福岡ソフトバンクのドラフトの狙い(2021)

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2021年の福岡ソフトバンクのドラフト戦略を分析します。

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福岡ソフトバンクのチーム分析

パリーグ を制し、日本一となった福岡ソフトバンクはどんなチームだったのか、セイバーメトリクスの指標で分析をしてみる。

野手力(攻撃力・守備力)

チーム得点への貢献
wRAA
走塁による
貢献
UBR
盗塁による
貢献
wSB
守備による貢献
UZR
WAR
ソフトバンク+13.9+5.8+2.1+59.120.9
ロッテ-13.5+8.9+0.4+17.712.8
西武-23.6+4.3-2.7+23.712.3
楽天+63.0+5.5-1.6-8.716.6
日本ハム-11.7-4.4+2.7-25.812.1
オリックス-28.2-5.5-1.0-2.87.0

参照:1.02-Essence of Baseball 

攻撃力では東北楽天に大きく引き離されながらも、リーグ2位の成績で、走塁・盗塁による貢献も比較的高い。突出しているのは守備による勝利への貢献で、他チームを大きく引き離した。その結果、全ての要素による勝利貢献を示す野手(攻撃&守備)のWARはリーグ1となった。平均以上の打力、走力も含めた得点力と、リーグNO.1の守備力を持ったチームと言える。

投手力

チーム防御率tRASP RARRP RARWAR
ソフトバンク2.923.68156.694.826.0
ロッテ3.814.23120.968.519.6
西武4.284.7634.280.711.9
楽天4.194.29133.866.920.8
日本ハム4.024.03118.154.817.9
オリックス3.974.28103.757.016.6

参照:1.02-Essence of Baseball

打球補正も含めた投手の責任のみの防御率(tRA)では唯一の3点台、先発投手の勝利の貢献度、リリーフ投手の投手貢献度でもリーグ1で、投手力による勝利貢献度も最も高い値となった。まさに、先発・リリーフに最も優れたチームだった。

以上から、投手・攻撃・守備全てにバランスがよく、特に投手・守備による貢献でリーグ制覇をした形となった。

福岡ソフトバンクのチーム状況

チームwRAAUBRwSBUZR野手
WAR
tRASP RARRP RAR投手
WAR
20207342+13.9+5.8+2.1+59.1+20.93.68156.694.8+26.0
20197662-4.9-0.9+1.5+14.3+16.14.15165.8116.9+28.9
20188260+83.0-8.4+0.6+54.0+31.34.45130.965.8+20.3
20179449+73.2+7.8-5.6+39.4+30.13.75160.3104.7+28.0
20168354+45.5+18.0+0.3+28.9+21.43.84190.487.5+29.2
20159049L81.1-1.1-1.0+40.2+28.03.69168.198.1+28.2

参照:1.02-Essence of Baseball 

主な指標を2015年から並べ傾向をみると、守備が高いレベルで安定しているチームということがわかる。攻撃力は以前に比べるとやや落ちてきており、投手力は2018年に少し弱まったものの、投手力でも先発、リリーフに高いレベルを維持しているチームであることがわかる。

近年の傾向としては打力で他チームの後塵を拝すことが多く、打撃の立て直しが必要。2019年オフにはバレンティン選手を獲得したものの、2020年に貢献することはできなかった。日本人野手の活躍で少し持ち直したものの、優勝のために外国人補強も含めた打力の底上げは必要と考えられそうだ。

投手力は、2018年に前年に活躍したリリーフのサファテ投手と岩嵜投手が離脱し、先発も東浜投手、バンデンハーク投手、千賀投手が前年より成績を落としたが、2019年には2年目の高橋礼投手とルーキーの甲斐野投手が活躍したことが大きい。先発、リリーフ共に現在の力を維持することをベースに考えれば、リーグNO.1の投手陣の維持に繋がるが、貢献度の高い千賀投手の流失には備えなければならない。

投手
 2020年5年後予想
先発千賀滉大(28) 11勝6敗、tRA2.54 WAR:4.6
石川柊太(28) 11勝3敗、tRA3.68 WAR:2.8
東浜 巨(30) 9勝2敗、tRA3.83 WAR:2.8
ムーア    6勝3敗、tRA3.14 WAR:2.5
和田 毅(39) 8勝1敗、tRA4.17 WAR:1.7
笠谷俊介(24) 4勝4敗、tRA2.93 WAR:1.9 
二保 旭(30) 4勝5敗、tRA5.34 WAR:0.3
バンデンハーク 2勝2敗、tRA5.92 WAR:0.0
武田翔太(27) 2勝2敗、tRA7.74 WAR:-0.5
石川柊太(33)
高橋 礼(30)
東浜 巨(35)
武田翔太(32)
大竹耕太郎(33)
笠谷俊介(29)
中継ぎモイネロ  50試合2勝3敗38H tRA:1.79 WAR:2.1
高橋 礼(25) 52試合4勝2敗23H tRA:4.46 WAR:0.7
板東湧梧(26) 15試合2勝2敗  2H tRA:4.18 WAR:0.6
岩嵜 翔(31) 17試合0勝2敗10H tRA:4.71 WAR:0.2
泉 圭輔(23) 40試合0勝1敗  8H tRA:3.66 WAR:0.8
松本裕樹(24) 25試合0勝1敗  6H tRA:4.89 WAR:0.3
嘉弥真新也(31) 50試合3勝1敗18H tRA:2.46 WAR:1.1
川原弘之(29) 22試合0勝0敗  4H tRA:3.77 WAR:0.4
津森宥紀(22) 14試合1勝0敗  3H tRA:3.72 WAR:0.4
甲斐野央(29)
泉 圭輔(28)
板東湧梧(31)
嘉弥真新也(36)
二保 旭(35)
高橋純平(32)
椎野 新(29)
森 唯斗(33)
抑え森 唯斗(28) 52試合1勝1敗6H32S tRA:3.22 WAR:1.4杉山一樹(28)
2軍
(3年目まで)
杉山一樹(23) 14試合60.0回
椎野 新(24) 19試合27.0回
奥村政稔(28) 15試合18.0回

投手陣では、好成績を残す日本人投手の先発陣一人一人が多くの貯金を残す形となった。千賀、石川、東浜の3頭種はtRAも好成績だが、年齢的に30歳前後となっている。和田投手は守備による面も大きかったとも言える。リリーフでモイネロ投手、嘉弥真投手、森投手の役割が大きく、他にも若手投手が支えた形となっている。これらの若手投手は先発候補として見られる。

5年後を考えると、千賀投手がメジャーに挑戦する可能性は高いと思われ、ベテランになる東浜投手を中心に、石川投手、高橋投手、笠谷投手などが中心になりそうだ。また、甲斐野投手を先発で起用することや、そのままリリーフの場合は泉投手を先発に持ってくることも考えられる。タフな森投手がいることが、リリーフ陣の安定感につながっているが、若い杉山投手がいることも心強い。

野手
守備2020年5年後予想
捕手甲斐拓也(28) 104試合,打率.211,11本,wOBA.322 UZR:5.5 WAR:3.0甲斐拓也(33)
一塁手中村 晃(30) 100試合,打率.271,6本,wOBA.322 UZR:3.2,WAR:0.5栗原陵矢(29) 
二塁手周東佑京(24) 103試合,打率.270,1本,wOBA.307 UZR:2.8,WAR:2.0周東佑京(29)
三塁手松田宣浩(37) 116試合,打率.228,8本,wOBA.298 UZR:2.3,WAR:0.5井上朋也(23)
遊撃手今宮健太(29) 43試合,打率.268,6本,wOBA.316 UZR:6.0,WAR:1.6
川瀬 晃(23) 70試合,打率.191,0本,wOBA.230 UZR:7.5,WAR:0.5
今宮健太(34)
外野手柳田悠岐(31) 119試合,打率.342,29本,wOBA.462 UZR:3.5,WAR:8.4
栗原陵矢(24) 118試合,打率.243,17本,wOBA.324 UZR:-3.2,WAR:1.1
上林誠知(25) 69試合,打率.181,6本,wOBA.264 UZR:10.2,WAR:0.7
柳田悠岐(36)
柳町 達(28)
佐藤直樹(27)
2軍・捕手海野隆司(23) 37試合、打率.252、  0本
九鬼隆平(21) 93試合、打率.259
【予想打順】
1柳町
2周東
3柳田
4井上
5栗原
6リチャード
7佐藤
8今宮
9甲斐
2軍・内野手リチャード(21) 52試合、打率.206、 5本
野村大樹(20) 54試合、打率.279、 2本
三森大貴(21) 30試合、打率.299、 0本
古沢勝吾(24) 47試合、打率.275、 0本
2軍・外野手柳町 達(23) 41試合、打率.290、 2本
佐藤直樹(22) 40試合、打率.196、 1本
田城飛翔(22) 33試合、打率.193、 0本
水谷 瞬(19) 34試合、打率.284、 4本

野手では捕手の甲斐選手、外野手の柳田選手の勝利への貢献は非常に高く、二塁手の周東選手が非常に成長したことも大きかった。遊撃手も今宮選手は打撃での貢献と守備での貢献が非常に高く、川瀬選手も守備で貢献できており、周東選手のように打撃が上がってくればレギュラーを取れそうだ。

長年活躍を続けてきた松田選手は、2018年まで勝利への貢献が非常に高かったが、2019年、2020年と低くなってきている。ベンチでそれ以外の面で勝利の役割に大きく貢献しているものの、三塁手は補強ポイントとなる。また一塁手も中村選手が主に守ったものの、他球団の一塁手に比べると貢献度は高くない。外野手では栗原選手が打撃で貢献をしているものの、外野手として守備の貢献は高くなく、一塁手で高い数値を見せており、ファーストにおきたい選手と言える。そうなると、外野手の穴はまだ大きいということになりそうだ。

福岡ソフトバンクの指名の傾向

ドラフト上位(1位)中下位育成外国人FA/トレード
18.6(6.6)5.912.74.60.0

チームの勝利貢献度がどんな補強手段で行われているのかを見てみる。ドラフトでは上位が18.6となっており、特に2位指名の選手の貢献が大きい。また、育成ドラフトからの貢献が非常に大きいことがわかる。主な選手にFA、トレードで補強した選手はおらず、外国人のポイントが非常に高いということではないため、育成によって作られたチームであるということが考えられる。

過去のドラフト指名を見ると、2013年までは即戦力投手を2枚並べる様な、いわゆる他球団と変わらない普通のドラフトを展開してきた。ただし育成枠の指名は非常に多かった。小川氏が2013年から編成・育成部長を務めてからファーム環境の充実と育成によるチーム作りが本格化、1軍のレギュラー陣が高いレベルで安定していたこともあるが、ドラフト上位でも高校生が並ぶ様になった。

しかし、小川氏が2018年に2軍監督として現場に復帰し、現在の永井編成・育成部長に変わると、2018年、2019年は大学、社会人の選手をバランスよく指名する形となった。それでも昨年は笹川吉康選手の2位指名など、4位までを高校生野手4人が占めるなど、将来を見据えた指名というだけでなく、実績よりも高い身体能力を優先するような、今後のドラフト指名に大きく影響を与えるかもしれない、深慮が窺える指名となっている。それでも、そうした指名を毎年続けるのではなく、3年に1度くらいのペースで行うものと考えられ、今年は実績のある実践的な指名になる可能性もある。

現在は小川氏の時代に獲得した高校生を根気強く指導して開花した高校生と、永井氏の時代に獲得した即戦力の選手が重複する形で一時代を作っているとも言える。しかし、それにより世代の偏りが生まれ、隆盛を極めたチームが低迷期に入ることも少なくない。ただしソフトバンクの場合は、育成ドラフトによる選手の大量指名を続けることと、そこから台頭する選手により、今後も高いレベルの選手層を維持し続ける可能性が高いと感じる。

監督のビジョン

工藤監督は投手中心、攻撃中心といった明確なビジョンは見せないが、一人一人の能力を最大限に発揮させるためのケアを十分に行い、チームが用意した戦力を発揮できれば優勝できるというビジョンなのだろう。フロントを信頼しタッグをしっかりと組んだ王道の監督と言える。

また高い知識を生かし、コーチ陣の育成を時には厳しく行っている。当初は抵抗もあった様だが、実績が伴った形で長期政権となるとこれが浸透し、首脳陣の力も他球団をしのぐものになっている。

2021年のドラフト指名候補は?

補強ポイントまとめ

 投手捕手内野手外野手
2020年戦力から
将来のチームから
2020年ドラフト指名から
チーム・監督の方針から
補強ポイント

チーム世代表はこちら

2020年の戦力分析から、一塁手、三塁手、外野手を補強ポイントとしたが、2020年のドラフト会議でそこを重点的に埋めてきた。またキーポイントとなる捕手、遊撃手の選手層の維持も行っており、左打ちのやや打撃に特化した一塁、三塁手、右打の外野手が補強ポイントとなる。

また投手は急務とは言えないものの、故障者が出ても常にカバーできる選手層を維持するため、緩く補強ポイントとなりそうだ。特に昨年はドラフト上位で投手指名がなかったため、投手を優先してくることも考えられる。

1位、2位指名予想

パターン1は昨年ドラフト上位で指名しなかった投手を指名、その中で即戦力の市和歌山・小園投手よりも、スケールの大きな森木投手を指名する。2位は補強ポイントの右の外野手のうち、育成するために高校生の徳丸選手を指名する。

パターン2は外野手全体と補強ポイントとし、非常に能力の高い阪口選手を評価して、昨年に続き左の外野手をドラフト上位で指名。2位はリリーフ陣が疲れることを見越して球威のある椋木投手か、左の先発・リリーフ候補の鈴木投手を指名。創価大ということで田中正義投手への刺激にもなる。

パターン3はペナントレースを戦う上で、故障者などが多かったりした場合。ややそうの薄い先発・リリーフの左投手として、佐藤投手、地元の実力派・隅田投手の指名や、柳町選手の後輩で補強ポイントの右の外野手で即戦力候補の正木選手を指名する。

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