今秋ドラフト1位候補に挙がる最速157キロ右腕、横浜高(神奈川)の織田翔希投手(3年)が8月14日、夏の高校野球選手権大会の2回戦・日南学園(宮崎)戦で、同点の6回途中から救援登板。無死満塁の絶体絶命から、甲子園の球場表示で春夏通じて史上最速となる156キロを計測するなど3回1安打無失点、4奪三振で切り抜けた。エースの好救援で流れを呼び込んだ横浜は10―1で大勝し、2年連続の16強入りを決めた。この試合は中日、ドジャース、メッツなど日米のスカウトが視察に訪れた。
1球で球場を変えた156キロ、無死満塁を「自分なら抑えられる」
この日はベンチスタートだった織田翔希投手が、真骨頂を見せつけた。1―1の6回、先発した2年生左腕・小林鉄三郎投手(2年)が無死二、三塁のピンチを招くと、後を受けてマウンドへ。横浜ベンチは日南学園の3番・田中皐晴選手を申告敬遠で歩かせ、無死満塁とする究極の策を選択した。
崖っぷちでも織田投手は動じなかった。「1球で球場の雰囲気を変えようという気持ちでマウンドに上がった。三振を取った方が流れも良くなると思っていた」(サンケイスポーツ)。4番・谷口銀次郎選手への初球に153キロを投じると、3球目には甲子園の球場表示で従来の155キロを1キロ更新する156キロをマーク。満員のスタンドは地鳴りのような大歓声に包まれた。続く155キロで見逃し三振に仕留めると、次打者は149キロで二ゴロ併殺打。わずか5球で無死満塁を無失点に封じ、雄たけびを上げながらマウンドを駆け下りた。
「今日は自分でもびっくりしたけど、本当に恐れとか全くなく、自分なら抑えられるなっていう気持ちがすごくあった」(デイリースポーツ)。40球を投げて直球は30球、150キロ超えは18球、155キロ超えは5球という圧巻の内容だった。この救援は10日の初戦でも生きていた。昨夏王者・沖縄尚学との1回戦に先発し、8回2/3を2失点12奪三振と好投して、同じくプロ注目の末吉良丞投手に投げ勝ったばかり。中3日での快投だった。
直後に打線爆発、松坂大輔氏に次ぐ甲子園通算8勝目
この投球で打線に火が点いた。直後の7回2死二塁から9番・千島大翼外野手(3年)が左中間へ勝ち越しの適時三塁打を放つと、この回一挙4得点。9回には5番・江坂佳史外野手(3年)に大会5号となる満塁本塁打が飛び出し、10―1と突き放した。8回まで投げて1安打無失点とした織田投手は9回のマウンドを譲り、右翼から勝利の瞬間を見守った。
織田投手はこの試合で甲子園通算8勝目をマーク。同校では最多の松坂大輔氏の11勝に次ぐ単独2位で、愛甲猛氏の7勝を抜いた。試合後は目を細めて笑みをこぼした。「すごく楽しかった。球速もそうですけど、ああいった場面でしっかりと抑えることができたということは、この先どんな場面があろうといけるんじゃないかな」(デイリースポーツ)と自信を深めた。
視察スカウトが絶賛「ここ数年でもこれだけの投手はいなかった」
NPB各球団のスカウト陣は出場校が初戦を終えた12日で基本的に甲子園での視察を終了しているが、この試合には中日の永野チーフスカウトがバックネット裏で視察。MLBもドジャース、メッツが訪れており、注目度の高さをうかがわせた。
中日・永野チーフスカウト:「ここ数年でもこんな子はいない。あの直球はなかなか打てない。前の試合は変化球が多かっただけで、彼にとっては普通。緊迫した場面だったので、一番自信のあるストレートで勝負したのでしょう。もともと真っすぐが素晴らしい投手なので、こういう姿を見ることができてよかった。今年だけでなく、ここ数年の中でもこれだけのレベルの高校生投手はいなかったのではないか」
カージナルス・大慈彌スカウト:「織田くんは1年生時から見ていますが、成長曲線が素晴らしいです。球場の雰囲気を一瞬で変えられる存在感があります」
日米が注目する逸材は、NPBを選択すればドラフト1位指名が確実視される存在だ。敗れた日南学園の金川豪一郎監督も「マウンドでの立ち振る舞いも含めて、非常にレベルの高い投手」と脱帽。「今まで見た中でも本当に、最高の高校生投手」と賛辞を惜しまなかった。横浜の村田浩明監督は、横浜OBの“平成の怪物”松坂大輔氏を引き合いに「アドレナリンが出た時の織田は、本当に怪物なんだなって思いました」と目を細め、「大怪物を目指して甲子園でやろうと。今日はその片鱗はマウンドで見れました」と、さらなる成長に期待を寄せた。
頂点を目指す横浜のエースは、16日の3回戦で霞ケ浦(茨城)と対戦する。甲子園、そして侍ジャパンU18を経て、その先には日本かメジャーかという進路にも大いに注目が集まりそうだ。
【織田 翔希】 プロフィール
- 氏名: 織田翔希(おだ・しょうき)
- 所属: 横浜高校(3年)
- 出身: 福岡県北九州市(足立小1年から足立クラブで野球を始め、足立中では軟式野球部に所属)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 186cm、81kg
- 主な特徴や実績: 2008年6月3日生まれの18歳。最速157キロの直球にカーブ、チェンジアップを操る今秋ドラフト1位候補の右腕で、1年春からベンチ入り。8月14日の甲子園2回戦・日南学園戦では6回途中から救援し、無死満塁のピンチから甲子園の球場表示で春夏通じて史上最速となる156キロをマーク。3回1安打無失点、4奪三振で切り抜け、松坂大輔氏に次ぐ同校2位の甲子園通算8勝目を挙げた。憧れの松坂大輔氏を超える“大怪物”への飛躍が期待される。













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