1年夏から5度の甲子園出場をした花巻東(岩手)の主将・古城大翔選手(3年)の甲子園が終わった。18日、横浜(神奈川)に0−6で敗れ、2013年以来13年ぶりの4強進出はならなかった。高校通算34本塁打を誇るプロ注目のスラッガーは、最速157キロ右腕・織田翔希投手(3年)から木製バットで2安打を放つ意地を見せたが、あふれる涙を帽子で隠しながらグラウンドを後にした。
157キロ右腕から放った2安打、「ものすごく価値がある」
古城大翔選手の最後の甲子園の試合で立ちはだかったのは、甲子園史上最速タイの156キロを連発し、今秋ドラフト1位候補に挙がる織田翔希投手だった。「4番・一塁」で先発した古城選手は、1打席目こそ見逃し三振に倒れたが、第2打席は146キロの直球を左前へ運び、第3打席は154キロの直球を中前へはじき返して、4打数2安打と奮闘した。「はるかに上のピッチャーだと思っていたが、そういうピッチャーから打てたというのはものすごく価値がある。ここで仮に野球が終わったとしても悔いのないようなピッチャーと対戦できた」と胸を張った。
試合は初回に先制を許す苦しい展開となった。0−1の3回、古城選手に一つの見せ場が訪れた。2死一、二塁から左前へ痛烈な安打を放ち、同点適時打かと思われた。しかし、横浜の左翼手・江坂佳史選手(3年)がノーバウンドでストライクのバックホーム送球を見せ、二塁から本塁を狙った走者を刺した。衝撃のドンピシャ送球に甲子園は騒然。打った古城選手も思わず頭を抱えた。
試合後には織田投手と言葉を交わした。「自分のバッティングも織田投手のおかげでここまで伸びることができたと思う。感謝の意味も込めて『ありがとう』と『頑張ってください』と伝えました」と、少し晴れやかな表情で口にした。「1人1人のポテンシャルが素晴らしいと思うし、当たり前のことを当たり前にできる。僕も横浜出身なので昔から知っているし、ほれぼれするようなチームだなと思った」と相手をたたえた。
骨折を隠して臨んだ最後の夏、涙とともに刻んだ球史
古城選手は敗戦後、初戦前日に右足中足骨を骨折していたことを明かした。4月の練習中に骨折した部位で、「初戦の前日に骨折していた部位が再発して、骨折している状態だった」という。「ずっと痛いままのプレーだったが、痛いとも言っていられないし、仲間には一切見せずに、必死に声をかけながらプレーすることを徹底しようと思った」と主将の役割を全うした。「そういう痛みよりも、負けた時の心の痛み、傷の方がすごく痛い」と敗退の痛みを受け止めた。
巨人などで活躍した茂幸氏を父に持つ古城選手は、1年夏から4番を任され、今大会も全試合で4番を務めた。甲子園5季連続4番は、NPB通算525本塁打の清原和博氏がPL学園(大阪)時代の1983年夏から85年夏にかけて達成して以来の快挙で、球史に名を刻んだ。
高校通算47発・花巻東の赤間史弥選手は最後の夏にブレーク
赤間史弥選手は、岡山学芸館との2回戦で「3番・左翼」で先発し、マルチ安打に4盗塁と躍動。投手としても7回途中から登板し、2回2/3を1失点と三刀流の活躍を見せていた。英明戦でも二刀流で活躍してチームをベスト8に導き、これまではスラッガーとして注目されていたが、この大会では投手として、そして大型の体ながら足の速さも見せてのびのびとプレーをしていた。
そしてこの試合も投打での活躍が期待されたが、横浜のプロ注目エース・織田翔希投手の前に3打数無安打と沈黙。注目の対決は織田投手に軍配が上がった。また5回から、先発したエースの萬谷堅心投手(3年)に代わって2番手としてマウンドに上がったものの、横浜打線の勢いを止めたいところだったが、先頭の池田聖摩内野手(3年)に安打を許して出塁を許すと、タイムリー2本を浴びて1回3安打2失点で降板した。
注目の進路は?
最後の夏を、古城選手はこう振り返った。「約850日しかない、期間限定のスポーツだと思っているので、最初はものすごく苦しかったし、大変なことばかりだったが、いま振り返ると毎日が楽しかったし、青春全てをこの高校野球に注いできた。最後の最後でやりきれたかなと思う」。土は持ち帰らず、聖地の光景を目に焼き付けた。進路については「ここからしっかり考えていきたい」と明言を避けた。
一方、赤間選手は敗戦後に投打両方への思いを問われると「できるのであれば両方やりたい」と、二刀流の継続に意欲を見せ、プロ志望届を提出しない意向を示し、「大学で経験を生かして頑張りたい」と大学でプレーすることを明らかにした。
1年時から注目された右の大砲、共に3年間を試行錯誤しながらも成長した姿を見せてくれた。そして今後もその姿に注目したい。また、萬谷堅心投手も大学で二刀流継続を目指す。
【古城 大翔】 プロフィール
- 氏名:古城大翔(ふるき・だいと)
- 所属:花巻東高校(3年)
- 出身:神奈川・横浜市(山田バッファローズ→都筑中央ボーイズ)
- ポジション:内野手(一塁)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:180cm、94kg
- 主な特徴や実績:高校通算34本塁打を誇る全国屈指のスラッガー。1年夏から花巻東の4番に座り、5季連続の甲子園で全て4番を務めた。1年春からの5季連続ベンチ入りは学制改革後で史上13人目、甲子園5季連続4番は清原和博氏以来の快挙となる。日本ハムや巨人で内野手として活躍した茂幸氏を父に持つ。最後の夏となった甲子園準々決勝の横浜戦では、右足中足骨の骨折を抱えながらも最速157キロ右腕・織田翔希から木製バットで2安打を放ち、球史に名を残した。









































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