夏の高校野球選手権奈良大会は25日に準決勝が行われ、奈良大付が橿原学院を7回コールドの7―0で圧倒し、2018年以来8年ぶりの夏の甲子園出場へ王手をかけた。今夏初登板初先発となった2年生右腕・川端壱心投手が7回無失点の快投を見せ、プロ注目の150キロ右腕・新城楓雅投手(3年)を決勝へ温存する立役者となった。27日の天理との決勝を前に大きな働きを見せた。
初登板初先発で7回無失点、強打者を斬った渾身のスライダー
川端壱心投手は初回、先頭打者に四球を与えたものの、1死二塁で迎えた高校通算34本塁打を誇る橿原学院の3番・川井陵馳外野手(3年)を渾身のスライダーで空振り三振に仕留めると、天に向かって吠えた。「真っすぐに強い相手だと思ったので、真っすぐで押せたら押して、スライダーとかカーブで空振りを取れたらいいなと思って投げました」(スポーツニッポン)と話した。
4回には再び宝刀のスライダーで川井外野手のバットに空を切らせた。身長184センチ、83キロの体格から最速140キロを繰り出す大型右腕は、7回を散発3安打、6奪三振の快投。三塁すら踏ませない圧巻の内容で、相手打線に付け入る隙を与えなかった。
この日の先発は前日24日の練習後に伝えられたという。「(監督から)『もうお前にあしたは任せたぞ』といわれました。期待をしてもらっているので、頑張るしかないと思いました」(サンケイスポーツ)と、大役に真っ向から応えた。今夏は当初メンバー外だったが、同級生の投手に負傷者が出たことで大会直前に登録された背番号10が、大きな仕事をした。
エース温存の使命、打線もつないで7点
決勝の天理戦に向け、3試合連続で登板していたプロ注目のエース・新城楓雅投手の疲労を考慮し、温存する必要があることはナイン全員が知っていた。2年生の川端投手も「決勝で頑張ってほしいので僕が投げ抜こう」と力を込め、その言葉通りマウンドを一人で守り抜いた。「新城さんを温存できたら(決勝の)天理戦でいい試合ができると思うから、頑張れて良かった」と話した。
田中一訓監督も手放しで新戦力を称えた。「上背もあるので、ストライクさえ、制球さえ定まれば、抑えてくれるとは思っていました。スライダーも良く曲がりますし、良い球を持っているので、後は自信だけですね」。快投は指揮官にとって想定内だった。「ずっと0点で抑えてくれたので、最後まで壱心に頑張ってもらいました。初回に先頭打者に四球を与えたのはダメだけど、後はもう98点です」と、川端壱投手の台頭を喜んだ。
打線も投手を援護した。初回に4番・兼平大馳選手の右犠飛などで2点を先制すると、2回に2点、4回には連続四球を足がかりに3点を加え、一気に突き放した。今大会は4戦で計30得点。エースが抑えて勝つチームから、つないで粘って点を取るチームへと進化を遂げた。
バトンを受け継いだエースはいざ決勝へ
辻本泰盛主将(3年)は「新城が抑えてくれると信じている。きっちり1点でも2点でも多く取らなければならない」と、チーム全体で打つことへの意識を変えた。打席に入る前に「打つ方向」と「場面に応じたバッティング」をイメージすることを意識づけたといい、辻本主将は「やることを決めると思い切って振れるようになった」と手応えを口にした。
27日の決勝は、公立校の畝傍を7回コールドで退けた天理が相手となる。奈良大付は3回戦で智弁学園を破っており、田中監督は「歴史上(同大会で2校を破った学校は)ないと思うので」と語気を強める。辻本主将も「奈良大付の粘りでなんとか1点、2点リードして勝てるような戦いをして勝ちたい」と気合を入れた。
川端壱投手はこの日の投球を「80点くらいです」と控えめに自己採点したが、決勝でも出番があれば力を尽くす覚悟だ。「(決勝は)新城さんに頑張ってもらって、もし投げる機会があれば、僕も満点のピッチングができるように頑張ります」と話す。2年生からバトンを受け継ぎ、新城投手の投球が注目される。
【川端 壱心】 プロフィール
- 氏名: 川端壱心(かわばた・いっしん)
- 所属: 奈良大学付属高校(2年)
- 出身: 奈良県生駒郡斑鳩町
- ポジション: 投手
- 身長・体重: 184cm、83kg
- 主な特徴や実績: 184センチの大型体格から最速140キロの直球を投げ込む右腕。カーブ、スライダー、チェンジアップ、フォークと多彩な変化球を操る。第108回全国高校野球選手権奈良大会準決勝の橿原学院戦では今夏初登板初先発ながら7回を被安打3、6奪三振の無失点に抑え、高校通算34本塁打の強打者・川井陵馳外野手を渾身のスライダーで2度封じた。プロ注目エース・新城楓雅投手を決勝へ温存する完封で、8年ぶりの甲子園出場へ王手をかける快投を披露。新城投手の後継者としても期待される、奈良に現れた超新星右腕だ。












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