12球団のドラフト戦線（2012年・序盤戦）

　2012年のドラフト戦線は2011年のドラフト会議直後から動いている。

　世間をあっと言わせた北海道日本ハムの東海大・菅野智之投手の指名と交渉権獲得、その後、菅野投手は大学に籍を残す形で卒業を延期し、1年間公式戦に出場できないリスクをとりながらも巨人入りを希望した。北海道日本ハムは2012年3月末まで交渉権がありながらも2011年に数回東海大を訪れただけで交渉は終わってしまう。

　その北海道日本ハム、ダルビッシュが抜け、菅野を獲れず今年も即戦力エース候補かとも思われたが高校生投手の獲得を目指し、特に花巻東・大谷翔平投手に常にマークをしている。おそらく指名はほぼ決まっているようにも思える。その他に龍谷大・古本武尊選手、道都大・佐藤俊一投手など2位以降では即戦力候補の指名となりそうだ。

　東北楽天も地元の逸材を逃すなと大谷翔平投手をマークしている。まだ投打に層が薄いものの、田中将大投手がメジャー移籍するのは確実視されており、次世代エースとして、またはここ数年獲得を続けている次世代の4番候補としての獲得を目指す。

　福岡ソフトバンクは沖縄出身の東浜巨投手の他、九共大・川満寛弥投手、福岡工大城東・笠原大芽投手など九州に関係する候補が多く、特に東浜投手には中学時代からマークをしており指名は確実といえるだろう。

　その東浜投手には東京ヤクルトが最上位候補に名前を挙げる。神宮のエースの獲得を目指す。また青森大・吉田友大投手をリストアップするなど昨年東北の逸材を獲得しまくった八重樫スカウトが今年も積極的に動いている。

　阪神は例年通りデイリーを中心に報道が多い。昨年、伊藤隼太選手を獲得し今年は投手の1位指名の可能性が高いが、亜大・東浜巨投手、慶大・福谷浩司、大体大・松葉貴大の他、センバツの活躍を見て大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手、また昨年から1位候補としてマークしている花巻東・大谷翔平投手など即戦力、高校生などはまとまっていない。またチームの捕手不足が露呈し、東海大・伏見寅威捕手の名前が挙がるなど、チーム状況によって、即戦力投手、高校生投手、即戦力捕手を中心にリストアップをしているようだ。

　広島は年初のスカウト会議で「ドラフトの目玉がいない」と話した。目玉と言えば東浜巨投手や、大谷、藤浪といった投手陣がいない事は無いのだが、この発言から見ると、「野手の」または「左腕投手の」という修飾語がつきそうだ。福井、野村と即戦力右腕を獲得する一方で主軸野手の層の薄さ、ポスト梵の内野手の獲得をめざしているようで、龍谷大平安・高橋大樹、駒澤大・白崎浩之、明大・上本崇司、立教大・松本幸一郎といった選手をマークしている。

　横浜DeNAは亜大・東浜巨投手、花巻東・大谷翔平選手にマークがついている。昨年高校生選手を大量に指名し、チーム状況からもエースとなれる即戦力を望み、球団社長も「今年は即戦力、高校生のバランス重視、1位は即戦力がいいと思っている」と話し、東浜投手の指名の可能性が高い。

　中日は左腕投手の指名が多く、今年は地元・愛工大名電の濱田達郎投手に高い評価をしている。センバツで他球団が少し評価を下げる印象の中で中日は変わっていない。しかし、中日が早くから注目しているのは東海大・伏見寅威捕手など捕手で、谷繁、小田といった他球団から獲得した捕手の活躍でチームは上位にいるが、捕手の逸材の獲得は育成は急務で指名の重要ポイントとしている。

　埼玉西武はセンバツで藤浪晋太郎投手に魅了されたようだ。菊池雄星、大石達也と他球団もうらやむ投手を獲得し、十亀投手を指名したのだが思うような活躍ができておらず、エース涌井も不調で次世代エースとして白羽の矢を立てた。野手陣は中村剛也を中心に秋山、浅村といった選手が出てきており、藤浪晋太郎投手に徹底マークを続ける。

　オリックスは例年通り社会人選手に注目しているものの、センバツでの地元・大阪の藤浪晋太郎投手の投球でこちらもリストアップしている。

　千葉ロッテは昨年指名した藤岡貴裕、中後悠平、益田直也投手が活躍している。目立った動きは無いものの今年は捕手、または主軸を打てる野手といった所になりそうだ。その候補がいない場合には松本尚樹スカウティングスーパーバイザーのコネクションを使って、大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手などの指名に動くか。

　巨人は菅野智之投手の1位指名を決めた。おそらく他球団の指名は無いだろう（昨年もそう思っていたが・・・）。焦点は2位指名となっており、同じく東海大の伏見寅威選手は腰痛などで試合を欠場するようになった阿部捕手の状態を見てもどうしても欲しい選手になってきている。