阪神タイガースが18年ぶりとなる優勝を飾った。前任の矢野監督のときから優勝は近いと見られていたが、岡田監督がついに最後の壁を突破し優勝を果たした。
蔦村本部長
阪神は2018年から蔦村本部長が本格的に編成に関わり、今年のチームについて「5年前からこういうチーム、こんな感じのチームがいいなと思っていた、想定していたチームに近いところに来ている」と話した。
阪神は2016年から3年間を金本監督が、2019年から2022年の3年間を矢野監督が率いたが、これまでの外国人やFA選手の獲得に頼った編成から方針転換し、日本人選手を中心に長期的に戦えるチームづくりを進めた。
2018年のドラフトでは1位で藤原恭大選手、辰己涼介選手を外し、近本光司選手を指名したが、1番センタータイプの選手を高校、大学、社会人と徹底して指名し続け、近本選手が1番センターとしてチームの中心選手になった。またこの年は2位で小幡竜平選手、3位で木浪聖也選手と、こちらもポスト鳥谷として補強ポイントだった遊撃手を指名、3位まで野手の指名となった。
2019年は1位で奥川恭伸投手を外したものの、西純矢投手を指名、2位で井上広大選手、3位で及川雅貴投手、4位で遠藤成選手と、高校生の有名選手を徹底的に指名し続けた。そして2020年は再び大学生内野手の佐藤輝明選手を1位指名すると、2位で伊藤将司投手、5位で村上頌樹投手、6位で中野拓夢内野手、8位で石井大智投手と、今年の主力選手を一気に獲得、4位の榮枝裕貴捕手も含めて、全ポジションの即戦力を指名し続けた。
そして2022年の森下翔太選手の指名が最後のパーツとなり、2023年の優勝となった。蔦村氏はこのドラフト戦略について、「ドラフトは何を捨てるか」と話す。2018年は「センターラインと決めたら後は捨てていく作業も必要」と他の有名選手を指名せず、その方針を貫いた。ただし、「現場とフロント、親会社が三位一体となり、当事者意識を持って同じ目標に向かうことが大事」と話し、3者のコミュニケーションと、「正当性を持って、道理にかなうというか、ファンの方が見ても分かるような、そういう編成をしたい」とファンもわかる編成を意識しているという。
大学・社会人
阪神の打線を見ると、1番・近本選手、2番・中野選手は社会人出身で、守備と足の良さ、そして巧みな打撃が評価されていた。そして3番の森下選手、4番・大山選手。5番・佐藤輝選手は、大学生でスケールの大きさが評価されたドラフト1位スラッガートリオが並ぶ。そしてショートには木浪選手、捕手に坂本選手が入った。
高校生はまだ成長途中の段階ではあるが、村上投手、大竹投手、伊藤投手の10勝トリオも大学生、社会人の投手で、結果的ではあるが大学生、そして社会人の選手をうまく指名している。特に村上投手、伊藤投手は大学、社会人時代は球速に注目された投手ではなく、制球力を中心とした技巧派と言われた投手だった。
巧みさのある社会人の選手の指名も、チームの優勝の要因の一つとして挙げられると思う。
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