今春選抜8強の花咲徳栄が、宿敵・浦和学院とのライバル対決を制し、2年ぶり9度目の夏の甲子園出場を決めた。今秋ドラフト候補のエース右腕・黒川凌大投手(3年)は、143球を投げた準決勝から中1日で先発マウンドに上がり、9安打3失点、8奪三振、123球で完投。先発した全試合を1人で投げ切り、エースの責任を果たした。
中1日の123球、宿敵相手に投げ抜いた完投勝利
昨秋から3季連続となる、浦和学院との決勝でのライバル対決だった。黒川凌大投手は24日の準決勝・昌平戦で、左足首の上に打球を受けながら143球を投げ抜き、3失点完投していた。中1日での連投となったが「疲れてないし、痛みもない」とマウンドに上がった。
3回に1点を先制されても「後半勝負」と崩れず、7回まで1失点で踏ん張って打線の反撃を待った。8回に長打を浴びて2点を失う場面もあったが、雨脚が強まる中でも最後までマウンドを守り、9回9安打3失点、8奪三振、123球で完投した。この日は最速148キロを記録した直球にフォーク、スライダーを交え、9回2死からフォークで最後の打者を空振り三振に斬ると、雨にぬれたマウンドで何度も拳を握り、歓喜の輪の中で涙を流した。
黒川投手は「誰にも譲らないという気持ちと、絶対にこのチームで甲子園に行くという思いで投げました」(スポーツニッポン)と話し、この試合に向けた気持ちについて語った。宿敵との顔合わせには「春が終わってからずっと『浦学戦はお前でいく』と言われていた。このためにやってきた」(日刊スポーツ)と覚悟を口にし、岩井隆監督(56)から「何本打たれても最後までマウンドにいろ」とハッパをかけられていた。
スタミナ十分のエース、悪夢のセンバツを糧に
スタミナの原点は、中学生まで続けてきた坂道ダッシュにある。元柔道アジア女王の母・琴美さん(58)が現役時代に行っていた柔道流のトレーニングで、30メートルを10本走って足腰を鍛えてきた。帽子のつばの裏には母からもらった言葉”大恥をかいてこい!”と書かれている。「ピンチの時でもこれを見て、冷静に投げていた」と感謝を口にした。
今春センバツ準々決勝の智弁学園戦では、8―0から大逆転負けを喫しており、黒川投手は救援に立ちながら逆転を許した。「本当に悔しい負け方をした。投手陣が練習から意識高くやってきたのが、この夏の結果に生きたと思う」(スポーツニッポン)と話し、「悔しい負け方をした甲子園に戻れる。優勝目指して頑張りたい」(デイリースポーツ)と甲子園でのリベンジを誓った。
打線の集中打が援護、8回に均衡を破る
打線は終盤に爆発した。1点を追う6回、1死三塁から4番・佐伯真聡捕手(3年)が中前適時打を放って試合を振り出しに戻した。佐伯捕手は7回に2つの盗塁を立て続けに阻止する強肩で浦和学院の好機を断ち切り、守備でも流れを引き寄せた。
そして8回、1死から3番・笹崎昌久外野手(3年)の二塁打で口火を切ると、1死一、三塁から5番・奥野敬太内野手(3年)が右中間を破る2点適時二塁打で勝ち越し。さらに2死三塁から主将の7番・本田新志内野手(3年)が中前適時打を放って加点した。9回にも笹崎外野手の2点三塁打などで3点を追加し、最後は7―3と点差を開いて逃げ切った。黒川投手が8回に2点を失った直後には、2死二塁のピンチで4番・内藤蒼選手の強烈な打球を遊撃手の岩井虹太郎選手が好捕して踏ん張り、エースを守り抜いた。
岩井監督は「黒川は限界が来ていたが、最後までエースだから絶対代えないと約束していた。よく投げ切ってくれた」とたたえ、「春(浦和学院に)負けて、夏にかける思いが強かった。黒川は体が強いだけでなく、見てきた中で我慢強さは(OBで現広島の)高橋昂也以上で一番」と評価した。黒川投手は「甲子園で優勝したい。埼玉に優勝旗を持ち帰りたい」と話し、17年以来の全国制覇を目指す。
【黒川 凌大】 プロフィール
- 氏名: 黒川凌大
- 所属: 花咲徳栄高校(3年)
- ポジション: 投手
- 主な特徴や実績: 最速148キロの直球にフォーク、スライダーを交える今秋ドラフト候補の右腕。中学生まで続けた坂道ダッシュで培ったスタミナと、元柔道アジア女王の母・琴美さん譲りのタフさが持ち味。第108回全国高校野球選手権埼玉大会では準決勝・昌平戦で143球を投げて完投すると、中1日で臨んだ決勝・浦和学院戦でも9回9安打3失点、8奪三振、123球で2戦連続の完投勝利。宿敵を破り2年ぶり9度目の夏の甲子園、16年以来10年ぶりの春夏連続出場に導いた。今春センバツ準々決勝での逆転負けの雪辱を胸に、17年以来の全国制覇を目指す。

















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