投手、JFE東日本の立石健投手と福山優希投手などは絶対に出てきてほしい投手だ。
高校卒3年組では東芝の西村王雅投手が楽しみ。左の横から2600回転のストレートを投げ、智弁学園時代は球速が130キロ前半だったが、140キロ中盤まで出るようになり魅力はましている。仙台育英時代に注目されたが高校を退学していた笹倉世凪投手は、九州のベゼルスポーツアカデミーで今年3年目となる。149キロ左腕はやはり放っておけない素質を持った投手だろう。
また昨年のドラフト会議で指名漏れとなった選手では、NTT東日本の片山楽生投手、日本通運・川船龍星投手、三菱重工Westの竹田祐投手、ENEOSの関根智輝投手や加藤三範投手などがどのようになっていくか。特に関根投手は都市対抗ではトップクラスの投球を見せており、復調すればドラフト上位でプロに行けるだろう。
野手
捕手では日本生命の石伊雄太選手が順調に社会人でも実績を残しており、大学時代からの評価を考えるとドラフト指名候補として注目したい。またHonda熊本の蓑尾海斗選手は捕手としてHonda熊本の強さを支えており、打撃でも素直なバッティングを見せる。肩の強さも大学時から評価が高く、指名があるのではないかと思う。他にはNTT東日本の野口泰司捕手がどのように変わっていくか、JFE西日本の土井克也選手は打撃がやっぱり素晴らしくその可能性を追いたい。
内野手も東芝の斎藤大輝選手、下山悠介選手、日本生命の山田健太選手といった高校、大学時に注目された選手は、個人的には昨年を見ても大学時とあまり変わっていない感じだった。大学時代指名漏れになったことを考えると、変わった所をアピールしなければならない、長く注目されている選手だからこその難しさがある。
その中で西濃運輸の小中健蔵選手は守備こそDHだが打撃は社会人屈指の力を持っており、逆方向にも伸びる打球はプロでも見てみたいと感じさせる。同じチームの修行恵大選手もポテンシャルのある選手で期待を続けたい。
他には日本選手権で優勝を納めた大阪ガスの遊撃手・高波寛生選手は188cm90kgの大型遊撃手。8番と下位打線を打っていたが、できれば打撃でアピールをして注目候補になって欲しい。パナソニックの大上海璃選手も体ががっしりしてきた遊撃手で、打撃と守備でアピールしたい。
外野手ではSUBARUの藤原龍之介選手がリードオフマンとしてヒットを広角に打って出塁し、すかさず盗塁を決める足がある。大学時代から強い打球を飛ばす中距離ヒッターの日立製作所・松下豪佑選手も全ての力をもう1段階伸ばしてアピールしたい。
高校卒3年目では明石商で注目され、東海理化に進んだ福本綺羅選手は、都市対抗で3安打を記録したものの当てている感じの打撃で、強いスイングでしっかりとコンタクトして打ったヒットを見たい。
投手、野手とも全時点で主役はいないが、そこに入ってきそうな選手は大勢いる。頭一つ抜ける選手が出てくることを期待したい。
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