2017ドラフトストーリー(3)社会人野球の選手達

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2017年のドラフトは、清宮幸太郎選手、斉藤大将投手、田嶋大樹投手、藤岡裕大選手などが成長しアピールして夢を掴むストーリーを見せてくれました。高校生、大学生、社会人の選手ストーリーを振り返ってみます。今日は社会人野球の選手編。

目指す舞台へ1

社会人野球からドラフトで指名された選手は、3つに分けられる。一つは高校生から社会人野球に進み、3年間プレーした選手。一つは大学生から社会人入りし2年間プレーした選手。そしてもう一つは、ドラフト解禁されて1年以上社会人でプレーし、プロ入りを狙っていた選手。

まずは、高校生から社会人入りした選手のストーリー。

2014年のセンバツ、注目選手は打の岡本和真と投の田嶋大樹だった。田嶋は140キロ中盤から後半の速球を投げる左腕として注目されると、大会でも初戦でいきなり完封勝利をみせ、その期待に応えた。続く2回戦では岡本と直接対決となり話題となったが、その岡本を4打数1安打に抑え、チームも勝利した。準々決勝の明徳義塾戦では延長11回を一人で投げ切り7-5で勝利する。しかし全イニングを一人で投げてきた田嶋は、準決勝の龍谷大平安戦では8回10安打8失点で力尽きた。それでもこの左腕エースは大会NO.1投手として評価された。

その田嶋投手だったが、甲子園の投球の影響はあり、春の大会はリリーフでの登板のみとなる。それでも関東大会で好投を見せるとプロのスカウト陣も詰めかけ、NO.1の評価をしていく。ドラフト会議では上位指名の呼び声も挙がっていたが、田嶋投手はすでに心に決めていた。今すぐにプロで通用するのは難しい、しかし大学4年間というのは長すぎる。社会人野球でプレーすることを決め、夏の大会で敗退するとすぐに社会人のJR東日本入りを表明する。プロ球団には大きな衝撃が走った。

磐田東には左右のプロ注目エースがいた。左のエース・齋藤誠哉と右のエース・鈴木博志である。エースを争う二人は、2年秋に鈴木が145キロを記録し完封勝利を挙げると、齋藤はノーヒットノーランでお返しをする。その後、鈴木は疲労骨折でその後手術をする事になる。それでも春はエース番号を取ったのだが、最後の夏は齋藤がエース番号1をつけた。静岡大会では共に力を発揮できず3回戦でチームは敗れる。プロの道を選択した齋藤は福岡ソフトバンクの育成ドラフト2位で指名されてプロ入りし、鈴木は社会人野球で成長する道を選択した。

報徳学園の岸田行倫はチームのすべてを担っていた。2年生まではショートを守り強肩を見せつけると、秋からは捕手に転向しチームの要となった。そして3年センバツでは投手としても登板し好投を見せた。強肩に打撃のある捕手はU18代表にも選出され、全国屈指の捕手と注目された。しかし岸田も社会人で実績を積む道を選択した。

社会人野球ではまず田嶋が頭角を現す。1年目の3月のスポニチ大会で早くも登板すると、5回3安打7奪三振の好投を見せた。秋には岸田も頭角を現す。正捕手として日本選手権に出場し、多彩な投手陣をリードしてベスト4まで勝ち上がった。1年目は活躍が見られなかったヤマハの鈴木だったが、その1年間で体重が10kg増えると、2年目の春に152キロを記録して関係者を驚かせる。2年夏の都市対抗ではリリーフで登板し155キロを記録、来年のドラフト1位候補の声が挙がった。

その都市対抗では、JR東日本の田嶋が初戦の王子戦で先発すると、プロ注目の近藤投手と9回まで0-0の投手戦を演じる。延長10回も登板した田嶋が2点を失いサヨナラで初戦敗退したが、社会人NO.1左腕の評価はすでに確実なものとなっていた。日本選手権では大阪ガスの岸田は正捕手として力を見せベスト4に進出する。ヤマハの鈴木は2回戦のNTT西日本戦でなんと先発を任される。6回途中まで自責点0の好投を見せたが、ファーストでランナーと交錯して左足を骨折、またしてもドラフトイヤーの前に大きなけがをしてしまう。

目指す舞台へ2

2015年の大学生プロ志望届提出者は81名、その中に明治大の菅野剛士、亜細亜大の藤岡裕大、中央大の神里和毅、帝京大の西村天裕の名前もあった。しかしドラフト会議ではその名前は呼ばれなかった。

2015年の大学野球は、明治大の高山俊が東京六大学の通算安打記録を更新するなど注目され、また同じく明治大の上原健太、坂本誠志郎、早稲田大の茂木栄五郎、重信慎之介、慶応大の横尾俊建、山本泰寛、100安打を達成した立教大の大城滉二など、大勢のドラフト候補が注目され、ドラフト会議で指名されていく。その中で東京六大学リーグ通算28本の2ベースヒットを打った菅野や東都で優勝に何度も貢献した藤岡、そして快足外野手の神里は指名漏れとなったのである。3人とも悔しさを味わった。野球を続けるかという事も脳裏をかすめたが、チームメイトなど周りからの応援もあり2年後を目指し、それぞれ社会人野球へ進んでいく。

また帝京大のエースだった西村は、150キロを超す速球で速くから注目され、ドラフト会議では上位候補にも挙げられていた。上位指名の順位縛りがあったものの、2位までに消えるとみられプロ入り確実と言われていたのだが、ドラフト直前にファーストに走り込む際に転倒し、左膝前十字靭帯損傷で全治6か月の重傷を負ってしまう。結局2位までに指名する球団は無く、西村はNTT東日本へ進む事となった。

社会人1年目に3人それぞれが悔しさをぶつけるかのように活躍を見せる。トヨタ自動車の藤岡は都市対抗で1番ライトで固定され、東海地区予選で打率.467、2本塁打の活躍で本選出場をに貢献すると、本戦でも5試合で打率.381を記録し、チームを初の都市対抗制覇に導いた。

日立製作所に進んだ菅野も1年目で4番を打つと、都市対抗5試合で4番を務め18打数5安打3打点、チームを決勝に導く。藤岡のトヨタ自動車に敗れたものの準優勝をし、藤岡と菅野は共に若獅子賞に選ばれた。

日本生命に進んだ神里も2番レフトで都市対抗に出場をし、NTT東日本の西村も秋の日本選手権で復帰登板を見せ、翌年へのステップを踏んでいた。

(つづく)
次回は、高校生、大学生、社会人選手の2017年の戦い。

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