古豪・八幡商が復活、15年ぶり8度目の夏の甲子園出場を決めた。夏の高校野球選手権滋賀大会決勝で彦根総合を6―2で下し、創立140周年の節目に聖地への切符をつかんだ。最速145キロ右腕・田上晴也投手(3年)がマウンドで高々と1本の指を掲げた。同点の4回から救援したエースは、6イニングを2失点で投げ切り、優勝の立役者となった。
2、3カ月かけて復活したエース、打たせて取る投球で要所を締める
この夏、初めて背番号1を背負った田上晴也投手は、0―0の4回から登板した。5回に自身の暴投などの失策も絡んで同点に追いつかれたが、動揺は見せなかった。「たくさん練習してきた自信があったので、ここで大量失点はないかな、と思っていた。野手を信じて打たせて取る投球に切り替えた」(サンケイスポーツ)と振り返る。序盤は「三振取りにいこうと欲出しちゃって」真っすぐを弾かれたが、6回以降は打たせて取る投球に切り替え、6回2失点と粘投した。
田上投手はここに至るまでに苦しんだ。昨夏大会後から背中のけがに悩まされ、一度は秋の大会で復帰したものの悪化。2、3カ月かけてフォームを修正し、最後の夏にたどり着いた。「逆にけがをして復活できたのが、これからの野球人生にもつながる」と、苦難を自信へと変えた。2学年上の兄・航さんも同校のエースだったが、3年夏は3回戦で敗退。観客席からその姿を見つめ「あの姿を見て、より一層頑張らないといけないと思った」と、伝統校のエースの重責を胸に刻んでいた。
辻出愛輝の特大2ラン、堅守で古豪を支える
滋賀も近江など強豪私学が甲子園出場の有力校として毎年君臨する。しかし、古豪の公立校は打倒私学を掲げ、そして打ち勝った。4回無死一塁から5番・辻出愛輝選手(3年)が、右翼フェンスを楽々と越える特大の先制2ランを放った。小川健太監督の「たたけ!」の指示に応えた一打に「自分のスイングができました」と笑顔を見せた。170センチ、80キロと小柄ながら、憧れるオリックス・森友哉選手ばりのフルスイングが持ち味で、飛距離はチームNO1。5回無死一、三塁でも中堅フェンスぎりぎりへの特大犠飛を放つなど、3打点でチームをけん引した。
守っても堅さを見せた。初回無死三塁のピンチでは、左翼手の桑原太暉選手(3年)が好返球でタッチアップを阻止した。「準備はできていた。1点勝負という場面で緊張感を持った練習を繰り返してきたので」と胸を張った。先発した背番号11の左腕・久保田渓五投手(3年)も3回を無失点に抑え、田上投手へのリレーで指揮官のプラン通りの継投がはまった。
恩師にささげる白星、創立140周年の節目に古豪復活
試合後、OBでもある小川健太監督(44)は感慨深げにナインを見つめた。現役時代に指導を受けた林勝・元監督が昨年9月に84歳で亡くなった。1988年から滋賀大会初の4連覇を成し遂げ、八幡商のほか2校で春夏9度チームを甲子園に導いたレジェンドだった。「林先生がお亡くなりになって、今年、甲子園に帰りたい気持ちがあった。どこかで見てくれていると思います」(スポーツ報知)と語った。恩師がよく口にしていた「我慢したらチャンスが来る」との言葉を思い出しながら指揮をとった。
2017年の彦根東以来、公立校として9年ぶりとなる夏の甲子園出場を果たした。地元で「八商(はっしょう)」と呼ばれ親しまれる古豪は、前回11年夏は帝京戦で0―3の最終回に5点を挙げて劇的勝利を飾っている。帰ってきたエースを中心に、聖地で再び「八商」らしいハツラツとしたプレーを見せる。
【田上 晴也】 プロフィール
- 氏名:田上晴也
- 所属:八幡商業高校(3年)
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:この夏初めて背番号1を背負った最速145キロの右腕。昨夏大会後から背中のけがに苦しみ、2、3カ月かけてフォームを修正して復活を遂げた。滋賀大会決勝では同点の4回から救援し、6イニングを2失点と粘投。序盤に追いつかれても動揺せず、打たせて取る投球に切り替えて要所を締めた。2学年上の兄も同校のエースだった伝統を受け継ぎ、15年ぶりの甲子園出場の立役者となった。聖地でのさらなる飛躍が期待される。













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