3年ぶりの夏の甲子園を目指す春季大阪大会覇者・履正社、最速148キロ右腕エースの木村颯投手(3年)が18日、夏の高校野球大阪大会の3回戦(大阪シティ信用金庫スタジアム)で関西創価と対戦し、10回140球を投げ抜いて被安打7、1失点の熱投を演じた。関西創価のプロ注目右腕・那須英翔投手(3年)との息詰まる投手戦を制し、履正社は延長タイブレークの末に2×-1でサヨナラ勝ち。バックネット裏にはNPB6球団のスカウトが集結し、粘り強く山を越えていくエースに視線を送った。
硬いマウンドに苦しむも修正、那須との我慢比べを制す
プロ注目のエース同士が投げ合う一戦は、序盤から緊迫した展開となった。履正社は辻竜乃介内野手(3年)の犠飛で1点を先行したが、先発した木村颯投手は1―0の2回、四球や暴投などで招いた2死一、三塁から内野安打で追いつかれた。
それでも木村投手は3回以降に立ち直った。序盤は硬めのグラウンドに体の使い方をうまく合わせられず苦しんだが、徐々に感覚をつかんだという。「硬いマウンドにタイミングがずれて(体の)開きが早くなって低い球が多くなってしまったけど、途中から意識を変えて足がつくまで並進していくイメージで投げていき調整できました」(サンケイスポーツ)と振り返った。相手先発の那須英翔投手も今秋ドラフト候補で、簡単には崩せない存在だった。木村投手は「どっちかが点を取ったら流れをそのまま持って行かれる。どれだけ我慢強く投げられるか」(日刊スポーツ)と、我慢比べを意識し続けた。
互いに譲らず、両先発とも序盤の1点ずつのみで9回まで終了。試合は今大会初の延長タイブレークにもつれこんだ。
「200球ぐらい投げるつもりで」、味方守備にも救われ10回を投げ抜く
木村投手は10回も続投した。2死一、二塁から中安打を許し、二塁走者が本塁へ突入する場面もあったが、味方の中継プレーがタッチアウトに仕留めて表を無失点で切り抜けた。「走ってこないと思っていて、次のバッターで勝負って思っていたんですけど、刺してくれたんで嬉しかった」(スポーツニッポン)と、好守に助けられたことを喜んだ。
140球を投げ抜いてもなお、エースに疲れの色はなかった。「3回の時点で50球ぐらい投げていたんで、もう200球ぐらい投げるつもりでやっていた。簡単に崩せないピッチャーなんで、こういう時はピッチャーが頑張らないといけない」(スポーツニッポン)と、力の投球で試合をつないだ。これまではピンチで腕が緩む場面もあったといい、この日は「バックの力を信じて投げることができました」(サンケイスポーツ)と、春からの進歩を実感した。
その裏、履正社は無死満塁の好機をつくり、スタメンで唯一の2年生・城間煌陽内野手(2年)が中前へサヨナラ適時打を放って試合を決めた。エースの熱投が呼び込んだ劇的な勝利だった。多田晃監督は「前半ちょっとアカンかったんで、投手陣に急いで肩をつくらせていたんですけど、後半から終盤にかけて立ち直ってきて冷静に投球してくれるようになりました。よく投げてくれたなと思います」(サンケイスポーツ)と、エースの修正力をたたえた。
6球団視察の中「さすがエース」、再抽選の激戦区へ「勝っていかないと」
この日、バックネット裏にはNPB6球団のスカウトが視察に訪れ、スカウトガンでは最速145キロを記録した。
中日・清水昭信スカウト:「球は走っている。ちょっと抜け球があったりするが粘り強く投げられている。先発投手としてゲーム作りというか、仕事は果たしている。さすがエースって感じ」
前日17日には4回戦以降の再抽選があり、履正社はシード校の大院大高や春準Vの関大北陽など強豪校がひしめくブロックに入った。組み合わせを見た木村投手は「『なんやこれは』とびっくりしました(笑い)」(日刊スポーツ)と驚きを隠せなかったが、「その中でも勝っていかないと甲子園でも勝てないと思っている。点を取られなかったら負けないんで、そこは意識していきたい」(スポーツニッポン)と、一戦必勝で山を越えていく覚悟を示した。
履正社のエースが3年ぶりの夏の甲子園出場を掴み取るか、そしてその先の進路は、木村投手に注目が集まる。
【木村 颯】 プロフィール
- 氏名:木村颯(きむら・はやと)
- 所属:履正社高校(3年)
- 出身:奈良県奈良市(山陵クイーンズ→登美ケ丘中・奈良ヤング)
- ポジション:投手
- 投打:右投右打
- 身長・体重:170cm、76kg
- 主な特徴や実績:最速148キロを誇る履正社のエース右腕。2年秋から背番号11でベンチ入りし、今春から背番号「1」を背負う。第108回全国高校野球選手権大阪大会の3回戦・関西創価戦では、プロ注目右腕・那須英翔投手との投手戦を延長10回140球、被安打7、1失点で投げ抜き、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。中日・清水昭信スカウトから「さすがエースって感じ」と評価され、目標に掲げる北海道日本ハム・伊藤大海投手のような投球で、3年ぶりの夏の甲子園出場を目指す。













コメント