佐々木麟太郎選手、夏は0発も最後は打者一巡のセカンドゴロで終える、進路は明言せず

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花巻東が仙台育英と甲子園の準々決勝で対戦し、4-9で敗れた。佐々木麟太郎選手は8回に三球三振で一度もバットを振れずに立ち尽くしたが、9回に打者一巡の猛攻で高校最後の打席が巡ってきた。

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打者一巡

この日は先発した湯田統真投手に151キロのストレートを決められピッチャーゴロに抑えられると、次の打席は速球に合わせようとして三振を奪われた。6回の2年生左腕の武藤陽世投手との対戦では四球を選んだが、8回の田中優飛投手との対戦では一度もバットを振ることなく3球三振に終わり、高校最後の打席という思いがあったのだろう、アウトのコールの後も打席に立ち尽くした。

しかし9回が始まる前に、ベンチでは「麟太郎に回せ」とナインから言葉が飛び交った。佐々木選手もヘルメットとグローブを着けてベンチの前列に座った。佐々木選手が勝負を避けられないようと4番に座る北條慎治選手が四球で出塁すると、同じく1年時から佐々木選手と強打コンビを組み、佐々木選手との勝負を避けられないように常に後ろを打っていた千葉柚樹選手が5番でセンター前安打で続く。

そこから連打が続いて2点を返すと、2アウトを奪われたものの1番の俊足2年生・簗田蒼汰選手がヒットで3点目、そして佐々木選手がネクストバッターズサークルに立つ前で、2番の熊谷陸選手がレフト前にヒットを打った。

ネクストで終わる強打者の姿もこれまで多く見てきたし、このようにナインの打者一巡で回ってKチア最後の打席で号泣しながらスイングをする強打者もいた。しかし佐々木選手は少し笑みを浮かべながら打席に入ると、いつものように気迫のこもった顔つきで、8回に三振に討ち取られた田中投手と対戦する。

しかし、田中投手も8回の三振で自信を持っていた。佐々木選手を恐れることなく追い込むと、最後はセカンドゴロを打たせた。おそらくゆっくりと回ることが多かったであろうファーストベースに、佐々木選手は決してうまくないヘッドスライディングを見せ、必死に一塁を獲りに行ったが、アウトのコールで高校野球が終わった。

試合後は号泣した。「みんなに申し訳なかった。自分を含めて3年間やってきたことが終わってしまう切なさ。いろいろ頭の中で巡ってきた」と話す。高校に進学する際に、花巻東に進みたかったが、監督の父からは反対された。それでも花巻東に進学を決めると、お互いに父と子の関係を絶って3年間プレーする覚悟を決めた。

監督からは誰よりも叱られることが多かった。「息子とか関係なく一番怒られたし、トータルして苦しんだ。」と話す。それでも「つらい時期の方が多かった。最後に甲子園で花巻東でプレーさせてもらったこと、誇りに思います」と話す。最後の打席、ベンチでは涙を流しながら息子の高校最後の打席を見守る父の姿があった。

進路は未定

高校通算140本を打ちながら、2度出場した甲子園ではホームランを打つことができなかった。そしてこの夏は岩手大会を含めても0本。春から痛めていた背筋や、腰にも不安がありコンディションは良くなく、岩手大会では序盤は出場も少なかった。

進路について聞かれると「まだ全く考えていない。全然どう歩んでいくか決めていない。今後のことは岩手に戻ってから決めたい。現段階では何も言えない」と話した。これから、父となった監督も「まだこれから」と話し、これから家族会議を行い、進路を決めていく。

元々はプロ志望だったが、昨年12月に手術をしたり、背筋痛など故障も相次いだ。1年時には「高校3年でプロ野球の世界で戦えるぐらいの技術であったり、レベルを身につけていければベスト」と話していたが、最近は進路については話していなかった。スポーツ報知では父が大学進学を重要視しているとも書いており、進学の可能性もあるとしているが、おそらくプロ志望届を提出することになるとみられる。

打球のスピードは圧倒的だった。視察したスカウトも評価の声が聞かれた。一方で甲子園でのホームランは、担当スカウトが球団側にドラフト1位指名を決めさせるために、大きな説得の一つだったとも思う。

スポーツニッポンでは東京ヤクルト、埼玉西武、北海道日本ハム、オリックスがドラフト1位候補としてリストアップしているとしており、他にも福岡ソフトバンク、千葉ロッテ、そして地元の東北楽天もドラフト1位候補として見ていると思われる。

プロ志望届を提出すれば複数球団から1位指名されることが予想される。

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